- 2024-02-10
- 2024-02-10
現代最高峰のクレオール・ジャズ。グレゴリー・プリヴァ、不死鳥の伝説にインスパイアされた新作
並外れたジャズピアニストであり、カリブ海のクレオール文化の伝道師でもあるグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)。現代ジャズのシーンにおいても唯一無二の存在感を発揮する彼の新作『Phoenix』は、彼の音楽的創造性の集大成であり、おそらくはキャリアハイの作品なのではないだろうか。
並外れたジャズピアニストであり、カリブ海のクレオール文化の伝道師でもあるグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)。現代ジャズのシーンにおいても唯一無二の存在感を発揮する彼の新作『Phoenix』は、彼の音楽的創造性の集大成であり、おそらくはキャリアハイの作品なのではないだろうか。
ノルウェーのベーシスト、ペール・マティセン(Per Mathisen)が毎回メンバーを変えて挑む“ギタートリオ”プロジェクトの第三弾『Sounds of 3 Edition 3』。ベトナム系フランス人ギタリストのグェン・レ(Nguyên Lê)と、ノルウェーのドラマー、アウドゥン・クライヴェ(Audun Kleive)を迎え危険で魅力的な航海を描いていく。
フランス人の母親とイラク人の父親を持つウード奏者/作曲家、アミン・アル・アイディ(Amin Al Aiedy)のデビュー作『SHAMS』は驚きに値する。西洋とアラブ、常に二つの文化が当たり前に存在する環境で育った彼が今作で魅せるのは西洋の音楽理論をベースにしていながら、従来その枠内では発想することさえ難しかった斬新な旋律だ。
カメルーン系フランス人のラッパー/プロデューサー、ジェイムス・BKS(James BKS)のデビューアルバムである二部作『Wolves of Africa』は、アフリカン・ディアスポラである彼が多くのミュージシャンを迎えてそのルーツを探ろうとするアフリカ系ヒップホップの傑作だ。2022年にリリースされた『Part 1/2』、そして2023年リリースの第二弾『2/2』ともに素晴らしい内容で、ここでまとめて紹介したい。
インド系スイス人のヴァイオリニスト/作曲家、べイジュ・バット(Baiju Bhatt)が自身のバンドであるレッド・サン(Red Sun)を率い録音した2018年の『Eastern Sonata』から5年。自身のルーツであるインド音楽に、ジャズロックの側面からアプローチするプロジェクトがよりスケールアップし戻ってきた。2023年の新作『People of Tomorrow』では、前作から引き続きゲスト参加するグェン・レ(Nguyên Lê)やプラブー・エドゥアール(Prabhu Edouard)に加え、新たな凄腕ゲストも多数参加。アルバム全体で約52分間の濃密な音楽体験を味わえる驚異的な作品に仕上がっている。
モロッコとセネガルにルーツを持ち、フランスで活動するドラマー、モクタル・サンバ(Mokhtar Samba)の新作『Safar』。キャリアの初期でエディ・ルイスに見出され、ジャコ・パストリアスのサポートを行い、その後スアド・マッシ、サリフ・ケイタ、ユッスー・ンドゥール、カルリーニョス・ブラウン、カルロス・サンタナ、ジョー・ザヴィヌルら多くの世界的音楽家とプレイしてきた1960年生まれの彼が今もなお音楽観をアップデートし続け、最先端でいることを証明する傑作だ。
フランス出身の気鋭ジャズ・ヴィブラフォン奏者シモン・ムリエ(Simon Moullier)が気心知れたトリオで録音した新作アルバム『Inception』。所謂ジャズメン・オリジナルのカヴァーをメインに、持ち前の超絶技巧で疾走感のあるジャズを聴かせてくれる快作だ。
ジプシー音楽(ロマ音楽)を揺るぎない軸とし、ヒップホップやレゲエ、フラメンコ、ジャズなどを独自の感性でミックスしカルトな人気を得てきたフランスのバンド、ラ・キャラバン・パス(La Caravane Passe)が結成20周年という節目の2023年にリリースした新譜『Hôtel Karavan』は、彼らの集大成ともいうべき必携の作品だ。
特に順位は関係なく、2023年にもっとも感銘を受けたアルバムを10枚に絞って紹介します。ほんとは10枚に絞り切ることが難しいくらい、今年もたくさんの素晴らしい音楽に出会えました。
フランスのサックス/フルート奏者ソフィー・アルール(Sophie Alour)の9枚目のスタジオ・アルバム『Le temps virtuose』に派手さや分かりやすさはない。サックス、ギター、チェロ、ドラムスという編成も珍しいし、ジャズらしいスウィングもない。リズムはあるが、それを強力に推進するグルーヴも希薄。それでも不思議とどこか惹かれるものがあり、ふとしたときに自然と再生してしまうような類のアルバムだ。
音楽への情熱や、その才能は親から子へと代々受け継がれていくものらしい。YouTubeの投稿から一躍人気歌手となったフランスのカミーユ・ベルトー(Camille Bertault)の音楽への情熱は、音響技師であり、クラシックを学びジャズを愛好したアマチュアのピアニストである父ポール・ベルトー(Paul Bertault)による幼少期からの指導によって育まれていった。
チュニジア出身のヴィオラ・ダモーレ奏者ジャッセル・ハジ・ユーセフ(Jasser Haj Youssef)の新作『Reminiscence』は、フランスの世界遺産シャンボール城の広間で収録した深淵な響きが神秘的で美しい作品だ。収録曲のほとんどはヴィオラ・ダモーレの独奏だが、数曲でガエル・カドー(Gaël Cadoux)がローズピアノを演奏しており、古楽器と電気楽器の対比も面白い。
独特の視点・さまざまなアプローチ方法でピアノという楽器の可能性の探求を続けてきたフランスの先駆的ピアニスト/作曲家エドゥアール・フェルレ(Edouard Ferlet)が『PIANOïD²』をリリース。ヤマハの「ディスクラヴィア」によってコントロールされた自動演奏ピアノと、自身が即興も交え演奏するサイレントピアノという2台のピアノによる未踏の音楽が繰り広げられる。
フランスの新鋭ピアノトリオ、マルク・プリオーレ・トリオ(Mark Priore Trio)がデビュー作『Initio』をリリースした。トリオは2023年に創設されたばかりの若手ジャズタレント・コンテストであるルネ・ユルトルジェ賞(Prix René Urtreger)の審査員賞に輝いており、本作ではフレンチ・ジャズの次世代を担うであろう彼らの実力を余すところなく鑑賞することができる。