- 2026-10-28
- 2026-10-26
カアチンガの乾いた大地に宿る豊かな記憶。ブラジルの表現者エロアが描く『Árida』
ブラジル北東部の半乾燥地帯に根ざす先住民文化と、アフリカから受け継がれた祖先の記憶。ブラジル北東部セルジッペ州出身のシンガーソングライター、エロア(Héloa)の4作目となるアルバム『Árida』は、フォホーやバイアォン、アフロビート、ラップ、電子音楽などを交差させながら、ブラジルの多層的な文化の成り立ちを探る意欲作だ。
ブラジル北東部の半乾燥地帯に根ざす先住民文化と、アフリカから受け継がれた祖先の記憶。ブラジル北東部セルジッペ州出身のシンガーソングライター、エロア(Héloa)の4作目となるアルバム『Árida』は、フォホーやバイアォン、アフロビート、ラップ、電子音楽などを交差させながら、ブラジルの多層的な文化の成り立ちを探る意欲作だ。
ブラジル北東部ペルナンブーコ州出身のシンガーソングライター、ルリーナ(Lulina)が、7年ぶりとなるソロ・アルバム『Sinuosa』をリリースした。ポルトガル語で「曲がりくねった」を意味するタイトルは、予想外の方向へ進む人生の道筋や、思いがけない寄り道から生まれる発見に由来する。
2017年にユーロビジョン・ソング・コンテストで優勝し、ポルトガルに初の栄冠をもたらした歌手、サルヴァドール・ソブラル(Salvador Sobral)。ジャズを基盤に、繊細な和声感覚と独特の歌唱表現を磨いてきた彼が、ブラジル音楽への深い愛着を形にした新作『A Flor do Recomeço』をリリースした。
澄んだ歌声と確かなリズム感で、ブラジル音楽の豊かな世界を伝えるヘナート・ブラス(Renato Braz)。サンパウロのバーでドラムを叩きながら歌い始め、1996年にソロデビュー。2002年にはビザMPB賞のヴォーカル部門で審査員賞と聴衆賞を獲得した。サンバ、ボサノヴァ、北東部の音楽から詩に基づく歌曲まで、世代や土地を越えて歌を選び、言葉と旋律に新しい息を吹き込んできた。ドリ・カイミやマリオ・ジルとの長年の協働、ポール・ウィンターとの海外活動、ラテンアメリカ各地の歌への探求も、歩みを彩る。ジョアン・ジルベルト、ガル・コスタ、チン・マイアへのトリビュートでは、敬愛する歌い手の世界を自身の声で読み直した。著名な作家の名曲と同時代の知られざる佳曲を等しく大切にする姿勢は、デビューから30年を迎える現在も変わらない。10月15日、東京・ハクジュホールで開催される「ヘナート・ブラス&フレンズ」には、フレッヂ・マルチンス(Fred Martins)、ギリェルミ・ネヴィス(Guilherme Neves)、マリオ・ジル(Mário Gil)が共演。歌とギターが響き合う、親密で豊かな音楽の時間を届ける。
10月15日に東京・ハクジュホールで開催される<ヘナート・ブラス & フレンズ>公演に出演するギリェルミ・ネヴィス。ニテロイに生まれバイーアで育ち、サンパウロを拠点に活動するシンガーソングライター/ギタリストだ。 ジョアン・ジルベルトへの敬愛を背景に、サンバやボサノヴァ、ショッチなどブラジルの豊かなリズムと旋律を、自らの日常や記憶に引き寄せながら繊細に紡いできた。彼の真価は単独の弾き語りにとどまらず、仲間との親密な協働にある。ヘナート・ブラスやフレッヂ・マルチンス、マリオ・ジルら現代MPBの重要人物と長年にわたり共作・共演を重ね、『Pescador』や『Samba Tímido』などのソロ作を通じて豊かなレパートリーを築き上げてきた。 2026年10月には、まさにその盟友4人による共名義アルバム『Caminhos Cruzados』をリリース。歌を書くことと人との関係を育てることを分かち難く結びつけてきた彼の歩みが、見事に結実している。長年培われた濃密な音楽的対話と、ブラジルの歌が持つ奥深い美学を、生の声とギターの響きで直に体感できる待望の来日ステージとなる。
10月15日(木)、東京・ハクジュホールの〈ヘナート・ブラス&フレンズ〉に出演するマリオ・ジル(Mario Gil)。1962年、ブラジルのミナスジェライス州生まれの歌手、作曲家、ギタリスト、音楽プロデューサーだ。クラシック・ギターを学び、1993年に初作『Luz do Cais』を自主制作。モニカ・サウマーゾの初レコード録音もこの作品だった。パウロ・セーザル・ピニェイロとの共作「Anabela」「Outro Quilombo」は、長年の盟友ヘナート・ブラスらに歌い継がれている。1998年の『Contos do Mar』でアリ・バホーゾ賞の作曲家部門を受賞し、2000年にはビザMPB賞で第3位に入賞。『Comunhão』『Mar Aberto』などの発表と並行し、編曲から録音、ミキシング、マスタリングまで幅広く担ってきた。制作に携わったナナ・カイミの『Nana, Tom, Vinicius』は、2021年のラテン・グラミー年間最優秀アルバム部門にノミネート。ドリ・カイミの楽譜集や記念アルバムにも貢献した。自ら歌を生み出し、仲間の表現を支え、ブラジル音楽を次代へとつなぐ、歩みを紹介する。
