インド(バーラト)
- 2025-05-04
- 2025-05-04
国境なきドラムの“神”、トリロク・グルトゥが新作『Mirror』で魅せる多文化音楽の精神的深化
50年以上にわたりインドと西洋の音楽の架け橋であり続けるインド出身の打楽器奏者/作曲家トリロク・グルトゥ(Trilok Gurtu)が新譜『Mirror』をリリースした。アルケ・ストリング・カルテット(Arke String Quartet)との再共演となる今作は、彼のキャリアを通じて一貫している多文化的なアプローチをさらに深化させたものだ。インドの伝統音楽に深く根差しながら、ジャズやファンク、西洋の古典音楽、アフリカの伝統的なリズムなど様々な文化的要素が見事に調和したリズムが素晴らしい。
- 2025-04-26
- 2025-04-26
スーパーベーシスト、モヒニ・デイ最新作!強烈な印象を残すプログレッシヴ・ジャズロック
米国ロサンゼルス出身、現在はインドに移住したサックス奏者/作曲家マーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)と、彼の妻でありインド出身の世界的なベース・ヒロインであるモヒニ・デイ(Mohini Dey)、そしてモヒニと長年音楽活動を共にしてきたインド出身のドラマー、ジーノ・バンクス(Gino Banks)によるプログレッシヴ・ジャズロック・トリオ、マモジ(MaMoGi)が新作『MaMoGi II』をリリースした。トリオのデビュー作『Mamogi』(2023年)から2年、今作でも強固でパワフルで超絶的なバンドサウンドを聴かせてくれる好盤となっている。
- 2025-04-22
- 2025-04-23
幼少期からの“中世への憧れ”を具現化。ロシア出身鍵盤奏者エレーナ・エケモフによる荘厳な新譜
ロシア出身の女性ピアニスト/作曲家、エレーナ・エケモフ(Yelena Eckemoff)が、彼女の長いキャリアでも異色といえる荘厳な作品『Scenes from the Dark Ages』をリリースした。アルバムは彼女が幼少期の頃から憧れを抱いていたヨーロッパの中世をテーマにしており、ジャズ、プログレッシヴ・ロック、バロック音楽などが融合する独自の世界観を描いた105分間の長大な音楽絵巻となっている。
- 2025-03-21
- 2025-03-21
知性派現代ジャズの最前線ピアノトリオ。太陽の恵みをテーマとしたフィリップ・レム最新作
オランダ出身のドラマー/作曲家フィリップ・レム(Philippe Lemm)の4枚目となるスタジオ・アルバム『Echo The Sun』。今作ではトリオにインド出身ピアニストのシャーリク・ハサン(Sharik Hasan)を新たに迎え、太陽の恵みによる光と温かさ、回復力をテーマとした音楽的探求を特徴とした素晴らしい現代ジャズを展開する。
- 2024-12-31
- 2025-01-09
Música Terra が選ぶ 2024年ベストアルバムTOP10【lessthanpanda編】
私がこの1年間でもっとも感銘を受けた音楽作品を10枚、選びました。このリストは広く安心や共感を呼ぶものではないかも知れませんが、間違いなく刺激的で、好奇心をくすぐる世界の音楽への扉を開くものとなっているはずです。
- 2024-12-30
- 2024-12-23
NYのインド系ヴァイオリン奏者アルン・ラママーシーが表現する、悠久のカルナティック・ジャズ
ヴァイオリン奏者/作曲家のアルン・ラママーシー(Arun Ramamurthy)は米国生まれだが、南インドのベンガルール生まれの祖母アージによってカルナティック音楽を学び、その経験からジャズとカルナティック音楽を自然に融合させた独自の道を探求している。彼の新作『New Moon』は同じくインド系のドラマー/タブラ奏者のサミール・グプタと、世界中のトップ・ミュージシャンと共演歴のあるベーシストのデイモン・バンクスとのトリオ作で、独創的なカルナティック・ジャズが悠久の歴史の新たな交叉点を感じさせる内容となっている。
- 2024-10-29
- 2024-10-28
澄んだ歌声とスピリチュアルなジャズが魅力。インド系SSWシャラダ・シャシダール新作
米国ロサンゼルスを拠点とするインド系のシンガーソングライター、シャラダ・シャシダール(Sharada Shashidhar)。父親の影響で幼少時からインド古典音楽に触れ、ジャズを学んでいた兄の影響でジャズに傾倒、ニューヨークのニュースクールでジャズ・ヴォーカルを学んだという経歴の彼女の2nd EP『Soft Echoes』がリリースされた。エレクトロニック/ネオソウル色の強かったデビュー作『Rahu』(2020年)と比較すると、今作はよりオーガニックな前面に出し、ソウルフルなヴォーカルが映える作品となっている。
- 2024-10-08
- 2024-10-08
6ヵ国で育った気鋭ギタリスト、シュブ・サラン。今も探し続けるアイデンティティー
