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ピアノ

  • 2025-05-14
  • 2025-05-14

イスラエルの天才ピアニスト、ガイ・ミントゥスが皮肉を込めて伝える『偉大なイスラエル歌曲集』

イラク、モロッコ、ポーランドにルーツを持つイスラエルのピアニスト、ガイ・ミントゥス(Guy Mintus)がイスラエルの音楽に焦点をあてた『The Great Israeli Songbook』は、ソロピアノの新しい名盤だ。キャッチーだが心に残る美しいメロディーから、中東特有のマカームの旋律まで、イスラエルに伝わるバラエティ豊かな名曲を天才的なピアノで吟遊詩人のように現代に伝えている。

  • 2025-05-07
  • 2025-05-07

稀代のピアニスト、シャイ・マエストロ。複雑に入り組んだ色彩で描く、初のソロピアノ作品

イスラエル出身、若干19歳でアヴィシャイ・コーエン・トリオに抜擢され世界的に知られるようになり、ECMでのリリースなどを経て現在はスペインを拠点に活動するピアニスト/作曲家のシャイ・マエストロ(Shai Maestro)が自身初のソロピアノ作『Solo: Miniatures & Tales』をリリースした。

  • 2025-05-03
  • 2025-05-03

国境を越える“音楽の密売人”、フランスの鬼才ダヴィド・オーベイル『Trafiquants』

国境を越えあらゆる音楽を吸収するフランスの鬼才ピアニスト/フルート奏者/作曲家ダヴィド・オーべイル(David Aubaile)。彼がカナダ出身のベース奏者クリス・ジェニングス(Chris Jennings)と、アルジェリア出身のドラムス奏者カリム・ジアド(Karim Ziad)と組んだ2024年作『Trafiquants』が最高に面白い。

  • 2025-04-30
  • 2025-04-30

マグレブ音楽と欧州文化を繋ぐアレフ・クインテット、異文化の“対話”から生まれる新しいジャズ

ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する多国籍ジャズバンド、アレフ・クインテット(Aleph Quintet)の第2作目『Hiwar』。アルバム名はアラビア語で「対話」を意味し、ジャズと北アフリカ音楽の“対話”を通じて異なる文化的視点や音楽的感性を結びつけようとする彼らの姿勢を強く反映した作品となっている。

  • 2025-04-29
  • 2025-04-29

躍動するアフロ・カリビアン・バッハ!! ヨアキム・ホースレイ「Via Havana」トリロジー最終章

西洋クラシックの作曲家の名曲をアフロ・カリビアン音楽で再解釈するプロジェクトが人気の米国のピアニスト/作編曲家ヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)が最新作『Afro Bach』をリリースした。その名のとおり、“音楽の父”ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750)の名曲を独創的にカヴァーしており、そのアイディアに驚き(そしてたくさんの楽しさ)を提供してくれるアルバムとなっている。

  • 2025-04-23
  • 2025-04-23

複雑で豊かな人生の起伏を抒情的に描写する、ギター奏者トメル・コーエンの2nd『Story of a Traveler』

イスラエル出身のギタリスト/作曲家、トメル・コーエン(Tomer Cohen)の2ndアルバム『Story of a Traveler』がリリースされた。深く哲学的・抒情的な感性でニューヨーク・ジャズ界で賞賛された前作から2年、今作ではメンバーを一新しピアノにイスラエル・ジャズの第一人者であるシャイ・マエストロ、そしてベースとドラムスにはベルギー出身の2人を迎え、ジャズ、中東音楽、フォーク・ミュージックなどの影響を感じさせる素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

  • 2025-04-22
  • 2025-04-23

幼少期からの“中世への憧れ”を具現化。ロシア出身鍵盤奏者エレーナ・エケモフによる荘厳な新譜

ロシア出身の女性ピアニスト/作曲家、エレーナ・エケモフ(Yelena Eckemoff)が、彼女の長いキャリアでも異色といえる荘厳な作品『Scenes from the Dark Ages』をリリースした。アルバムは彼女が幼少期の頃から憧れを抱いていたヨーロッパの中世をテーマにしており、ジャズ、プログレッシヴ・ロック、バロック音楽などが融合する独自の世界観を描いた105分間の長大な音楽絵巻となっている。

