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アフリカ音楽

  • 2025-06-08
  • 2025-06-08

南アフリカの気鋭SSWガビ・モトゥバ。弦楽四重奏を核とした変則Jazzで魅せる、亡き父への手紙

南アフリカの気鋭シンガーソングライター、ガビ・モトゥバ(Gabi Motuba)の2枚目のフルアルバムとなる『The Sabbath』(2024年)が素晴らしい。敬愛する父親を新型コロナウイルス感染症で亡くしたことをきっかけに制作した、弦楽四重奏を中心とした前作の5曲入りEP『The Sabbath』(2022年)をより発展させた形となっており、彼女のこれまでの作品と同じように弦楽四重奏をサウンドのコアとしつつ、ギターやドラムスなどを加えたジャズに寄せた編成で奏でられる音楽は至福の極みだ。

  • 2025-05-18
  • 2025-05-18

ノンストップで心踊るフラフラ・ゴスペル!ガーナ北部発、俄かに注目を浴びるアログテ・オホの2nd

ガーナ北部ボルガタンガのフラフラ・ゴスペルのシーンを代表するバンド、アログテ・オホ&ヒズ・サウンズ・オブ・ジョイ(Alogte Oho & His Sounds of Joy)の2ndアルバム『O Yinne!』(2023年)が最高だ。絶え間なく降り注ぐアフロ・フューチャリスティックな重厚なグルーヴ、力強いブラスや女性コーラス、そしてアフロビート、ハイライフ、ジャズやR&B、レゲエなどを自由に飲み込んだ音楽観が生み出すエネルギーは活力と喜びに満ちている。

  • 2025-05-17
  • 2025-05-16

アフリカとジャズを再び繋ぐ。セネガル出身ベーシスト、アルネ・ワデ『New African Orleans』

セネガル出身のベーシスト/作曲家アルネ・ワデ(Alune Wade)は、新作『New African Orleans』で、タイトルが象徴するようにジャズの発祥地ニューオーリンズと、アフリカ文化との繋がりを探求している。本作は単なる音楽ジャンルや文化の融合ではなく、アフリカとそのディアスポラの歴史、魂、そしてレジリエンスを讃える対話だ。

  • 2025-04-25
  • 2025-04-25

アンゴラ・センバの伝道師パウロ・フローレス。愛と苦難、希望と文化を美しく歌う集大成的新譜

アンゴラのセンバの巨匠、パウロ・フローレス(Paulo Flores)が新作『CANÇÕES QUE FIZ PRA QUEM ME AMA』をリリースした。今作はアンゴラを象徴する音楽家として37年のキャリアを誇る彼の集大成的な作品で、祝祭的なエネルギーに満ち、ポジティヴな印象を受ける仕上がりだ。

  • 2025-03-08
  • 2025-03-08

ガーナの伝統と未来を描く“フラフラ・ゴスペルの女王”フローレンス・アドーニ、傑作デビュー作

ガーナの“フラフラ・ゴスペル・クイーン”として注目される歌手フローレンス・アドーニ(Florence Adooni)による国際シーンにおけるデビュー作『A.O.E.I.U. (An Ordinary Exercise In Unity)』。伝統と革新の絶妙なバランス、力強いヴォーカルと洗練されたプロダクション、そして“団結”という普遍的なメッセージによって多くのリスナーに強いインパクトを残す作品となっている。

  • 2025-02-08
  • 2025-02-08

南アフリカの新星ロリサン・セシェレ、とてつもなく大きく花開く予感のするデビュー作『The Seed』

南アフリカ・プレトリア生まれの作曲家/シンガー、ロリサン・セシェレ(Rorisang Sechele)が初のアルバム『The Seed』で華々しいデビューを飾った。彼女のプロジェクト「In Full Bloom」は花(とりわけ、蘭)のライフサイクルの各段階にインスピレーションを得ており、歌詞と音で自己発見の本質を捉えている。そのプロジェクト発の最初のリリースである本作では、成長の最初期の段階についての考察を、ジャズ、ソウル、R&Bを巧みに融合したサウンドで美しい物語に仕立て上げた。

  • 2025-01-04
  • 2025-01-04

トーゴ発の衝撃的アフロ・サイケ傑作!アラガア・ビートがアフリカ音楽の新時代を開拓する

トーゴ出身で米国ワシントンD.C.に20年間住み、現在はトーゴの首都ロメとワシントンD.C.を行き来するシンガーソングライター/ギタリストのドゴ・デュ・トーゴ(Dogo Du Togo)が率いるバンド、アラガア・ビート・バンド(The Alagaa Beat Band)のデビュー・アルバム『Avoudé』。彼が“アラガア・ビート”と呼ぶサウンドは、トーゴの伝統的なリズムや旋律にロックやファンクの要素が絡み、エネルギーに溢れる独特の創造的な音楽を作り上げている。

