- 2024-01-01
- 2024-01-01
キャラバン・パス20周年!灼熱のエネルギー渦巻くジプシー音楽最高峰バンドの集大成アルバム
ジプシー音楽(ロマ音楽)を揺るぎない軸とし、ヒップホップやレゲエ、フラメンコ、ジャズなどを独自の感性でミックスしカルトな人気を得てきたフランスのバンド、ラ・キャラバン・パス(La Caravane Passe)が結成20周年という節目の2023年にリリースした新譜『Hôtel Karavan』は、彼らの集大成ともいうべき必携の作品だ。
ジプシー音楽(ロマ音楽)を揺るぎない軸とし、ヒップホップやレゲエ、フラメンコ、ジャズなどを独自の感性でミックスしカルトな人気を得てきたフランスのバンド、ラ・キャラバン・パス(La Caravane Passe)が結成20周年という節目の2023年にリリースした新譜『Hôtel Karavan』は、彼らの集大成ともいうべき必携の作品だ。
特に順位は関係なく、2023年にもっとも感銘を受けたアルバムを10枚に絞って紹介します。ほんとは10枚に絞り切ることが難しいくらい、今年もたくさんの素晴らしい音楽に出会えました。
フランスのサックス/フルート奏者ソフィー・アルール(Sophie Alour)の9枚目のスタジオ・アルバム『Le temps virtuose』に派手さや分かりやすさはない。サックス、ギター、チェロ、ドラムスという編成も珍しいし、ジャズらしいスウィングもない。リズムはあるが、それを強力に推進するグルーヴも希薄。それでも不思議とどこか惹かれるものがあり、ふとしたときに自然と再生してしまうような類のアルバムだ。
音楽への情熱や、その才能は親から子へと代々受け継がれていくものらしい。YouTubeの投稿から一躍人気歌手となったフランスのカミーユ・ベルトー(Camille Bertault)の音楽への情熱は、音響技師であり、クラシックを学びジャズを愛好したアマチュアのピアニストである父ポール・ベルトー(Paul Bertault)による幼少期からの指導によって育まれていった。
チュニジア出身のヴィオラ・ダモーレ奏者ジャッセル・ハジ・ユーセフ(Jasser Haj Youssef)の新作『Reminiscence』は、フランスの世界遺産シャンボール城の広間で収録した深淵な響きが神秘的で美しい作品だ。収録曲のほとんどはヴィオラ・ダモーレの独奏だが、数曲でガエル・カドー(Gaël Cadoux)がローズピアノを演奏しており、古楽器と電気楽器の対比も面白い。
独特の視点・さまざまなアプローチ方法でピアノという楽器の可能性の探求を続けてきたフランスの先駆的ピアニスト/作曲家エドゥアール・フェルレ(Edouard Ferlet)が『PIANOïD²』をリリース。ヤマハの「ディスクラヴィア」によってコントロールされた自動演奏ピアノと、自身が即興も交え演奏するサイレントピアノという2台のピアノによる未踏の音楽が繰り広げられる。
フランスの新鋭ピアノトリオ、マルク・プリオーレ・トリオ(Mark Priore Trio)がデビュー作『Initio』をリリースした。トリオは2023年に創設されたばかりの若手ジャズタレント・コンテストであるルネ・ユルトルジェ賞(Prix René Urtreger)の審査員賞に輝いており、本作ではフレンチ・ジャズの次世代を担うであろう彼らの実力を余すところなく鑑賞することができる。
柔らかな感性と卓越した技術のチェロ弾き語りで多くのリスナーを魅了した女性SSW、アナ・カルラ・マサ(Ana Carla Maza)。セルフプロデュースの新譜『Caribe』は驚いたことに、最大時にはセクステット編成で一気に“ラテンジャズ”の作風を前面に押し出してきた作品となった。新曲を中心に、(5)「Astor Piazzola」や(6)「Bahia」などソロで演じた過去作からの楽曲も新たなアレンジが躍動。これまで彼女が見せてこなかった新たな魅力を堪能できるアルバムに仕上がっている。
ニューヨークで活動するマダガスカル系フランス人ピアニスト/作曲家、マティス・ピカード(Mathis Picard)による初のフルレンスのスタジオアルバム『Heat of the Moment』。3つのピアノトリオを軸に、オールスターとも呼べるゲストたちを迎えて制作された本作は、彼の自然への深い愛や、人間と自然の関わりについてをテーマにした探求の音楽だ。
マヌーシュ・ジャズを代表するギタリスト、ビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)は、新作『Biréli Lagrène plays Loulou Gasté』でフランスの作曲家“ルールー・ガステ”ことルイ・ガステ(Louis Gasté, 1908 - 1995)に最大限のリスペクトを捧げている。
フランスのクレズマー・クラリネット奏者ヨム(Yom)は、2021年の傑作『Celebration』と同じくピアニストのレオ・ジャセフ(Léo Jassef)とデュオを組んだ新作『Alone in the Light』で、歴史の影を背負い生きる人々の孤独に焦点をあてる。
フランスのゾレオール(フランス人とクレオール人)のシンガーソングライター/打楽器/ウクレレ奏者、オリアーヌ・ラカイユ(Oriane Lacaille)の初のフルレンス・アルバム『iViV』がリリースされた。レユニオンのマロヤやセガといった伝統音楽をベースに、洗練された独自の創作性で築く音楽と言葉の冒険の世界が広がる。
欧州を代表するプログレバンド Magmaで活躍したドラマー/ピアニスト、シモン・グーベル(Simon Goubert)とセネガルのグリオの系譜のコラ奏者アブライエ・シソコ(Ablaye Cissoko)の二人によるプロジェクトが、これまでも強力なサポートを受けてきたピアニストのソフィア・ドマンシッチ(Sophia Domancich)そしてコントラバス奏者のジャン=フィリップ・ヴェレ(Jean-Philippe Viret)らを正式にメンバーとして迎え、バンド名:アフリカン・ジャズ・ルーツ(African Jazz Roots)として始動。
各地の民族音楽と呼ばれる特徴的な旋律やリズムを音楽の中に取り入れ、独自の音楽性を築いてきたフランスのジャズ・ピアノトリオ、EYM Trio。新作『Bangalore』ではインドの歌手/フルート奏者のヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)を全面的に迎え、彼らの創作の独自の魅力を強力にアピールする好盤となっている。