• 2026-04-12
  • 2026-04-05

フィ・マロスティカ&アレシャンドリ・ヒベイロ、遊び心と多幸感溢れるデュオ・アルバム

卓越した技巧と、繊細かつ大胆な表現力。互いの音に耳を傾け、指先で呼応する。エフェクターで遊び、心から演奏を楽しむ──。ブラジルのベース奏者フィ・マロスティカ(Fi Maróstica)と、クラリネット奏者アレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)は約20年前に初めて会ったときから、互いを昔から知っている“古い友人”であるかのように感じたという。彼らの初のデュオ作である『Devaneio』は、クラリネットとベースという最小限の編成ながら、様々な工夫と遊び心によって彩られた、とても美しいアルバムだ。

  • 2026-04-10
  • 2026-04-10

音を色彩で捉える盲目の天才ピアニスト、ヤキール・アルビブ 魔法のような『アフロ・バロック』

二人の“魔法使い”の名は、イスラエル出身のピアニスト/作曲家ヤキール・アルビブ(Yakir Arbib)と、カメルーン出身のドラマー/パーカッショニスト/作曲家コンティ・ビロング(Conti Bilong)。アルバムのタイトルのとおり、二人のルーツである中東と中央アフリカの伝統的なリズムや旋法を基調とし、J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750)に代表されるバロック様式の対位法やジャズのダイナミックな即興が高度に融合した、複雑なのに親しみやすく、伝統の上に成り立っているのに斬新な演奏が繰り広げられる。

  • 2026-04-07
  • 2026-03-22

ジャズの枝葉を広げる変態ギタリスト、デヴィッド・フュージンスキー『Jazzpunk』再評価

米国のギタリスト、デヴィッド・フュージンスキー(David Fiuczynski)の1999年のアルバム『Jazzpunk』は、今こそ再評価されるべき作品かもしれない。彼にとってのヒーローたちの楽曲をジャズの技術とパンクの精神で再解釈したこのアルバムは、主流のブレイク・スルーとはならなかったかもしれないが、潜在的な意識面でジャズという音楽に対する“革新”の流れを加速させた傑作だと思う。

  • 2026-04-04
  • 2026-03-30

ブラジルを代表するショーロ・ピアニストのエルクレス・ゴメス、初の自作曲集『Bremen Solo』

ショーロに特化したブラジルの名ピアニスト、エルクレス・ゴメス(Hércules Gomes)のアルバム『Bremen Solo』は、ドイツの歴史あるコンサートホール、ゼンデザール・ブレーメン(Sendesaal Bremen)で行われたソロライヴを録音した作品。収録の16曲はすべてエルクレス・ゴメス作曲のオリジナルとなっており、稀代のショーロ・ピアニストの魅力が余すところなく発揮された絶品だ。

  • 2026-04-03
  • 2026-04-02

ブラジル出身気鋭ギター奏者ルーカス・エチェヴェリア。K.ローゼンウィンケル参加の色彩豊かな新譜

ブラジル出身、現在はドイツを拠点に活動する気鋭ギタリスト/作曲家ルーカス・エチェヴェリア(Lucas Etcheverria)が、2作目となるフルレンス・アルバム『Color Is a Gift』をリリースした。ドラムス、ダブルベースとのトリオを軸に、カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)を含むゲストを交え、卓越したコンポージングのセンスと豊かな色彩のバンド・アンサンブルが魅力の作品となっている。

  • 2026-04-01
  • 2026-03-31

気鋭トランペッター、ハーモン・メハリとフランスの知的ジャズの見事な融合。『(un)Seen』

アメリカ・テキサス州出身のエリトリア系トランペット奏者ハーモン・メハリ(Hermon Mehari)と、3人のフランス人音楽家──ピアニストのエンゾ・カルニエル(Enzo Carniel)、ベーシストのダミアン・ヴァライヨン(Damien Varaillon)、ドラマーのステファン・アズュアール(Stephane Adsuar)──によるカルテット、ナウ・ビューティ(NO(w) Beauty)による2枚目のアルバム『(un)Seen』。伝統的なジャズと、フランスらしい多文化がもたらす知的な音楽的探求が楽しい作品だ。

  • 2026-03-31
  • 2026-03-30

ドイツの歌手セリーヌ・ルドルフが歌う、至悦のブラジル音楽『Amaré』

ドイツのヴォーカリスト、セリーヌ・ルドルフ(Céline Rudolph)が、ブラジルのピアノ奏者エンヒキ・ゴミヂ(Henrique Gomide)とギター奏者ジョアン・ルイス・ノゲイラ(Joao Luis Nogueira) と共演し、ブラジル音楽を歌うヴォーカル・トリオ作『Amaré』。ブラジル音楽の豊かな遺産とジャズの即興性を融合させた作品で、タイトルは“潮”を意味する(a maré)と“愛とは”(amar é)という二つのテーマを象徴する。