作曲家/ギタリストのシュブ・サラン(Shubh Saran)が新作EP『Being Anybody Else』をリリースした。インドの外交官の息子として各国を転々として多様な文化の中で育ちグローバルな感覚を身につけると同時に、それはつまり逆説的に彼の帰属意識を希薄にしており、“アイデンティティの探求”はこれまでの彼の作品における重要なテーマでもあった。今回の作品は各メディアから絶賛された前作『Inglish』のささやかな続編とも言える内容で、楽曲のタイトルにも彼がいまだに自己探究の途上でその心を浮き沈みさせている様が垣間見える。
- 2024-06-23
- 2024-06-23
モルナに魅せられたインド系ジャズシンガー、カヴィータ・シャー『Cape Verdean Blues』
インド系アメリカ人のシンガー、カヴィータ・シャー(Kavita Shah)がカーボベルデのサンヴィセンテ島に計7年間滞在して制作した『Cape Verdean Blues』。カーボベルデの伝統的な大衆音楽モルナに魅せられ、2014年のアルバム『Visions』でセザリア・エヴォラ(Cesária Évora, 1941 - 2011)の「Sodade」を歌った彼女が本格的にカーボベルデ音楽に取り組んだ作品で、同国の文化、とりわけセザリア・エヴォラという偉大な歌手への心からのリスペクトを感じさせる素晴らしいアルバムに仕上がっている。
- 2024-05-11
- 2025-03-11
衝撃的。五線譜を超越する新時代のシンガー、ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル、待望のソロ作
インド出身、ワールドワイドに活躍の幅を広げるSSWヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)の新作『Vari』 。インドの伝統音楽をベースに現代のグローバル・ミュージックの様々な要素をミックスし、全編にわたって鮮烈な印象を残すことは間違いないだろう。プロデューサーはスナーキー・パピーのマイケル・リーグ(Michael League)が務めている。
- 2024-03-27
- 2024-03-28
「聴く」よりも「感じる」。インド出身ガナーヴィヤが贈る、静謐かつ刺激的な音の空間
インド出身の歌手ガナーヴィヤ(Ganavya)の新譜『like the sky I've been too quiet』という作品を聴き、音楽の意味や価値についてあらためて気付かされるリスナーは多いだろう。極めて個性的なアーティストであるガナーヴィヤは、この特別なアルバムで南インドの伝統的な価値観やそこから生じた音楽をスピリチュアル・ジャズやエレクトロニック・ミュージックに手繰り寄せ、アンビエントなテクスチャーで繋ぎ合わせた。
- 2024-03-09
- 2024-03-09
ジャンルの概念を溶かす、インド系移民SSWシェヘラザードの衝撃的デビュー作『Qasr』
また、とんでもないアーティストが現れた。インド系移民2世として米国で生まれ育ったシンガーソングライター、シェへラザード(Sheherazaad)。近年大ブレイクしたパキスタン出身のSSWアルージ・アフタブ(Arooj Aftab)がプロデュースしたデビュー作『Qasr』は、音楽が従来のジャンルという概念ではなく、その人自身のパーソナルに大きく依存する時代を象徴するような素晴らしい仕上がりだ。
- 2024-02-12
- 2024-02-12
ロマンティックで抑制的なサウンドが魅力のインドの女性SSW、Krameri『INTRUSIVE THOUGHTS』
インド西部グジャラート州ヴァドーダラー出身のSSW、ダミニ・チョーハン(Damini Chauhan)によるソロプロジェクト、クラメリ(Krameri)の新譜『INTRUSIVE THOUGHTS』。アコースティックとエレクトロニックをバランスよく融合したチル感のあるサウンドに、ほんの少しのインド声楽のエッセンスが混ざる繊細なヴォーカルが心地の良い、素晴らしいアルバムだ。
- 2024-01-21
- 2024-01-21
刺激的な音楽体験を約束するジャズロック×インド音楽! ベイジュ・バット新譜『People of Tomorrow』
インド系スイス人のヴァイオリニスト/作曲家、べイジュ・バット(Baiju Bhatt)が自身のバンドであるレッド・サン(Red Sun)を率い録音した2018年の『Eastern Sonata』から5年。自身のルーツであるインド音楽に、ジャズロックの側面からアプローチするプロジェクトがよりスケールアップし戻ってきた。2023年の新作『People of Tomorrow』では、前作から引き続きゲスト参加するグェン・レ(Nguyên Lê)やプラブー・エドゥアール(Prabhu Edouard)に加え、新たな凄腕ゲストも多数参加。アルバム全体で約52分間の濃密な音楽体験を味わえる驚異的な作品に仕上がっている。