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Euro Jazz

  • 2023-07-13
  • 2023-07-12

内に秘めた情熱を美しく紡ぎ出す、ドイツの気鋭ベース奏者ニルス・クーゲルマンの初リーダー作

ドイツ・バイエルン州都ミュンヘン出身のベーシスト/作曲家ニルス・クーゲルマン(Nils Kugelmann)の初リーダー作『Stormy Beauty』が、名門ACTレーベルよりリリースされた。ピアノトリオでの演奏は力強く、情熱や美しい叙情性に溢れており、卓越した若い才能に感嘆させられる内容だ。

  • 2023-07-05
  • 2023-07-04

深い精神性で紡がれる独創的なソロピアノ。セルビア出身ボヤン・ズルフィカルパシチ『As Is』

セルビアを代表するピアニスト/作曲家Bojan Zことボヤン・ズルフィカルパシチ(Bojan Zulfikarpasic)によるソロ・ピアノでの新作『As Is』は、流れるような美しいピアノの技巧とバルカン半島の伝統音楽の影響を受けた独創的な演奏が楽しめる素晴らしいアルバムだ。

  • 2023-07-03
  • 2023-07-02

現代欧州ジャズの王者Tingvall Trio、「鳥」と彼らの環境をテーマにした最新作『Birds』

結成20周年を迎える現代ヨーロッパ・ジャズを代表するピアノトリオ、ティングヴァル・トリオ(Tingvall Trio)の通算9枚目のアルバムは“鳥”がテーマ。アルバムタイトルもそのまま『Birds』と題されてた本作で、リーダーでありピアニスト/作曲家のマーティン・ティングヴァル(Martin Tingvall)はアーティストに様々なインスピレーションを与えてくれる“自然界の音楽家”たる鳥たちへの敬意と愛情、同時に人間の活動によって鳥たちが棲む環境が失われていくことへの警鐘を鳴らす。

  • 2023-06-28
  • 2023-06-27

コロナ禍、当代最高峰の気鋭即興音楽家がリモートで集結。MultiTraction Orchestra デビュー作

米国デトロイト出身、現在はポーランドを拠点に活動する作曲家/ギタリストのアレックス・ロス(Alex Roth)の呼びかけに応じて集まった実験的ジャズ集団、マルチトラクション・オーケストラ(MultiTraction Orchestra)がファースト・アルバム『Reactor One』をリリース。演奏には北欧を代表する個性派トランペット奏者アルヴェ・ヘンリクセン(Arve Henriksen)らが参加している。

  • 2023-06-11
  • 2023-06-11

フランスの革新的ミュージシャンのデュオ、IKIRU が選んだ“エリック・サティ再訪の旅”

黒澤明の『生きる』に触発されたユニット名をもつフランスのサックスとピアノのデュオ、IKIRU。『生きる』の主人公と同じように健康上の問題を抱えるサックス奏者のファブリス・トゥイヨン(Fabrice Theuillon)が新作で選んだ題材は、それまでの音楽の常識を覆し、現代的な音楽の礎を築いたエリック・サティ(Éric Satie, 1866 - 1925)だ。

  • 2023-06-08
  • 2023-06-06

滅多に出会うことのない二つの世界の融合。歌うヴァイオリニスト、エヴァ・スロンゴ『Souffle』

スキャットで歌いながらヴァイオリンを弾くという個性的なスタイルで知られるスイス出身のエヴァ・スロンゴ(Eva Slongo)が、イタリア出身ジャズ・ピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)らとクインテットを組み、ジャズとクラシックという“滅多に出会うことのない二つの世界”の融合を目指した作品が『Souffle』(2022年)だ。

  • 2023-06-04
  • 2023-06-03

南アのギター奏者ヴマ・レヴィンとオランダの先鋭管弦楽団AM.OKの奇跡的共演!要注目の大傑作

南アフリカの気鋭ギタリスト/作曲家ヴマ・レヴィン(Vuma Levin)が、自身のクインテットとオランダ・アムステルダムの管弦楽団アモック(AM.OK)とともに制作した新作『The Past Is Unpredictable, Only the Future Is Certain』が素晴らしい。南アフリカの先住民族の伝統的な音楽実践と楽器編成をベースとしつつ、ジャズ、ポピュラー音楽、カリブ海の音楽、そして西洋クラシック音楽のオーケストラというフィルターを通して構築された音世界は越境的で斬新。

