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ベース

  • 2025-05-24
  • 2025-05-18

“歌うドラマー”セルジオ・ヘジ、ブラジル音楽史を高濃度に凝縮したデビュー作『Um Olhar Interior』

ブラジル音楽ファンにとっては堪らないアルバムだ。ロサンゼルスの音楽学校ミュージシャンズ・インスティチュートを卒業後ブラジルに戻り、1990年代からの長いキャリアの中でイヴァン・リンス、パウリーニョ・ダ・ヴィオラ、エルザ・ソアレス、シコ・ブアルキ、ミルトン・ナシメントなど名だたるミュージシャンたちと共演を重ねてきたベテランのドラマー、セルジオ・ヘジ(Sérgio Reze)がついに自身初のリーダー作 『Um Olhar Interior』をリリース。その輝かしい経歴を辿るように、ブラジル史に残る名曲の数々をドラムス、クラリネット、ピアノ、ベースのジャズ・カルテット編成で仕立て上げた。

  • 2025-05-20
  • 2025-05-19

天才ドラマー、オフリ・ネヘミヤの過去から現在までの自己実現の旅路。『Time Traveler』

現代ジャズ、とりわけイスラエル・ジャズのキーマンと言えるドラマーのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)が新作『Time Traveler』をリリースした。バンドはカルテット編成で、ピアノにトメル・バール(Tomer Bar)、ギターにニツァン・バール(Nitzan Bar)、ベースにタル・マシアハ(Tal Mashiach)という、全員が既にリーダー作を何枚もリリースしており、まさに若手最強のメンバーを揃えたと言って過言ではないだろう。

  • 2025-05-17
  • 2025-05-16

アフリカとジャズを再び繋ぐ。セネガル出身ベーシスト、アルネ・ワデ『New African Orleans』

セネガル出身のベーシスト/作曲家アルネ・ワデ(Alune Wade)は、新作『New African Orleans』で、タイトルが象徴するようにジャズの発祥地ニューオーリンズと、アフリカ文化との繋がりを探求している。本作は単なる音楽ジャンルや文化の融合ではなく、アフリカとそのディアスポラの歴史、魂、そしてレジリエンスを讃える対話だ。

  • 2025-05-13
  • 2025-05-11

エモーショナルな人生のサウンドトラック。ニルス・クーゲルマン 2nd『Life Score』

ドイツのベーシスト/作曲家ニルス・クーゲルマン(Nils Kugelmann)が、“人生のサウンドトラック”をテーマに据えた第2作目『Life Score』をACTレーベルよりリリースした。高く評価された前作『Stormy Beauty』と同様、ピアノにルカ・ザンビート(Luca Zambito)、ドラムスにセバスチャン・ヴォルフグルーバー(Sebastian Wolfgruber)とのトリオで、より緻密で力強く物語性のある現代ジャズを聴かせてくれる秀逸な作品に仕上がっている。

  • 2025-05-06
  • 2025-05-06

北欧ジャズの生き字引、テリエ・ゲヴェルト 珠玉の未発表音源集『Then and Now』

1960年にノルウェーのオスロで生まれ、小さな港町ラルヴィクで育ったベーシスト/作曲家テリエ・ゲヴェルト(Terje Gewelt) 。10歳のときにギターを手にし弦の振動に心を奪われ、14歳でエレクトリックベースに魅了され、17歳でアコースティックベースと運命的な出会いを果たした彼はその後渡米し名門バークリー音楽大学でジャズを学び、ジャコ・パストリアスやデイヴ・ホランドに個人指導を受け、その技と感性を磨いてきた。

  • 2025-04-27
  • 2025-04-27

壮大な自然にインスパイアされた、心が洗われるシネマティック室内ジャズ。Vega Trails 新譜

Portico Quartetのベース奏者/作曲家ミロ・フィッツパトリック(Milo Fitzpatrick)率いるヴェガ・トレイルズ(Vega Trails)が、絶賛された前作『Tremors in the Static』から3年ぶりとなる待望の2ndアルバム『Sierra Tracks』をリリースした。木管奏者ジョーダン・スマート(Jordan Smart)とのデュオ編成だった前作から楽器のパレットを大きく拡げ、ピアノやドラムス、室内楽オーケストラを加えた編成で幻想的で美しい音楽を繰り広げる傑作となっている。

  • 2025-04-26
  • 2025-04-26

スーパーベーシスト、モヒニ・デイ最新作!強烈な印象を残すプログレッシヴ・ジャズロック

米国ロサンゼルス出身、現在はインドに移住したサックス奏者/作曲家マーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)と、彼の妻でありインド出身の世界的なベース・ヒロインであるモヒニ・デイ(Mohini Dey)、そしてモヒニと長年音楽活動を共にしてきたインド出身のドラマー、ジーノ・バンクス(Gino Banks)によるプログレッシヴ・ジャズロック・トリオ、マモジ(MaMoGi)が新作『MaMoGi II』をリリースした。トリオのデビュー作『Mamogi』(2023年)から2年、今作でも強固でパワフルで超絶的なバンドサウンドを聴かせてくれる好盤となっている。