  • 2024-11-26
  • 2024-11-25

ジンバブエ・ヴィクトリアの滝から現れた最高のアフロ・フュージョンバンド、Flying Bantu

世界最大の瀑布であるジンバブエのヴィクトリアの滝近くを拠点とするバンド、フライング・バントゥー(Flying Bantu)。非常に洗練されたアフロ・フュージョンで、ファンク、レゲエ、ロック、ジャズの要素が混ざり合ったサウンドに英語やバントゥー語の歌詞が乗る。楽器は一部でムビラの音色が聴こえるほかはほぼ西洋楽器で、スケールなども西洋音楽のものなので民族音楽色はかなり薄いが、それが逆に耳馴染みの良さに繋がっている。

  • 2024-10-25
  • 2024-10-25

カメルーンをルーツに持つベルギーの女性コラ奏者/SSWルビアナ、音楽の本質を捉えた傑作新譜

カメルーンとベルギーのハーフであり、世界的に見ても珍しい女性コラ奏者/シンガーソングライターのルビアナ(Lubiana)の新譜『Terre Rouge』が素晴らしい。アルバムのタイトルはフランス語で“赤い大地”を意味する。それは彼女が幼少期から毎年家族とともに訪れた父の故郷アフリカ・カメルーンの真っ赤な土の色の記憶であり、コラの繊細な音に乗せて歌うその声にはアフリカへの強い望郷の想いが滲む。

  • 2024-10-19
  • 2024-10-19

ルゾフォニアと地中海音楽の魅力を凝縮したバンド、Ayom。3つのテーマから成る傑作新譜『Sa​.​Li​.​Va』

ブラジル、アンゴラ、イタリア、ギリシャ出身の6人のメンバーで構成され、ポルトガルのリスボンとスペインのバルセロナを拠点とする多文化バンド、アヨム(Ayom)の2ndアルバム『Sa​.​Li​.​Va』が素晴らしい。ブラジル出身で2008年にバルセロナに移住した女性ヴォーカリスト/打楽器奏者ジャブー・モラレス(Jabu Morales)を中心とするバンドは、ブラジル、アンゴラ、そしてカーボベルデというルゾフォニア(ポルトガル語圏諸国)の音楽文化を結び、そこに地中海沿岸の伝統音楽の影響も加え、とても面白い作品を作り上げた。

  • 2024-09-23
  • 2024-11-23

トランペットに新時代到来! イブラヒム・マアルーフが導くジャズ・ルネッサンス

フランスのジャズ・トランペットのスーパースター、イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)が16枚目のスタジオ・アルバム『Trumpets of Michel-Ange』をリリースした。編集やオーバーダブを用いず、大人数のバンドでライヴ録音された作品で、凄まじいほどの熱を帯びる。“ミケランジェロのトランペット”というタイトルは単にアルバムのタイトルというだけでなく、半世紀以上前に彼の父親が発明し、彼のトレードマークでもあるユニークな四分音トランペットを世界に広め、誰もが楽しめるようにすることを最終目標とする、大規模な教育プロジェクトの名称(T.O.M.A.)でもある。

  • 2024-09-14
  • 2024-09-28

まさに読む音楽。ミシェル・ンデゲオチェロの最新作『No More Water: The Gospel of James Baldwin』

タイトルに冠されたアフリカ系アメリカ人の思想家・ジェームズ・ボールドウィン(James Boldwin)。彼にインスパイアされた本作は、近年のアートポップ路線でありながらも、ポリティカルでより人間の内面を炙り出すようなメッセージ性の強い作品に仕上がった。"読む音楽"と呼びたくなる示唆に富んだミシェル・ンデゲオチェロの最新作を紐解いていきたい。

  • 2024-08-16
  • 2024-08-15

マロヤ、ブラジル、アフリカ、中東… 雑多な影響源を洗練されたサウンドに凝縮。Bonbon Vodou 新作

歌手オリアーヌ・ラカイユ(Oriane Lacaille)をフィーチュアしたレユニオン島の音楽・マロヤを受け継ぐフランスのバンド、ボンボン・ヴォドゥ(Bonbon Vodou)の2024年新作EP『Afrodiziak』が素晴らしくヤバい。たった4曲のEPだが、これは必聴だ。多数のパーカッションが生み出す南国のグルーヴ(それは決してマロヤの範疇に留まらない)と、フランス語とレユニオン・クレオール語による新鮮なサウンドが耳を貫き、体を激しく揺さぶる。