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ブラジル

  • 2026-06-30
  • 2026-06-30

ミルトン・ナシメントの五拍子と変拍子の世界|映画『ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー』公開記念ミニコラム

ミルトン・ナシメント、そしてクルービ・ダ・エスキーナ周辺の音楽の魅力は、5/4や9/4といった複雑な拍子を、技巧の誇示としてではなく、ひとつの自然な呼吸として聴かせてしまうところにもあります。 変拍子というと、どこか難解で、数えながら聴く音楽のように思われがちです。けれどミルトンの音楽では、拍子の複雑さが前に出ることはほとんどありません。ミナスの山並み、言葉の抑揚、記憶の揺れ、歩く速度、歌う人の息づかい。そうしたものがそのまま旋律になった結果、音楽が四角い小節の枠から少しだけはみ出していく。そこに、彼のリズムの不思議があります。

  • 2026-06-26
  • 2026-06-26

ロー・ボルジェスが残した最後の贈り物|ローが生前完成させていたアルバムが発表に

2023年、ロー・ボルジェスと兄のマルシオ・ボルジェスは、アルバム『A estrada(道)』を構想した。それは、「Tudo que você podia ser(なれたかもしれないすべて)」(1972年)や「Um girassol da cor de seu cabelo(君の髪の色のひまわり)」(1972年)といったスタンダード・ナンバーを生み出した、1970年代から続く二人のパートナーシップの「終着点」として計画されたものであった。しかし、ミナスジェライス州出身のこの兄弟は、まさかこのアルバムが文字通り「あらゆる意味での本当の終わり」を意味することになろうとは、夢にも思っていなかったことであろう。

  • 2026-06-23
  • 2026-06-19

ポルトガルSSWマヌエル・リニャレス新譜『Atlântico』は、ブラジル・ミナス新世代とNY現代ジャズも交叉する

ポルトガルのシンガーソングライター、マヌエル・リニャレス(Manuel Linhares)の2026年新作『Atlântico』がリリースされた。プロデュースは前作『Suspenso』に引き続き、現代ブラジル音楽の最重要人物のひとりであるアントニオ・ロウレイロ(António Loureiro)が務め、演奏にはロウレイロ(ds, synth, key)のほかニューヨークのジャズの第一線で活躍するグレン・ザレスキ(Glenn Zaleski, p)やオル・バレケット(Or Bareket, b)、小川慶太(Keita Ogawa, ds, perc)ら国際色豊かなメンバーが参加。録音はニューヨークとポルトガル・ポルトで行われ、名実ともに越境的な作品となっている。

  • 2026-06-19
  • 2026-06-19

南米新世代音楽を軸に、多国籍・多文化が混淆する果てなき音楽の旅路。ハファエル・ジメネス 至福の大傑作

ハファエル・ジメネス(Raphael Gimenes)の4作目となる『Caçador De Horizontes』(2026年)は、最大限の賛辞を贈るに値する最高のアルバムだ。アレシャンドリ・アンドレスを共同プロデューサー/フルート奏者として迎え、ミナスの伝統を受け継ぐ声とガットギターを基調に、“アルゼンチン・ネオフォルクローレ”のシーンにも繋がる室内楽的な管弦楽やジャズのエッセンスを加え、南米音楽と北欧音楽の見事な調和ともいうべき壮大なスケールの作品を創り上げた。

  • 2026-06-09
  • 2026-06-11

トルコ出身歌手エリフ・サンチェス、地中海〜ブラジルを歌とストリングスで旅する抒情的新譜『Así pues…』

トルコ出身の歌手エリフ・サンチェス(Elif Sanchez)の2026年作『Así pues…』は、はっきり“金字塔”だと断言したい。アルバム冒頭に収められた(1)「Choro Pro Zé」は、そう確信させてくれる最高の幕開けだ。ソリストとしてフィーチュアされるのはマケドニア出身のクラリネット奏者イスマイル・ルマノフスキー(Ismail Lumanovski)。そしてポーランドの弦楽四重奏団オ・クワルテト(O Kwarteto)の情緒豊かな伴奏を得て、エリフ・サンチェスは個性的で美しい揺らぎのヴォーカルで“世界観”を作り上げる。

  • 2026-06-01
  • 2026-06-01

ジョアン・ジルベルトの末娘ルイーザ、デビュー!『Loulu Gilberto』で垣間見せた”父と娘のリビングの記憶”

おそらく、“ボサノヴァ第二世代・最後の原石”の、淑やかながら輝かしいデビューだ。2004年生まれの21歳、ロウル・ジルベルト(Loulu Gilberto, 本名:Luísa Carolina Gilberto)の初アルバム『Loulu Gilberto』が2026年5月末にリリースされた。ジョアン・ジルベルト(João Gilberto, 1931 - 2019)を父にもつ彼女は、自分が幼い頃にはすでに老齢の域に達していた父との優しい想い出を紡ぐように、丁寧に繊細に、“静寂よりも美しく”ボサノヴァを歌う。

