- 2026-07-08
- 2026-07-07
ブラジル、そしてラテン。ムニール・ホッスン、多色の世界を凝縮した悦びの音楽『MysticSamba』
ブラジル出身のベーシスト/ギタリスト/シンガーソングライターのムニール・ホッスン(Munir Hossn)の音楽には、いつも陽のように優しい暖かさがあり、希望と悦びの感情に満ちている。そしてその音楽は、スタジオ録音よりも、ライヴでより一層輝きを増すみたいだ。
ブラジル出身のベーシスト/ギタリスト/シンガーソングライターのムニール・ホッスン(Munir Hossn)の音楽には、いつも陽のように優しい暖かさがあり、希望と悦びの感情に満ちている。そしてその音楽は、スタジオ録音よりも、ライヴでより一層輝きを増すみたいだ。
で、結局、ブラジルで最も愛されているミルトンの名曲は? その回答になる1つのランキングがあります。 ブラジルの著作権管理団体(ブラジル中央著作権徴収機関|ECAD)が、ミルトン・ナシメントが80歳の傘寿を迎えた際に発表した過去10年間における「最も再生・演奏されたミルトン・ナシメントの楽曲」ランキングです。 ECADによるこのランキングは、SpotifyやYouTubeなどの再生回数ランキングではありません。対象となっているのは、ラジオ、店舗や施設でのBGM、パーティーや娯楽施設、カーニバル、フェスタ・ジュニーナ、ショー、ライブ演奏など、公共の場で音楽が使われた回数がカウントされいます。ひとりの聴き手がイヤホンで何度再生したかではなく、ブラジル社会の中で、ミルトンの歌がどれだけ公共空間に鳴っていたかのランキングです。
ミルトン・ナシメントの音楽には、何度も列車が現れる。 それは単なる乗り物ではない。ミナスジェライスの山あいを走る鉄道であり、故郷と外の世界を結ぶ線であり、誰かを連れてくる音であり、誰かを連れ去る音でもある。駅のベンチ、遠い汽笛、煙を吐く機関車、空っぽになった広場、見送る人、帰ってくる人。ミルトンの歌において「trem」は、いつも風景以上のものを運んでいる。 ・鉄道は、出会いと別れの場所である。 ・鉄道は、郷愁の器である。 ・鉄道は、失われた共同体の記憶である。 ・そしてときに、人生そのものの比喩になる。
ミルトン・ナシメント、そしてクルービ・ダ・エスキーナ周辺の音楽の魅力は、5/4や9/4といった複雑な拍子を、技巧の誇示としてではなく、ひとつの自然な呼吸として聴かせてしまうところにもあります。 変拍子というと、どこか難解で、数えながら聴く音楽のように思われがちです。けれどミルトンの音楽では、拍子の複雑さが前に出ることはほとんどありません。ミナスの山並み、言葉の抑揚、記憶の揺れ、歩く速度、歌う人の息づかい。そうしたものがそのまま旋律になった結果、音楽が四角い小節の枠から少しだけはみ出していく。そこに、彼のリズムの不思議があります。
2023年、ロー・ボルジェスと兄のマルシオ・ボルジェスは、アルバム『A estrada(道)』を構想した。それは、「Tudo que você podia ser(なれたかもしれないすべて)」(1972年)や「Um girassol da cor de seu cabelo(君の髪の色のひまわり)」(1972年)といったスタンダード・ナンバーを生み出した、1970年代から続く二人のパートナーシップの「終着点」として計画されたものであった。しかし、ミナスジェライス州出身のこの兄弟は、まさかこのアルバムが文字通り「あらゆる意味での本当の終わり」を意味することになろうとは、夢にも思っていなかったことであろう。
ハファエル・ジメネス(Raphael Gimenes)の4作目となる『Caçador De Horizontes』(2026年)は、最大限の賛辞を贈るに値する最高のアルバムだ。アレシャンドリ・アンドレスを共同プロデューサー/フルート奏者として迎え、ミナスの伝統を受け継ぐ声とガットギターを基調に、“アルゼンチン・ネオフォルクローレ”のシーンにも繋がる室内楽的な管弦楽やジャズのエッセンスを加え、南米音楽と北欧音楽の見事な調和ともいうべき壮大なスケールの作品を創り上げた。
おそらく、“ボサノヴァ第二世代・最後の原石”の、淑やかながら輝かしいデビューだ。 2004年生まれの21歳、ロウル・ジルベルト(Loulu Gilberto, 本名:Luísa Carolina Gilberto)の初アルバム『Loulu Gilberto』が2026年5月末にリリースされた。ジョアン・ジルベルト(João Gilberto, 1931 - 2019)を父にもつ彼女は、自分が幼い頃にはすでに老齢の域に達していた父との優しい想い出を紡ぐように、丁寧に繊細に、“静寂よりも美しく”ボサノヴァを歌う。
