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ピアノ

  • 2025-08-24
  • 2025-08-24

時代を超える普遍的な傑作。レイヴェイ、待望の3rdアルバム『A Matter of Time』

2ndアルバムである前作『Bewitched』(2023年)がグラミー賞を受賞し、まだわずか5年程度の活動期間ながら一気に世界的なスタートなったレイヴェイ(Laufey)が、待望の新譜『A Matter of Time』をリリースした。現代のポップカルチャーと、レトロでノスタルジックな音楽を高いレベルで融合した唯一無二の存在であるレイヴェイの魅力と存在感を一段と際立たせる作品として広く注目を集め、おそらくは想像以上の再生回数の数字をもって彼女のスター性をあらためて証明するだろう。

  • 2025-08-23
  • 2025-08-24

生のアンサンブルの興奮を凝縮! 鬼才エレズ・アヴィラムがオクテットで挑戦する『ENSEMBLE』

イスラエル・プログレ〜ジャズ界隈の代表的ピアニスト/作曲家のエレズ・アヴィラム(Erez Aviram)がオクテットを率いてニューヨークで録音した新作 『ENSEMBLE』が素晴らしい。彼のピアノはもちろんのこと、管楽器も弦楽器もそれぞれが主役となる稀有なアンサンブルによって、エレズ・アヴィラムという鬼才の音楽の源泉であるジャズ、プログレ、中東音楽、各地のワールド・ミュージックの折衷的で驚きに満ちた音世界が豊かに広がる。

  • 2025-08-22
  • 2025-08-22

「22」の数字に導かれたカリビアン・ジャズ傑作。ジャック・シュワルツ=バール&グレゴリー・プリヴァ

偶然か必然か、「22」という数字に導かれたアンティル諸島生まれの二人の音楽家による素敵な音の語らいである。ともに12月22日生まれ、歳の差は22歳、そして初めて出会ってから22年の節目となるサックス奏者のジャック・シュワルツ=バール(Jacques Schwarz-Bart)と、ピアニストのグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の初デュオ作『22』。

  • 2025-08-09
  • 2025-08-09

欧州ピアノトリオのトップランナー、Tingvall Trio。ラテン語で『平和』と冠した感動的な新作

ティングヴァル・トリオ(Tingvall Trio)の記念すべき10枚目のアルバムである『Pax』(2025年)は、アコースティック・ピアノトリオの真骨頂を見せるというファンの期待に見事に応えたものとなっている。これまで同様に、スウェーデン出身の天才的なピアニスト/作曲家マーティン・ティングヴァル(Martin Tingvall)が全曲を作曲し、結成以来ずっと変わらないリズムセクションの二人──キューバ出身のベース奏者オマール・ロドリゲス・カルボ(Omar Rodriguez Calvo)とドイツ出身のドラマー、ユルゲン・シュピーゲル(Jürgen Spiegel)──とともに、過去から絶え間なく連なるジャズの現在と、未来へのひとつの方向を示す。

  • 2025-08-02
  • 2025-08-03

現代ジャズ・ハーモニカの旗手ヨタム・ベン=オール、“諸行無常”をテーマにした美しい新作

現在のジャズ・ハーモニカの第一人者、イスラエル出身のヨタム・ベン=オール(Yotam Ben-Or)の新譜『Impermanence』がリリースされた。長年のコラボレーターであるベネズエラ出身のピアニストのガブリエル・チャカルヒ(Gabriel Chakarji)らを擁するカルテットを中心とし、南米や中東の伝統的な素朴で印象に残るメロディーから、キューバやベネズエラの音楽に触れたことで形成された複雑なリズムまで、音楽家としての彼の繊細で豊かな感情に触れることのできる一枚だ。

  • 2025-07-21
  • 2025-07-21

シカゴ出身、マルセイユで文化の多様性を吸収したロブ・クリアフィールド、初のリーダー作

マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)のバンドでの活躍などで知られるピアニスト/作曲家のロブ・クリアフィールド(Rob Clearfield)による初のリーダー作『Voice in the Wilderness』。ピアノトリオを中心に、いくつかの曲ではトランペット奏者イタマール・ボロホフ(Itamar Borochov)も参加し、オーセンティックなスタイルから、クラシックの影響を受けたヨーロピアンな雰囲気を持つ演奏まで、幅広いジャズを聴かせてくれる好盤だ。

  • 2025-07-20
  • 2025-07-20

時空を超えるコズミック・グルーヴ傑作!NZの大世帯ジャズコンボ The Circling Sun 圧巻の新譜

ニュージーランドのジャズ・コレクティヴ、ザ・サークリング・サン(The Circling Sun)が2ndアルバム『Orbits』をリリースした。大所帯のバンドとコーラス隊が織り成す、古くて新しいコズミックなグルーヴは前作『Spirits』をさらに超え、また彼らが公言する“Azymuthへのリスペクト”を体現したようなブラジリアン・テイストの楽曲も多い魅力的な作品だ。