  • 2026-03-29
  • 2026-03-29

カリビアン・ジャズの貴公子グレゴリー・プリヴァがピアノと歌で描く、愛と再生の物語

カリブ海に浮かぶフランス領マルティニーク出身のピアニスト/シンガーソングライター、グレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の新譜『Darling』。現代クレオール・ジャズの傑作と言って過言ではない傑作だろう。ソロピアノ作品『Yonn』(2022年)やトリオでの野心作『Phoenix』(2024年)を経て、今回のソロ作は彼のキャリアの頂点のように感じる。

  • 2026-03-28
  • 2026-03-27

UKアフロジャズの代名詞ヌビヤン・ツイスト、AI生成の時代に抗う有機的グルーヴの5th

UKジャズ/アフロビートのシーンを代表するジャズ・コレクティヴ、ヌビヤン・ツイスト(Nubiyan Twist)の5枚目となるスタジオ・アルバム『Chasing Shadows』がリリースされた。今作は“デジタル化が進む世界の中で、人間同士のつながり・温もり・即興性を再発見すること”をテーマとし、人間らしいエネルギーに溢れた音楽が繰り広げられる。

  • 2026-03-24
  • 2026-03-22

カナダを代表する歌手ドミニク・フィス=エメが歌う、“人生を縛るあらゆるものからの解放”

カナダを代表する女性シンガー、ドミニク・フィス=エメ(Dominique Fils-Aime)。ジュノー賞を受賞するなど高く評価された2023年の前作『Our Roots Run Deep』では自身が根ざすルーツについて歌い、単なる音楽を超えた彼女自身の内面や社会との繋がり、脈々と繋がれる命について深い洞察の作品だったが、この2026年作『My World Is The Sun』ではその価値観を保ちつつ、より解放的なテーマを感じさせる内容となっている。

  • 2026-03-22
  • 2026-03-20

UK現代ジャズ最前線!ママール・ハンズがGoGo Penguinのドラマーを得て初のアルバム『Circadia』

UKを代表するジャズトリオ、ママール・ハンズ(Mammal Hands)。新しいドラマーとして元ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)のロブ・ターナー(Rob Turner)が加わり、さらにレーベルをゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からアクト(ACT)に移しての最初のアルバム『Circadia』がリリースされた。タイトルは生物の約24時間周期のリズムである「サーカディアン・リズム(概日リズム)」に由来する造語で、循環や反復するリズムの上で自由な即興を繰り広げる彼らの音楽性を象徴している。

  • 2026-03-21
  • 2026-03-20

誰よりも深くブラジル音楽を愛するベト・カレッティ、“楽器同士の対話”を重視した初インスト作

アルゼンチン・ブエノスアイレス出身で、ブラジル音楽への深い傾倒で知られるシンガーソングライターのベト・カレッティ(Beto Caletti)の2026年新譜『El convite』は、彼にとって初めての全編インスト(+スキャットなどによる声)の意欲的な作品となっている。ショーロやサンバ、フォホー、MPBなどに根差した豊かなハーモニーとリズム、さらにトニーニョ・オルタのような爽やかさを感じさせる曲が多く、ほかにもエルメート・パスコアールを彷彿させる複雑さなど、彼のブラジル音楽への深い理解と愛情が凝縮された素晴らしいアルバムだ。

  • 2026-03-20
  • 2026-03-18

アルゼンチンのシンガー、ロクサナ・アメッドが探訪するアルゼンチン・ロック黄金時代

アルゼンチンのジャズ・シンガー、ロクサナ・アメッド(Roxana Amed)の2025年作『Todos los Fuegos』は、共同プロデューサーであるピアニストのレオ・ジェノヴェーゼ(Leo Genovese)とのコラボレーションで、アルゼンチンの60年代〜80年代のロック黄金期へと再訪する作品だ。

  • 2026-03-18
  • 2026-03-17

ポーランドの自然と伝統に触発された美しく壮大な叙事詩。ヤチュカ・クワパ&アンドレス・ベエウサエルトの傑作

ポーランドのSSW/マルチ奏者のヤチュカ・クワパ(Jadźka Kłapa)の2025年作『Dobry Duch』は、抒情的な物語を複雑な音楽性に乗せた素晴らしい傑作だ。このアルバムでは、彼女にとって重要な音楽的パートナーであり、アカ・セカ・トリオ(Aca Seca Trio)の鍵盤奏者として知られるアルゼンチンのアンドレス・ベエウサエルト(Andrés Beeuwsaert)を全面的にフィーチュアし、さらにはストリングス・カルテットによって荘厳な世界観な築き上げている。