ブラジル音楽には、しばしば「ジャンル」という言葉だけでは捉えきれない作品が現れる。 2026年5月にリリースされた『Utupê Oficina Sonora Recebe Mônica Salmaso, Teco Cardoso e Davi Fonseca』も、まさにそのような一作だ。同国を代表する歌手モニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)がヴォーカルと芸術監督を務め、彼女の長年のコラボレーターとしても知られるベテランのフルート奏者テコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)が参加し、そして2019年にあまりに完成度の高いデビュー作『Piramba』で世界を驚かせたダヴィ・フォンセカ(Davi Fonseca)がプロデュースするこの作品は、ミナス・ジェライスの近年の音楽文化の中でもとりわけ重要なひとつの源流を辿り、枯れゆこうとするその流れの“遺産”に再び優しく光を浴びせる。
現代のブラジル音楽やジャズ、あるいは音楽という概念そのものに絶大な影響を与え、2025年に惜しまれつつ亡くなったブラジルの音楽家エルメート・パスコアールへの最大限の敬意が込められたトリビュート・アルバム『Hermeto Universal』がリリースされた。アルバムはブラジル出身の超絶的なハーモニカ奏者ガブリエル・グロッシ、フランス出身の鍵盤奏者ローラン・クーロンドルの双頭名義だが、リズムセクションにスナーキー・パピー主宰者でベーシストのマイケル・リーグ、キューバ出身の名ドラマー ルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサを擁するスーパーバンドでの演奏が核となっている。
南米の土と緑の匂い、人々の風流な生活を感じさせる極上の弦楽器アンサンブル。『La Quinta Esencia』は、ブラジル出身のギタリスト、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)、そしてベネズエラ出身のヴァイオリニストのアレクシス・カルデナス(Alexis Cárdenas)と彼が率いるアンサンブル・レコベコ(Ensemble Recoveco)との共作アルバムだ。ヴァーチュオーゾたちの血肉に染みついた伝統音楽と、洗練された室内楽の技法、そして自由なジャズの饗宴だ。
ブラジル北東部アラゴアス州マセイオ(Maceió)出身のシンガーソングライター/マルチ奏者のナイロン・イーゴル(Nyron Higor)が2025年にリリースした、初のフルレンス・アルバム『Nyron Higor』。ブラジル北東部の伝統音楽に根差しながら、現代的なベッドルーム・ポップの心地よさに包まれたサウンドを届けてくれる良作だ。
ブラジルの歌手ジュリア・シモンイス(Júlia Simões)と、7弦ギター奏者アレサンドロ・ペネッシ(Alessandro Penezzi)による親密なデュオ作『Serenata à Brasileira』。“ブラジルのセレナーデ”というタイトルは完璧だ。ピシンギーニャやカルトーラなど、ブラジル音楽の黄金期を彩った名曲たちは今もなお色褪せない。
ブラジルを代表するベーシスト、チアゴ・エスピリト・サント(Thiago Espírito Santo)の2026年新譜『Ybirá』が最高に素晴らしい。特にブラジル北東部の伝統音楽の流れを汲む超絶的なブラジリアン・インストで、豊かな音楽的土壌に深く根差した雄大な樹を象徴的に描いたジャケット・アートのとおり、とてつもない楽曲と演奏に度肝を抜かれる作品だ。
ともにブラジル出身で、ニューヨークを拠点に活動する歌手ジャミーレ(Jamile)と、ギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)によるデュオ・アルバム『Boundless Species』。多くの曲でジョー・マーティン(Joe Martin)のダブルベースもフィーチュアし、ブラジル音楽とジャズの境界を溶かす、新たなブラジリアン・ジャズを模索する。