• 2026-01-27
  • 2026-01-27

鋭利に研ぎ澄まされた爆発的プログレ・ジャズ。フランス発クインテット、Ozma 新作

フランスのドラマー/作曲家、ステファン・シャルレ(Stéphane Scharlé)が率い、“フランスの爆発的ジャズ(French Explosive Jazz)”を標榜するバンド、オズマ(Ozma)の2025年新譜『The Day We Decided to Live at Night』は、これまでの彼のキャリアの中で最もパーソナルな作品だという。テーマは「愛すべき蛇、火の妖精、金属の魔女、子供たちの悪戯、柔らかく慰める弦」。幻想的で詩的なイメージを現代的なプログレッシヴ・ジャズで表現しており、暴力と優しさという対立する要素を同じ銀貨の表裏のように描いている。

  • 2026-01-25
  • 2026-01-25

アルゼンチン・リトラル地方の豊かな音楽性と詩情。セバスティアン・マッキ新作『Grita en mí』

アルゼンチン・ブエノスアイレスのSSW/ピアニスト、セバスティアン・マッキ(Sebastián Macchi)による2025年の新作『Grita en mí』。5人編成の新しいバンド、コレクティーヴォ・バルディオ(Colectivo Baldío)による録音で、これまでの彼の作品と比較するとエレクトリックの比重が少し増したが、その美しい感性から紡ぎ出される瑞々しい楽曲群はなおも健在で、豊かな音楽体験を約束する素晴らしい内容となっている。

  • 2026-01-24
  • 2026-01-24

メキシコ先住民族出身、ラテン多文化派SSWラウラ・イタンデウイの瑞々しくも成熟した2nd

2021年のデビュー作『Laura Itandehui』での内省的で伝統を重んじたソングライティングからの明らかなフェーズの転換だ。メキシコシティのシンガーソングライター、ラウラ・イタンデウイ(Laura Itandehui)の2ndアルバム『Si Me Ven Alegre』(2025年)は近隣ラテン圏への旅を経てより明るく、開放的になった。歌詞や曲調には人生の喜びを前面に押しだし、その声にも向うべき未来への確固たる信念や自信を覗かせる。

  • 2026-01-21
  • 2026-01-21

一種独特の洗練された現代ムガームジャズ。エティバル・アサドリ、自己を探求をテーマに掲げる新譜

現代ムガームジャズの旗手であるピアニスト/作曲家エディバル・アサドリ(Etibar Asadli)の2026年新譜『WYA』は、アゼルバイジャンのアイデンティティたるムガームジャズが醸す独特の東欧・中東・西アジアの文化境界的テクスチャーと、エレクトロニックやヒップホップ、アンビエントなどの複合的な音楽要素が絡み合う、一種独特な洗練を見せた興味深い作品だ。

  • 2026-01-18
  • 2026-01-17

NYの地下ジャズシーンの雄イルハン・エルシャヒン、アナドルロックも取り込んだ注目の新作

トルコにルーツを持つスウェーデン出身のサックス奏者/作曲家であり、2000年代にニューヨーク・マンハッタンのライヴハウス、ヌブル(Nublu)の音楽文化を牽引したイルハン・エルシャヒン(İlhan Erşahin)の6枚目となるアルバム『Istanbul Sessions: Mahalle』がリリースされた。トルコの音楽に影響されたプロジェクト『Istanbul Sessions』(2010年)の続編であり、リリース元はもちろん、彼が2005年に設立したヌブル・レコード(Nublu Records)。

  • 2026-01-16
  • 2026-01-16

アルゼンチンの叙情派ピアニスト、ニコラス・ゲルシュベルグによる多彩なジャズ『En un lugar』

アルゼンチンのピアニスト、ニコラス・ゲルシュベルグ(Nicolas Guerschberg)のピアノトリオ編成による2025年作 『En un lugar』。アルバムには叙情的な自身のオリジナルのほかクラシック、ソウル、ロック、アルゼンチン・フォルクローレなどのカヴァーも含まれ、異なる時代やジャンルの橋渡しをする作品だ。20年以上にわたりステージやスタジオで演奏をともにしてきた盟友ダニエル・”ピピ”・ピアソラ(Daniel "Pipi" Piazzolla, ds)とマリアノ・シボリ(Mariano Sívori, b)とともに、熟達したジャズを聴かせてくれる。

  • 2026-01-14
  • 2026-01-13

卓抜したドラマーが牽引するドイツのアヴァン・ジャズ・カルテット新作『Discovery of Lightness』

2015年に結成されたドイツのジャズ・カルテット、クリスティアン・クリシュコフスキー・カルテット(Christian Krischkowsky Quartet)の3枚目となるアルバム『Discovery of Lightness』は、知性と本能的な躍動感が共存する、挑戦的な作品だ。セロニアス・モンクの影響を受けたビバップと、ヒップホップのヴァイブス、さらには独特のユーモラスなポップ性まで兼ね備えた個性的なジャズが彼らの魅力だ。

