「22」の数字に導かれたカリビアン・ジャズ傑作。ジャック・シュワルツ=バール&グレゴリー・プリヴァ

Jacques Schwarz Bart & Grégory Privat

Jacques Schwarz Bart & Grégory Privat 初デュオ作『22』

偶然か必然か、「22」という数字に導かれたアンティル諸島生まれの二人の音楽家による素敵な音の語らいである。ともに12月22日生まれ、歳の差は22歳、そして初めて出会ってから22年の節目となるサックス奏者のジャック・シュワルツ=バール(Jacques Schwarz-Bart)と、ピアニストのグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の初デュオ作『22』

アルバムには10の楽曲が収録されており、6曲をジャック・シュワルツ=バール、残りの4曲をグレゴリー・プリヴァが作曲している。ドラムレス、ベースレスのデュオだが、だからこそ表現できる恍惚とした光彩に満ち、ときには捉えどころのない憂いを帯びた表情を見せる。二人のルーツであるカリブ海の伝統音楽とジャズの融合を軸としつつ、リズムも旋律も現代的で未来志向で、輝かしい希望や、夢のような情景をその創造的な音に乗せている。

グレゴリー・プリヴァ作曲の(2)「Isaïah」

中東の社会情勢への想いを寄せる(3)「Peace In The Middle East」も印象的だ。作曲者であるジャック・シュワルツ=バールの父親アンドレ・シュワルツ=バール(André Schwarz-Bart, 1928 – 2006)はポーランド系ユダヤ人で、ホロコーストを生き延びた作家として知られている。楽曲にはそうしたルーツが強く反映され、中東風の旋律も交えながら大胆なリズムで現在進行形の恐怖や不安を表現し、平和への切実な祈りを捧げる。

Jacques Schwarz-Bart 略歴

テナーサックス奏者のジャック・シュワルツ=バールは1962年12月22日、フランス領グアドループ出身。父親はユダヤ系作家アンドレ・シュワルツ=バール、母親はフランスの小説家シモーヌ・シュワルツ=バールで、幼少期から文学と音楽に囲まれた環境で育つ。

パリでクラシック音楽を学んだ後、1990年代初頭にボストンのバークリー音楽大学でジャズを専攻。ハービー・ハンコックやウェイン・ショーターらに影響を受け、ジャズにグウォカ(グアドループの伝統音楽)を融合させるスタイルを確立する。1996年にニューヨークに移り、ロイ・ハーグローヴやダニーロ・ペレスらと共演。2000年代にはソロアーティストとしてアルバム『Immersion』(2000年)や『Soné Ka-La』(2006年)をリリースし、グウォカとジャズの革新的な融合で注目を集める。2008年の『Abyss』ではスピリチュアルなテーマを掘り下げ、2018年の『Hazzan』ではユダヤ音楽の要素を取り入れるなど、多様な文化的背景を音楽に反映させる。

Grégory Privat 略歴

ピアニストのグレゴリー・プリヴァは、1984年12月22日にフランス領マルティニークで生まれた。父親のホセ・プリヴァ(Jose Privat)はマルティニークの伝統音楽をジャズと融合し1980年代に人気を博したバンド、マラヴォワ(Malavoi)に中途加入したピアニストで、彼も6歳頃よりピアノを学び始めた。

大学卒業後2004年から2007年まではエンジニアの職に就きながら度々セッションに参加していたが、音楽の夢を諦めきれずに27歳でプロのピアニストに転向。2008年にはモントルー・ジャズ・フェスティバル・コンクールで準優勝、2010年にはマーシャル・ソラル・コンクールで準決勝に進出した。

2011年にデビュー作『Ki Koté』で圧倒的な作曲能力やピアノの技巧を披露し世界中で話題に。さらにグアドループ出身のドラマー/パーカッショニスト、ソニー・トルーペ(Sonny Troupé)との2015年のデュオ作品『Luminescence』での異国情緒溢れるジャズでさらに多くのファンを獲得。2017年にはスウェーデンのベーシスト/チェリスト、ラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)のプロジェクト『Liberetto III』にティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)の後継として参加。
これまでに8枚のリーダー作、そして20枚以上の作品にサイドマンとして参加するなど、アフロ・カリビアンジャズの第一人者として活躍を続けている。

Jacques Schwarz-Bart – tenor saxophone
Grégory Privat – piano

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