  • 2025-04-18
  • 2025-04-18

現代社会の混沌をサウンドに詰め込んだ注目の男女デュオ、Obradovic-Tixier Duo『Jiggled Juggler』

クロアチア出身の女性ドラマー/作曲家ラダ・オブラドヴィッチ(Lada Obradovic)とフランス出身の男性ピアニスト/作曲家ダヴィッド・ティクシエ(David Tixier)によるデュオ、オブラドヴィッチ=ティクシエ・デュオ(Obradovic-Tixier Duo)の3枚目のフルレンス・アルバム『Jiggled Juggler』が素晴らしい。彼らの音楽は、ますます複雑になる現代社会がかろうじて保っている秩序と、過剰なリベラリズムとバターナリズムによってもたらされる分断と混沌による秩序の破壊という危機が交錯する時代の空気を見事に捉えている。

  • 2025-04-13
  • 2025-04-13

創造性がつくる即興のキャンバス。ヤロン・ヘルマンが描く美しい音の冒険

イスラエル出身、フランスで活躍するピアニスト/作曲家のヤロン・ヘルマン(Yaron Herman) が、新譜『Radio Paradice』をリリースした。アスリートから転向し16歳からピアノと音楽を始め、ジャズの世界で唯一無二の活躍を続け、“創造力とは生まれ持った才能ではなく、学ぶことで誰もが得られるスキルである”という持論を広く世界に発信し多くの共感を得る彼の音楽には、今作でもポジティヴな未来志向の感覚が満ちている。

  • 2025-04-09
  • 2025-04-06

それは子守唄か、それとも鎮魂歌か… 北欧のトランペッター、マティアス・アイク新譜『Lullaby』

ジャズの名門・ECMレーベルより、トランペット奏者マティアス・アイク(Mathias Eick)の新作『Lullaby』がリリースされた。メンバーはカルテット編成で、ピアノのクリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)、ベースのオーレ・モルテン・ヴォーガン(Ole Morten Vågan)、そしてドラムスのハンス・フルベクモ(Hans Hulbækmo)で、エストニア出身のクリスチャン・ランダル以外は全員がノルウェー人という構成。アルバムは全体的にメランコリックで、深く沈むような美しさがあるが、同時に温かな情熱を秘めている。

  • 2025-04-02
  • 2025-04-15

ピアノとファゴットで想い巡らす200年の冬の旅路。クリスチャン・ランダルが贈るシューベルト再解釈

エストニア出身のジャズピアニスト、クリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)と、同じくエストニアのファゴット(バスーン)の名手マーティン・クウスクマン(Martin Kuuskmann)によるデュオ作品『Schubert Voyage』。今作はオーストリアの作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797 - 1828)が晩年に作曲した『冬の旅』の再解釈で、シューマンの『詩人の恋』を再解釈したクリスチャン・ランダルの前作『Dichterliebe』に引き続き、彼のクラシック音楽への深い愛情に満ちた作品となっている。

  • 2025-03-30
  • 2025-04-09

ラテンジャズを愛するスイス出身若手女性ピアニスト、マノン・ミュレナーが描くそれぞれの人生の物語

スイス出身、ニューヨークで活動するジャズピアニスト/作曲家マノン・ミュレナー(Manon Mullener)が、世界中で出会った人々の人生の物語にインスパイアされ制作した新譜『Stories』が素晴らしい。キューバ音楽に影響を受け、現代NYで演じられるヨーロピアン・ジャズといった独特の趣のある作品で、多様なアイディアの発現からこの若手音楽家の才能が確信できる秀でた作品となっている。

  • 2025-03-29
  • 2025-04-26

音楽を再定義する可能性を秘めた壮大な芸術的実験。ポーランドの鬼才レシェック・モジジェル新譜

ポーランドのピアニスト、レシェック・モジジェル(Leszek Możdżer)は新作『Beamo』で、彼の前作『Passacaglia』(2024年)で試みた調性に対する実験をさらに大胆な形で更新している。彼はそれぞれ調律の異なる3台のピアノを用い、調性を放棄するのではなく、調性を拡張する形で音楽そのものを美しく再構築する。

  • 2025-03-28
  • 2025-03-28

その信念は現代ジャズをさらに進化させる。スウェーデンの革新派クインテット、Hederosgruppen

2020年にアルバム『Storstrejk』でデビューして以来、スウェーデンのジャズシーンで注目を集める5人組、ヘドロスグルッペン(Hederosgruppen)の3枚目のアルバム『Stilbrott』がリリースされた。彼らのスタイルはジャズの伝統に則りつつも独自の創造性や芸術性を追求するもので、ジャケットに描かれた“V字ジャンプの先駆者”であるスキージャンプ選手ヤン・ボークレブ(Jan Boklöv)が象徴するような自由と革新性を賛美している。