  • 2026-01-12
  • 2026-01-16

ピアノとギター、郷愁的なデュオ再び。ロベルト・オルツェル&ロレンツォ・コミノーリ、至高の新譜

前作『Timeline』(2020年)が高く評価されたイタリアのピアノとギターのデュオが、新たな感動を届けてくれた。ピアニストのロベルト・オルツェル(Roberto Olzer)をギタリストのロレンツォ・コミノーリ(Lorenzo Cominoli)のデュオ新譜『Dreams of Others』は、世界的な作曲家たちの楽曲のカヴァーに、少しのオリジナルを織り交ぜた、ジャズの美の極みに達した作品だ。

  • 2026-01-11
  • 2026-01-11

グラミー賞ノミネート、圧巻の“空間オーケストレーション”の芸術。ジャスティン・グレイ『Immersed』

カナダ・トロントのベーシスト/作曲家/サウンドエンジニアのジャスティン・グレイ(Justin Gray)の2025年作『Immersed』は、ジャズとインド音楽の大胆な融合を、総勢38名の音楽家の参加によって壮大に体現した稀有な作品だ。最新の空間オーディオ技術など音楽への没入感を評価するグラミー賞の部門「最優秀イマーシブ・オーディオ・アルバム(Best Immersive Audio Album)」にノミネートされるなど、音楽・音響の両面で極上の体験を味わうことができる。

  • 2026-01-10
  • 2026-01-10

多文化の狭間で生きる葛藤を生々しく音楽表現に変換。新世代鬼才ギタリスト、ルイ・マトゥテ 5th

2026年、最初の要注目作品のひとつだと全力で推したい。スイス・ジュネーヴ出身のギタリスト/作曲家ルイ・マトゥテ(Louis Matute)の第5作目となるアルバム『Dolce Vita』は、自身のルーツであるホンジュラスや音楽的な最大の影響源のブラジルの文化、ジャズのアイディアや技巧、70年代風のサイケロックなどの影響が繊細に絡み合った極上のタペストリーのような傑作だ。

  • 2026-01-06
  • 2026-01-06

ロンドンから登場、多国籍カルテット「lvdf」がジャズの新時代を宣言する

一聴してわかる音の凄みに、終始ワクワクさせられる。ロンドンのジャズシーンから、そんな新たなスーパーバンドが登場した。ちょっと不思議なグループ名の「lvdf」は「La Via Del Ferro」、つまりイタリア語で「鉄の道」の頭文字から取ったもの。イタリアの鉄産業をヨーロッパやその先へとつなげた古代の交易路に由来し、「地元の産業をより広い世界と結びつける道」の比喩として多国籍のメンバーの想いを反映している。

  • 2026-01-04
  • 2026-01-04

ノルウェー発、新世代の北欧ジャズ。リヴ・アンドレア・ハウゲ・トリオ『Døgnville』

アルバム・タイトルの『Døgnville』とは、どうやらノルウェー語に特有で翻訳が難しい言葉らしい。「døgn」(24時間、昼夜)と「vill」(野生の、道に迷った、混乱した)という単語が組み合わさっており、文字通りには「昼夜迷子」のようなニュアンスを持つという。単に時差ぼけの場合もあれば、ノルウェー北部での白夜や極夜で時間感覚を失った状態、あるいは数日間病気で寝込んだ後の時間の混乱といったときに使われるようだ。

  • 2026-01-03
  • 2026-01-02

タブーを突破し、社会を変革しようとするケニアの女性打楽器奏者カスィヴァ・ムトゥア、絶賛のデビュー作

ケニアの打楽器奏者/シンガー/作曲家のカスィヴァ・ムトゥア(Kasiva Mutua)のデビューアルバム『Desturi』は、アフリカに特有な三連符やポリリズムなど伝統的な音楽を基盤にしながらも、ジャズを深く取り込み洗練された音楽面で優れているだけでなく、女性の権利などにおいて古い慣習に囚われた同国の価値観を変革するという、社会的にも意義のある重要な作品だ。

  • 2026-01-02
  • 2026-01-02

スロベニア出身サックス奏者ユーレ・プクル、AIが席捲する時代への音楽家からの示唆に富んだ応答

スロベニア出身、現在はニューヨークを拠点とするサックス奏者/作曲家ユーレ・プクル(Jure Pukl)の新譜『Analog AI』は、生成AIがあらゆる分野を席捲し人類史に革命を起こす渦中にある現代社会に対する、音楽家からの“回答”であり、おそらくは“抵抗”だ。