  • 2026-05-28
  • 2026-05-27

歌手ローズマリー・スタンドレー&チェロ奏者ドム・ラ・ネナのデュオ第3弾!『Nuées ardentes』

フランス出身の歌手ローズマリー・スタンドレー(Rosemary Standley)と、ブラジル出身のチェリスト、ドム・ラ・ネナ(Dom La Nena)によるデュオ・プロジェクト、バーズ・オン・ア・ワイア(Birds on a Wire)。2014年に初作『Birds on a Wire』をリリースして以降、それぞれのソロ活動と並行して『Ramages』(2020年)など断続的に、そして丁寧に音楽活動を継続してきた彼女らが、第3作目となるアルバム『Nuées ardentes』をリリース。

  • 2026-05-27
  • 2026-08-16

モニカ・サウマーゾ、テコ・カルドーゾ、ダヴィ・フォンセカが受け継ぐ創作楽器集団ウアクチの遺産

ブラジル音楽には、しばしば「ジャンル」という言葉だけでは捉えきれない作品が現れる。2026年5月にリリースされた『Utupê Oficina Sonora Recebe Mônica Salmaso, Teco Cardoso e Davi Fonseca』も、まさにそのような一作だ。同国を代表する歌手モニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)がヴォーカルと芸術監督を務め、彼女の長年のコラボレーターとしても知られるベテランのフルート奏者テコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)が参加し、そして2019年にあまりに完成度の高いデビュー作『Piramba』で世界を驚かせたダヴィ・フォンセカ(Davi Fonseca)がプロデュースするこの作品は、ミナス・ジェライスの近年の音楽文化の中でもとりわけ重要なひとつの源流を辿り、枯れゆこうとするその流れの“遺産”に再び優しく光を浴びせる。

  • 2026-05-22
  • 2026-05-22

現代グローバル・ジャズを代表する音楽家たちによる故エルメート・パスコアール・トリビュート

現代のブラジル音楽やジャズ、あるいは音楽という概念そのものに絶大な影響を与え、2025年に惜しまれつつ亡くなったブラジルの音楽家エルメート・パスコアールへの最大限の敬意が込められたトリビュート・アルバム『Hermeto Universal』がリリースされた。アルバムはブラジル出身の超絶的なハーモニカ奏者ガブリエル・グロッシ、フランス出身の鍵盤奏者ローラン・クーロンドルの双頭名義だが、リズムセクションにスナーキー・パピー主宰者でベーシストのマイケル・リーグ、キューバ出身の名ドラマー ルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサを擁するスーパーバンドでの演奏が核となっている。

  • 2026-05-16
  • 2026-05-04

南米音楽の精華、ヤマンドゥ・コスタ×アンサンブル・レコベコ『La Quinta Esencia』

南米の土と緑の匂い、人々の風流な生活を感じさせる極上の弦楽器アンサンブル。『La Quinta Esencia』は、ブラジル出身のギタリスト、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)、そしてベネズエラ出身のヴァイオリニストのアレクシス・カルデナス(Alexis Cárdenas)と彼が率いるアンサンブル・レコベコ(Ensemble Recoveco)との共作アルバムだ。ヴァーチュオーゾたちの血肉に染みついた伝統音楽と、洗練された室内楽の技法、そして自由なジャズの饗宴だ。

  • 2026-05-15
  • 2026-05-15

素朴で幻夢的な音空間が素敵、ブラジル北東部出身SSW/マルチ奏者ナイロン・イーゴル 初アルバム

ブラジル北東部アラゴアス州マセイオ(Maceió)出身のシンガーソングライター/マルチ奏者のナイロン・イーゴル(Nyron Higor)が2025年にリリースした、初のフルレンス・アルバム『Nyron Higor』。ブラジル北東部の伝統音楽に根差しながら、現代的なベッドルーム・ポップの心地よさに包まれたサウンドを届けてくれる良作だ。

  • 2026-04-28
  • 2026-04-10

歌とギターの最高峰。ジュリア・シモンイスとアレサンドロ・ペネッシによる“ブラジルのセレナーデ”

ブラジルの歌手ジュリア・シモンイス(Júlia Simões)と、7弦ギター奏者アレサンドロ・ペネッシ(Alessandro Penezzi)による親密なデュオ作『Serenata à Brasileira』。“ブラジルのセレナーデ”というタイトルは完璧だ。ピシンギーニャやカルトーラなど、ブラジル音楽の黄金期を彩った名曲たちは今もなお色褪せない。

  • 2026-04-26
  • 2026-04-25

ノルデスチ伝統音楽とジャズの革新的融合の傑作!チアゴ・エスピリト・サント『Ybirá』

ブラジルを代表するベーシスト、チアゴ・エスピリト・サント(Thiago Espírito Santo)の2026年新譜『Ybirá』が最高に素晴らしい。特にブラジル北東部の伝統音楽の流れを汲む超絶的なブラジリアン・インストで、豊かな音楽的土壌に深く根差した雄大な樹を象徴的に描いたジャケット・アートのとおり、とてつもない楽曲と演奏に度肝を抜かれる作品だ。

  • 2026-04-19
  • 2026-04-10

新しいブラジリアン・ジャズで音楽の無限の可能性を探求。ジャミーレ&ヴィニシウス・ゴメス

ともにブラジル出身で、ニューヨークを拠点に活動する歌手ジャミーレ(Jamile)と、ギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)によるデュオ・アルバム『Boundless Species』。多くの曲でジョー・マーティン(Joe Martin)のダブルベースもフィーチュアし、ブラジル音楽とジャズの境界を溶かす、新たなブラジリアン・ジャズを模索する。