• 2026-10-10
  • 2026-10-04

南アフリカのピアニスト、ボカニ・ダイアーは新譜『Traditions』で国の歴史と世界を繋ぐ

南アフリカの現代ジャズシーンを代表するピアニスト/作曲家であるボカニ・ダイアー(Bokani Dyer)が、新作『Bokani Dyer Trio - Traditions』をリリースした。これまで自身のオリジナル曲を中心に作品を発表してきたダイアーが、初めてカバー曲を主体に制作したアルバムだ。南アフリカの伝統音楽やジャズ、父親であるサックス奏者スティーヴ・ダイアー(Steve Dyer)の楽曲、バッハのコラール、アメリカのスタンダードなどを取り上げ、ピアノ・トリオを軸とした編成で演奏している。全11曲を通して浮かび上がるのは、ダイアー自身がこれまでに接してきた多様な音楽の歴史だ。

  • 2026-10-07
  • 2026-10-06

南アフリカから現れた驚異の新人ヴヨ・ヴィウェ『there are mirrors everywhere』が描く音楽の循環

とんでもない新人が現れた。ヴヨ・ヴィウェ(vuyo viwe, 本名:Vuyo Tshwele)、2026年時点で25歳の南アフリカのアーティストだ。西洋クラシックのフルートを学んだ作曲家/シンガーである彼女が、ジャズのラージアンサンブルを率いて録音したデビュー作『there are mirrors everywhere』には、ジャズに南アフリカの伝統音楽、西洋のクラシック音楽、スピリチュアルな要素、R&B、オルタナティヴ・フォークといった要素を単に組み合わせただけではない、“循環”をテーマに据えた彼女の深い哲学が感じられる。個人的には、カマシ・ワシントン(Kamasi Washington)の名盤『The Epic』(2015年)をも彷彿させる、大傑作だ。

  • 2026-10-06
  • 2026-10-05

異なる音楽文化を背景に集った意外なカルテット! ソプラノサックス奏者エミール・パリジャン新作『Floating』

フランスのソプラノサックス奏者/作曲家エミール・パリジャン(Émile Parisien)の新譜『Floating』は、多くのジャズファンが驚く作品だろう。カルテット編成だが、まず目を引くのはそのメンバー構成だ。ピアノにイスラエル出身の異色の経歴で知られるヤロン・ヘルマン、ベースには名実ともに現代ジャズ最高峰の女性ダブルベース奏者リンダ・メイ・ハン・オー、そしてタブラ/パーカッションにはインド系のプラブー・エドゥアールという、それぞれ実力は折紙付きながらなぜこの4人なのか?という謎めいた編成だ。

  • 2026-10-04
  • 2026-10-03

最高峰ベーシスト、ミシェル・ピポキーニャ新譜『Minha Pele』- SSWとしての進化、ベースヒーローたちとの夢の共演

10代前半からその驚異的な技巧と音楽性で注目された、ブラジル出身のベーシスト/作曲家ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)。これまではベーシストとして自身のリーダー作だけでなく数多くの作品に参加し活躍してきた彼だが、30歳を迎える2026年の新譜『Minha Pele』は、ベーシストのみならず、シンガーソングライターとしての進化を存分に感じさせる明確な転換点だ。

  • 2026-10-03
  • 2026-10-02

ジャズ、ヒップホップ、クラシック、プログレの間を自在に流れる幾何学的な音楽。Claudio Vignali『Flow』

イタリアのピアニスト/作曲家クラウディオ・ヴィニャーリ(Claudio Vignali)が、新譜『Flow』をリリースした。ピアノ、8弦エレクトリック・ギター、ドラムスという編成を軸とし、奇数系変拍子やラップなどを取り入れた非常にクオリティの高いコンテンポラリー・ジャズ作品となっている。

  • 2026-09-27
  • 2026-09-22

ユダヤのルーツに想いを馳せる、クラリネットとピアノの叙情派ジャズ。Sam Sadigursky & Yotam Ishay『-ish』

ロサンゼルス出身で現在はニューヨークを拠点に活動するクラリネット奏者/作曲家サム・サディガースキー(Sam Sadigursky)と、イスラエル出身のピアニスト/作曲家ヨタム・イシャイ(Yotam Ishay)によるデュオ・アルバム『-ish』。全12曲、ゲストは招かずに全編たった二人だけの演奏だが、ジャズと室内楽を軸に、イスラエルの歌曲やユダヤ音楽など、それぞれが培ってきた文化的・音楽的背景が自然に溶け込んだ興味深い作品となっている。