10月15日(木)、東京・ハクジュホールで開かれる〈ヘナート・ブラス&フレンズ〉に出演するフレッヂ・マルチンス(Fred Martins)。1970年、ブラジルのニテロイ生まれの歌手、作曲家、ギタリストだ。サンバやボサノヴァに根ざしながら、ジャズやブルース、ファドなどを取り込み、独自の歌の世界を築いてきた。1980年代半ばに創作を始め、約10年間、ブラジル音楽の巨匠たちのソングブック制作で採譜に従事。数々の名歌手に作品が取り上げられ、2001年に初のソロ作『Janelas』を発表した。2006年にはビザ・ブラジル音楽賞の作曲家部門で優勝。2010年の欧州移住後は、国や文化を越えた共演を重ねる。2021年の『Ultramarino』、2024年のマルコス・スザーノ(Marcos Suzano)との共演作『Barbarizando geral』を経て、2025年にはカーボ・ヴェルデの歌手ナンシー・ヴィエイラ(Nancy Vieira)とのデュオ作『エスペランサ〜希望〜』を日本先行発売し、来日公演も実施。豊かな旋律と繊細な演奏でブラジルの歌の豊かさを世界へとつなぐ、その歩みと魅力を紹介する。
10代前半からその驚異的な技巧と音楽性で注目された、ブラジル出身のベーシスト/作曲家ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)。これまではベーシストとして自身のリーダー作だけでなく数多くの作品に参加し活躍してきた彼だが、30歳を迎える2026年の新譜『Minha Pele』は、ベーシストのみならず、シンガーソングライターとしての進化を存分に感じさせる明確な転換点だ。
ブラジル音楽/MPBの巨匠、ジョアン・ボスコ(João Bosco)が新作『Amigos Novos e Antigos』をリリースした。80歳を記念するスタジオ録音盤で、彼の過去の名曲の新たなアレンジと録音を軸に、半世紀前のアルバム『Essa É a Sua Vida』に収められていた楽曲をアルバムタイトルとした「新しい友と古い友」を象徴するように、同世代であるカエターノ・ヴェローゾやシコ・ブアルキ、さらに彼らの遺産を継承した新世代であるジョタ・ペーやシウヴァといったアーティストをゲストに招き、彼の長いキャリアを総括する素晴らしい作品に仕上がっている。
ブラジル出身でカナダ・トロントを拠点に活動するマルチ器楽奏者/作曲家フェリピ・セナ(Felipe Sena)を中心としたブラジリアン・サイケバンド、オービタル・アンサンブル(Orbital Ensemble)が第2作目となるアルバム『Contínua』をリリースした。今作ではブラジル音楽の伝統を基盤に、トロピカリアのサイケ感やジャズ、ファンク、ラテンなどの要素を取り込んだ、より多層感のあるアンサンブル・サウンドへと進化している。
ブラジル、アルゼンチン、ハイチ、チュニジアなど、異なる文化的背景を持つ若い音楽家たちによってカナダ・モントリオール(モンレアル)で結成された5人組、ザラム・カオ(Zalam Kao)。『Tou Lumin』は、2025年10月にリリースされた彼らにとって最初のアルバムだ。
イチベレ・ズヴァルギ(Itiberê Zwarg)率いるグループでの活躍で知られるブラジル・リオデジャネイロのサックス奏者/マルチ奏者/作曲家、ユーリ・ヴィラール(Yuri Villar)が、ソロとしては第2作目となるアルバム『A Maré』をリリースした。各種サックスやフルートの他、パーカッション、ギター(ヴィオラォン)、鍵盤楽器など多様な楽器を自身で操りながら、アルバム全体では30名を超えるゲストも参加。ブラジルらしい豊穣な音楽の文脈に根差した素晴らしい作品となっている。
とにかく、めちゃめちゃセンスのいいブラジル産ネオソウルだ。 リオデジャネイロ州出身、現在はサンパウロを拠点とするシンガーソングライター、タミ(THAMI)の新作『Relevuras』。アルバムに収録された10曲にはダンサーとしての20年のキャリアから歌手に転身した彼女に特有の音楽の身体性があり、より商業的に有利な条件の提案を“アイデンティティが失われる”からと断り、インディーズでの活動を続けることを選択したという芸術家らしい誇りも感じられる。
マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)の第2作目となるアルバム『Apuama』は、2026年のブラジル音楽(MPB)の最重要トピックとなるだろう。2024年のデビュー作『Matutando』で、ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)からレニーニ(Lenine)まで、新旧のスターたちの協力を得て“MPBの正当な後継者”として確信を強く印象に刻んだその実力はやはり伊達ではなかった。