  • 2025-04-20
  • 2025-04-20

ブラジル音楽への深い敬意が込められた名手たちの最高のギタートリオ。名曲に吹き込む新たな視点

ブラジルに生まれ、現在はオランダで活動するベーシストのマテウス・ニコライエフスキー(Matheus Nicolaiewsky)が、イスラエル出身米国在住、南米音楽に造詣の深いギタリストのヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)と、ブラジルのドラマーキコ・フレイタス(Kiko Freitas)とのトリオでデビューアルバム『Volume I』をリリースした。

  • 2025-03-29
  • 2025-04-26

音楽を再定義する可能性を秘めた壮大な芸術的実験。ポーランドの鬼才レシェック・モジジェル新譜

ポーランドのピアニスト、レシェック・モジジェル(Leszek Możdżer)は新作『Beamo』で、彼の前作『Passacaglia』(2024年)で試みた調性に対する実験をさらに大胆な形で更新している。彼はそれぞれ調律の異なる3台のピアノを用い、調性を放棄するのではなく、調性を拡張する形で音楽そのものを美しく再構築する。

  • 2025-03-16
  • 2025-03-12

鋭くウィットに富んだ視点で社会を皮肉る強烈なアヴァン・ジャズロック。Kadawa 驚異の新譜

イスラエル出身、米国を拠点とするジャズ/プログレシーンで強い存在感を示すジャズロックバンド、カダワ(Kadawa)が2枚目のフルアルバム『Post Graduation Fees』をリリースした。今作はオーヴァーダビングを多用するなどトリオのコア・サウンドを拡張した野心的な作品で、尽きない音楽的探究心によって培われた技巧と芸術性、そして彼ら特有のウィットに富んだ表現力が炸裂する。合わせ鏡によって無限の深淵を覗かせるジャケットが象徴するように、独特の深みを持った傑作だ。

  • 2025-03-01
  • 2025-03-01

ダブルベースの革命家アダム・ベン・エズラ、孤高の極みに達する新譜『Heavy Drops』

卓越した個性的な技術でダブルベース(コントラバス)のソロ演奏に革命をもたらしたイスラエル出身のベーシスト/作曲家アダム・ベン・エズラ(Adam Ben Ezra)が、新作『Heavy Drops』をリリースした。今作はキューバ出身の打楽器奏者ミシャエル・オリべラ(Michael Olivera)を伴奏者に迎え、圧巻の技巧とグルーヴを堪能できる作品となっている。

  • 2025-02-24
  • 2025-02-25

目に見えないもの、語られないものへの美しい賛辞。ペトロス・クランパニス 国籍を超えたトリオでの新作

ギリシャ出身のベーシスト/作曲家ペトロス・クランパニス(Petros Klampanis)の新作『Latent Info』。アルバムはエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)とイスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)との共同名義だが、収録曲は多くがペトロス・クランパニスの作曲クレジットとなっている。

  • 2025-02-22
  • 2025-02-22

多文化共生のカナダ・トロントJAZZシーンを象徴する最強ピアノトリオ! Jeremy Ledbetter Trio

カナダ・トロントを拠点とするピアニスト/作曲家ジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)率いるピアノトリオの2024年新譜『Gravity』。スナーキー・パピー(Snarky Puppy)のドラマーとして知られるラーネル・ルイス(Larnell Lewis)と、スティーヴ・コールマン(Steve Coleman)との活動で知られるベーシストのリッチ・ブラウン(Rich Brown)とのトリオで、2018年のデビュー作『Got a Light?』以来の新作だ。

  • 2025-02-13
  • 2025-02-12

“豪州ジャズの未来”ロス・マクヘンリー、壊滅的な森林火災や家族の想い出をテーマにした新譜

オーストラリア出身のベーシスト/作曲家ロス・マクヘンリー(Ross McHenry)の5枚目のアルバム『Waves』(2024年)。2019年の夏のオーストラリアを襲った史上最悪の森林火災をきっかけに制作された。バンドはドラムスのエリック・ハーランドやピアノのマシュー・シーンズを中心に、テナーサックスのダニー・マッキャスリン、トランペットのアダム・オファーリル、ギターのベン・モンダーとNYで活躍するスターが集結。前述の災害を含め、ロス・マクヘンリーの個人的な記憶に基づく出来事で覆われており、全体的に彼の優れたストーリーテラー/作曲家としての輝きを強調する素晴らしく調和した演奏で、“内省的”という看板を掲げるに相応しい作品となっている。