  • 2026-09-22
  • 2026-09-21

ブラジル音楽の色彩豊かな文脈を継承するマルチ奏者ユーリ・ヴィラール、30人以上のゲストを迎えた新作

イチベレ・ズヴァルギ(Itiberê Zwarg)率いるグループでの活躍で知られるブラジル・リオデジャネイロのサックス奏者/マルチ奏者/作曲家、ユーリ・ヴィラール(Yuri Villar)が、ソロとしては第2作目となるアルバム『A Maré』をリリースした。各種サックスやフルートの他、パーカッション、ギター(ヴィオラォン)、鍵盤楽器など多様な楽器を自身で操りながら、アルバム全体では30名を超えるゲストも参加。ブラジルらしい豊穣な音楽の文脈に根差した素晴らしい作品となっている。

  • 2026-09-21
  • 2026-09-21

感情の機微に触れる無二のトランペット。イスラエル出身イタマール・ボロホフの”わたしたちと共に”が意味するもの

前作『Arba』があまりに素晴らしく、2023年のベスト・アルバムのひとつに挙げていたトランペット奏者/作曲家イタマール・ボロホフ(Itamar Borochov)の待望の新作『Imanu』がリリースされた。タイトルは「イマーヌ」と読み、ヘブライ語で“わたしたちと共に”の意味。ユダヤ教の祈りなどにも登場する表現で、「神は私たちとともにいる」を意味する「Immanu El(インマヌエル)」にも含まれる。セファルディや音楽やユダヤの伝統を自身の音楽的ルーツとしてきた彼にとって、この言葉は、逆境のなかで音楽を通じて意味を見いだし、人や精神的な何かとつながっていくという本作のテーマと深く響きあう。

  • 2026-09-20
  • 2026-09-20

感性が奏でるチェロ、感情を乗せる歌。ジャマイカ系SSW アヤンナ・ウィッター=ジョンソン新作『New Roots』

ジャマイカをルーツにもつイギリス・ロンドンのチェロ奏者/歌手/作曲家、アヤンナ・ウィッター=ジョンソン(Ayanna Witter-Johnson)が第二作目となるアルバム『New Roots』をリリースした。ほとんどの楽曲は彼女のチェロ弾き語りを軸に、小編成ながら抒情豊かなアンサンブルで構成されており、クラシックで培われた彼女の確かな演奏力とソウルフルな歌声、そしてジャズやカリブ音楽の影響を受けた巧みなアレンジを存分に楽しめる傑作となっている。

  • 2026-09-16
  • 2026-09-16

エズラ・コレクティヴ、待望の新譜はアフリカン・ディアスポラの音楽的ルーツを辿る大作!

エズラ・コレクティヴ(Ezra Collective)が第4作目となるスタジオ・アルバム『Here Because of Hope』をリリースした。ジャケットには日本でいう三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)を思わせるポーズをした子ども達が写っている。今作は西アフリカからカリブ海を経てロンドンへと渡った黒人ディアスポラの歴史を、その土地から生まれた音楽によって辿る三部構成のコンセプティヴな作品となっており、その音楽を紐解いていくと、彼らがタイトル“希望ゆえにここにいる”に込められた想いや、印象的なジャケットの意味が見えてくる。

  • 2026-09-09
  • 2026-08-25

フィンランド発、アフロポップとジャズ、Lo-Fi Popの交差点。Sumuposauttaja Band『Work and Play』

フィンランドのアンダーグラウンド・シーンで活動するマルチ奏者/作曲家サミ・アレクシ・ケイナネン(Sami Aleksi Keinänen)が、ソロプロジェクト、スムポサウッタヤ(Sumuposauttaja)名義でのアルバム『Work and Play』をリリースした。ローファイ・ポップを起点に、パーカッション多めの生バンドのアンサンブルによって西アフリカ系のリズムを孕んだ、レトロな質感のある心地よいグルーヴを生み出す優れたアルバムに仕上がっている。