  • 2023-06-01
  • 2023-05-29

フィンランドの奇才イーロ・ランタラ、ベルリン・フィルとの共演でヴェネツィアの音楽と芸術を描く

ジャズとクラシックに跨って活躍し、他の追随を許さない圧倒的な超絶技巧とユーモアのセンスで知られるフィンランドの奇才ピアニスト/作曲家イーロ・ランタラ(Iiro Rantala)。ソロピアノ作『Potsdam』から1年ぶりのリリースとなる2023年新譜『Veneziana』は、多くの芸術家たちが憧憬した水の都ヴェネツィアをテーマに、かの地に生きた作曲家たちへの敬意を表し新たに書かれた楽曲群を、ベルリン・フィルハーモニーの名手たちを従えて演奏した実況録音盤だ。

  • 2023-05-31
  • 2023-05-30

ベルギーの伝統音楽にインスパイアされたピアノトリオ、Mapping Roots デビュー作『First Daylight』

ベルギーのベーシスト/作曲家のミシェル・ヴリダーグ(Michel Vrydag)が率いるベルギーのピアノトリオの第一作『First Daylight』。ピアノには同郷のブラム・ワイテルス(Bram Weijters)、ドラムスにオランダ出身のダニエル・ヨンカース(Daniel Jonkers)という布陣で、全14曲、計88分に及ぶ壮大なアルバムとなっている。

  • 2023-05-28
  • 2023-05-28

エルチン・シリノフのピアノで、スコットランドの伝統曲を謳う。ジャズ×フォークの温かな作品

スコットランドのヴォーカリスト、ルイーズ・ドッズ(Louise Dodds)と、アゼルバイジャン出身のピアニスト、エルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)のデュオによるスコットランド歌曲集 『Two Hours After Midnight』がリリースされた。スコットランドの原風景を感じさせる素朴で美しい旋律と歌声、個性的で優れた編曲とピアノ演奏がジャズの感性で調和し、耳に優しく響く素晴らしい作品だ。

  • 2023-05-27
  • 2023-10-28

ウクライナ出身歌手ローラ・マルティ、あまりに美しいラーシュ・ダニエルソンへのトリビュート作品

ウクライナ出身の歌手ローラ・マルティ(Laura Marti)が、スウェーデンのベーシスト/作曲家ラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)へのトリビュート・アルバム『Africa』をリリースした。アルバムには(1)「Africa」や(3)「Lviv」といったラーシュ・ダニエルソンの過去の名曲のほか、ラーシュがローラのために書き下ろした新曲(5)「For Laura」も収録されている。アレンジはウクライナを代表する女性ピアニストのナターリヤ・レベジェヴァ(Nataliya Lebedeva)によって施されている。

  • 2023-05-11
  • 2023-05-10

奇術のようなサウンド・デザイン。仮面のピアニスト、ランバート新譜『All This Time』

仮面で素顔を隠し活動するドイツのピアニスト/作曲家ランバート(Lambert)による実験的な新譜『All This Time』。カテゴライズするとしたら、ジャズか現代音楽、もしくはクラシック・クロスオーヴァーか。エレクトロニックも交え、刺激的な世界観だが、音は聴きやすく万人にもおすすめできる作品だ。

  • 2023-05-04
  • 2023-05-04

ポーランドの気鋭クインテットEABS、知的好奇心を刺激する宇宙SF的ジャズ『2061』

“Electro Acoustic Beat Sessions”の頭文字をとったバンド名をもつポーランドのEABSは、現代でもっとも革新的で挑戦的なジャズバンドと称賛されている。サン・ラへのトリビュート・アルバム『Discipline of Sun Ra』(2020年)に続いて彼らが放つ新作『2061』は、壮大なSF的宇宙観と哲学を持つ彼らの個性をより強く印象付ける魅力的な作品だ。