  • 2025-07-19
  • 2025-07-19

至上の“歌とピアノ”。サロマォン・ソアレス&ヴァネッサ・モレーノ、MPB名曲に吹き込む新しい風

ブラジルのピアニスト、サロマォン・ソアレス(Salomão Soares)と歌手ヴァネッサ・モレーノ(Vanessa Moreno)はこれまで2枚のデュオ・アルバムをリリースし、その度に大きな賞賛を浴びてきた。デュオ第3作となる『Outros Ventos』は、彼らが再びブラジル音楽に新しい風を吹き込む試みだ。リズムカルで自由で卓越したサロマォンのピアノと、透明で真っ直ぐな歌声と時折超絶的なスキャットも見せるヴァネッサのデュオは、今回も群を抜いて美しく素晴らしい。

  • 2025-07-16
  • 2025-07-16

英国の新星SSWホーネン・フォード、親友の死にインスパイアされた新作『神様がいたらいいのに』

英国ロンドンを拠点に活動するピアニスト/シンガーソングライターのホーネン・フォード(Hohnen Ford)は、リスナーを一瞬で虜にする特別な才能を持っているようだ。ロンドンの豊かなジャズシーンの中で学び、とりわけジョニ・ミッチェル、デヴィッド・ロングストレス、ビッグ・シーフといったアーティストたちからも大きな影響を受けてきた彼女は、最終的にそれらの影響を結びつけ、シンプルなようでいて複雑な、色彩豊かな歌を作りあげてきた。

  • 2025-06-29
  • 2025-06-29

ペルシャとクルドにルーツを持つ新星SSWエラナ・サッソン、伝統文化と現代ジャズを繋ぐ美しい対話

ペルシャとクルドをルーツに持つアメリカ生まれ・スペイン在住の歌手/作曲家エラナ・サッソン(Elana Sasson)の2作目のアルバム『In Between』は、自身のルーツである中東音楽をベースに、現代ジャズやラテン、地中海音楽の要素も交えた作品。バンドはコロンビア出身のピアニスト、サンティアゴ・ベルテル、キプロス出身のベース奏者マノス・ストラティス、そしてベルギー出身のドラムス奏者ヴィクトール・ゴルトシュミットの国際色豊かなトリオ編成を中心としており、穏やかなジャズに乗せて歌う抒情詩のような美しさが印象的なアルバムとなっている。

  • 2025-06-28
  • 2025-06-28

超絶技巧と中東叙情を兼ね備えた魅惑のジャズ・プログレ、新星シャロン・マンスール新譜『Trigger』

アルバムの1曲目、最初の1音からリスナーの心を強く掴む作品は、そうそう多くはない。そしてそうした作品は、ほとんどが「傑作」「名盤」と呼ばれる類のものだ。名門ACTレーベルよりリリースされたイラク系イスラエル人鍵盤奏者、シャロン・マンスール(Sharon Mansur)のトリオでのデビュー・アルバム『Trigger』はまさにそれに当てはまる作品だ。ピアノトリオの作品だが、プログレや中東音楽からの強い影響を感じさせるそのサウンドはとてつもなく鮮烈で、この女性ピアニストへの興味を掻き立てる。

  • 2025-06-25
  • 2025-06-25

大洋のアンビエント・ミュージック。カナダ出身音楽家アンブル・シエルの深淵なデビュー作

カナダ・モントリオール出身の音楽家、アンブル・シエル(Ambre Ciel)がデビュー作『still, there is the sea』をリリースした。アルバムは英国のゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からのリリースで、ピアノやストリングス、声を中心とした深淵なサウンドが、同レーベルを代表するアーティストであるハニャ・ラニ(Hania Rani)を彷彿させる。内省的で美しい、ポスト・クラシカルの注目作だろう。

  • 2025-06-23
  • 2025-06-23

トルコ文化の革新的継承者メフメト・アリ・サンルコル、独創的な微分音鍵盤も用いた新譜

ジャズの文脈から自身のルーツであるトルコ音楽にアプローチする異才ピアニスト/作曲家メフメト・アリ・サンルコル(Mehmet Ali Sanlıkol)による2025年新譜『7 Shades of Melancholia』。トルコの伝統的な旋法であるマカームを演奏するために自身で開発したデジタル微分音キーボード「ルネッサンス17」も用い、民謡や詩、映画に至るまで、トルコ文化に深く根付いたメランコリーにインスピレーションを得た悲しみと美しさを同時に捉えた稀有な音楽体験を与えてくれる作品だ。

  • 2025-06-07
  • 2025-06-07

ドイツの才媛、オリヴィア・トゥルマー新譜はクラシックやジャズが豊かに混淆する叙情的ピアノ弾き語り

ドイツ出身のSSW/ピアニスト、オリヴィア・トゥルマー(Olivia Trummer)の新譜『Like Water』がリリースされた。プロデューサーはこれまでにエリック・クラプトンやシンディ・ローパー、ランディ・ニューマン、スティーヴ・ウィンウッドらを手掛けた米国の伝説的プロデューサーであるラス・ティテルマン(Russ Titelman)。