- 2026-02-24
- 2026-02-23
ユダヤ文化とジャズの即興芸術を深く繋ぐ。異色の経歴の音楽家ヨセフ・ガトマン新譜『夜の断片』
南アフリカで生まれ、NYでジャズ・ベーシストとして活躍し、10年ほどの活動休止を経て現在はイスラエル・エルサレムで静かながら文化的に重要な音楽活動の動きを見せるヨセフ・ガトマン(Yosef Gutman) は、──彼自身はそう呼ばれることをあまり好まないかも知れないが──特別な音楽家だと断言してよいだろう。
イスラエル・ジャズ
南アフリカで生まれ、NYでジャズ・ベーシストとして活躍し、10年ほどの活動休止を経て現在はイスラエル・エルサレムで静かながら文化的に重要な音楽活動の動きを見せるヨセフ・ガトマン(Yosef Gutman) は、──彼自身はそう呼ばれることをあまり好まないかも知れないが──特別な音楽家だと断言してよいだろう。
イスラエル・テルアビブ出身、現在はニューヨークのマンハッタンを拠点とするギタリスト/シンガーソングライターのエリー・パールマン(Ely Perlman)による2025年作『Everything Should Be』は、ドリーミーなベッドルーム・ポップとジャズを掛け合わせたような白昼夢的サウンドが心地よい作品だ。演奏にはゲストとして彼が所属するバンド「Ursa Major」のリーダーであるベース奏者クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)や、イスラエルを代表するピアニストのシャイ・マエストロ(Shai Maestro)なども参加。
イスラエル出身のピアニスト/作曲家ヨタム・イシャイ(Yotam Ishay)が、8ヶ国から23人のミュージシャンを招き、伝統的なユダヤ音楽をベースに、ジャズを通じて世界との対話を試みた新作『Singing of The Herbs』。ピアノを中心とし、ヴォーカルやスポークン・ワード、ストリングスなども交えたバラエティに富んだ楽曲が収録されており、どこか神秘的で厳かな雰囲気を漂わせる美しい作品だ。
イスラエル出身、ニューヨークを拠点に活動するギタリスト/作曲家のナダフ・レメズ(Nadav Remez)のアルバム『Summit』は、イスラエルとアメリカの幅広い年代のメンバーからなるクインテットで硬派な”イスラエル・ジャズ”を聴かせてくれる好盤だ。
クラシック・ピアニストとしての経験から生み出された独自のアプローチで注目されるジャズ・ギタリスト、ヨアヴ・エシェド(Yoav Eshed)の新作『Guitar Hearts』がリリースされた。今作もカルテット編成を基本としており、NY出身のベース奏者ベンジャミン・ティベリオ(Benjamin Tiberio)と、韓国出身でNYで活躍するドラマーキム・ジョングク(Jongkuk Kim)を前作から引き続き起用。ここに新たにGTOトリオで知られるピアニストのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)が加わり、全編で素晴らしい演奏が繰り広げられる。
現代ジャズ・ギターの第一人者の一人、ロテム・シヴァン(Rotem Sivan)の2025年の新作『Heart Thieves』がリリースされた。コアトリオを組むのはニューヨークでも注目を集める二人の若手、ニュージーランド出身のベース奏者ハミッシュ・スミス(Hamish Smith)とNYブロンクス生まれのドラマー、ミゲル・ラッセル(Miguel Russell)。
中東にルーツを持つイギリス・ロンドン出身のドラマー/作曲家ナダフ・シュニールソン(Nadav Schneerson)が、7人編成のバンドを率いて録音したデビュー作『Sheva』が面白い。多様かつ優れた若手ジャズ・アーティストを輩出し続けるトゥモローズ・ウォリアーズ(Tomorrow’s Warriors)出身の彼は、文化的多様性の坩堝である同団体で得た多くの学びと、ユダヤ人である自身のルーツを融合させ、熱狂的なジャズ・アンサンブルを創り上げた。
イスラエル・プログレ〜ジャズ界隈の代表的ピアニスト/作曲家のエレズ・アヴィラム(Erez Aviram)がオクテットを率いてニューヨークで録音した新作 『ENSEMBLE』が素晴らしい。彼のピアノはもちろんのこと、管楽器も弦楽器もそれぞれが主役となる稀有なアンサンブルによって、エレズ・アヴィラムという鬼才の音楽の源泉であるジャズ、プログレ、中東音楽、各地のワールド・ミュージックの折衷的で驚きに満ちた音世界が豊かに広がる。
イスラエル出身のギタリスト、インバール・フリードマン(Inbar Fridman)の新譜『Mercy』。バンドメンバーには鍵盤奏者のカティア・トゥーブール(Katia Toobool)、ベーシストのリオール・オゼリ(Lior Ozeri)、ドラマーのヨゲフ・ガバイ(Yogev Gabay)を迎えている。メロウなトーンのインバール・フリードマンのギターを中心に、とろけるようなエレピやフレットレス・ベースが絡む良質なエレクトリック・ジャズだ。
現在のジャズ・ハーモニカの第一人者、イスラエル出身のヨタム・ベン=オール(Yotam Ben-Or)の新譜『Impermanence』がリリースされた。長年のコラボレーターであるベネズエラ出身のピアニストのガブリエル・チャカルヒ(Gabriel Chakarji)らを擁するカルテットを中心とし、南米や中東の伝統的な素朴で印象に残るメロディーから、キューバやベネズエラの音楽に触れたことで形成された複雑なリズムまで、音楽家としての彼の繊細で豊かな感情に触れることのできる一枚だ。
アルバムの1曲目、最初の1音からリスナーの心を強く掴む作品は、そうそう多くはない。そしてそうした作品は、ほとんどが「傑作」「名盤」と呼ばれる類のものだ。名門ACTレーベルよりリリースされたイラク系イスラエル人鍵盤奏者、シャロン・マンスール(Sharon Mansur)のトリオでのデビュー・アルバム『Trigger』はまさにそれに当てはまる作品だ。ピアノトリオの作品だが、プログレや中東音楽からの強い影響を感じさせるそのサウンドはとてつもなく鮮烈で、この女性ピアニストへの興味を掻き立てる。
アヴィシャイ・コーエン・トリオへの参加で知られ、イスラエルの現代ジャズ・シーンを拡張する第一人者である鍵盤奏者ニタイ・ハーシュコヴィッツ(Nitai Hershkovits)と、新進気鋭レーベル「Stones Throw」を主催するプロデューサー/マルチ奏者リジョイサー(Rejoicer)による新しいプロジェクト、シネマ・ロイヤル(Cinema Royal)が始動し、最初のアルバム『Cinema Royal』がリリースされた。
現代ジャズ、とりわけイスラエル・ジャズのキーマンと言えるドラマーのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)が新作『Time Traveler』をリリースした。バンドはカルテット編成で、ピアノにトメル・バール(Tomer Bar)、ギターにニツァン・バール(Nitzan Bar)、ベースにタル・マシアハ(Tal Mashiach)という、全員が既にリーダー作を何枚もリリースしており、まさに若手最強のメンバーを揃えたと言って過言ではないだろう。
イラク、モロッコ、ポーランドにルーツを持つイスラエルのピアニスト、ガイ・ミントゥス(Guy Mintus)がイスラエルの音楽に焦点をあてた『The Great Israeli Songbook』は、ソロピアノの新しい名盤だ。キャッチーだが心に残る美しいメロディーから、中東特有のマカームの旋律まで、イスラエルに伝わるバラエティ豊かな名曲を天才的なピアノで吟遊詩人のように現代に伝えている。