TAG

ピアノ

  • 2025-02-20
  • 2025-02-19

北欧の現代ジャズを象徴するシェーティル・ムレリド・トリオ 自由な表現を拡張した新譜『And Now』

革新的なスタイルで知られるノルウェーのピアニスト/作曲家、シェーティル・ムレリド(Kjetil Mulelid)のトリオによる4枚目のアルバム『And Now』がリリースされた。ピアノ、ダブルベース、ドラムスという一般的なピアノトリオ編成だが、手数の多い攻めのピアノ、ときにフリージャズを思わせる高次元の絡みを見せるアンサンブル、それでいて北欧らしい叙情性を失わない好盤となっている。

  • 2025-02-18
  • 2025-02-18

イタリア史に散らばる音楽的断片を繋ぎ、重厚な物語に仕立てた鬼才ランベルト・キアンマルギ新譜

イタリアン・ジャズの鬼才ピアニスト/作曲家ランベルト・キアンマルギ(Ramberto Ciammarughi)が、欧州ジャズの象徴的存在のトランペット奏者パオロ・フレス(Paolo Fresu)、打楽器アンサンブルのテトラクティス・パーカッシオーニ(Tetraktis Percussioni)、さらに声楽アンサンブルのアドカントゥス合唱団(AdCantus Ensemble Vocale)、ヴォーカリア合唱隊(Vocalia Consort)から成る大編成を率い録音した圧巻の新譜『Intramontes』。ラテン語で山の間を意味するが、その山々を抜けて、さらにその奥に広がる空間も意味するタイトルの通り、刺激的で示唆に富む音響が広がる作品だ。

  • 2025-02-16
  • 2025-02-16

モニカ・ゼタールンド&ビル・エヴァンスの名盤への再訪。現代北欧ジャズの才媛アンナ・グレタ新譜

モニカ・ゼタールンド(Monica Zetterlund)がビル・エヴァンス(Bill Evans)のトリオをバックに、アメリカのスタンダードやスウェーデンの伝統歌を歌った『Waltz For Debby』(1964年)というアルバムを愛するジャズファンは多いだろう。幼い頃からジャズに親しみ、ジャズとともに育ったアイスランド生まれのピアニスト/歌手アンナ・グレタ(Anna Gréta)もまた、その魔法の虜になり、それを自身の音楽的指針としてきたひとりだった。

  • 2025-02-09
  • 2025-03-02

恍惚のヒュッゲへと至るドイツの気鋭兄弟デュオ、ジュリアン&ローマン・ヴァッサーフール新譜

ピアノとトランペットのドイツの兄弟デュオ、ジュリアン&ローマン・ヴァッサーフール(Julian & Roman Wasserfuhr)がチェロ奏者のイェルク・ブリンクマン(Jörg Brinkmann)を迎え録音したアルバム『Safe Place』は、アルバムタイトル“安全な場所”が示すとおり、日常の喧騒から離れ、雑念を取り払い、静かに心を洗うための音楽だ。

  • 2025-02-04
  • 2025-02-02

ピアニスト/SSWマシャ・ガリビアン、偉大な詩人マヤ・アンジェロウに感化された表現力豊かな新譜

アルメニア系フランス人ピアニスト/歌手/作曲家のマシャ・ガリビアン(Macha Gharibian)が、新作『Phenomenal Women』をリリースした。今作は、米国の偉大な詩人/歌手マヤ・アンジェロウ(Maya Angelou, 1928 - 2014)の1987年ロンドンでのスピーチ/パフォーマンスにマシャ・ガリビアンが大きな感銘を受けたことがクリエイティヴなエネルギーの源となっている。タイトルの“驚異的な女性たち”はまさにそのスピーチの中に登場した言葉で、この偉大な女性を讃え、女性たちの戦い──女性が耐え忍ばなければならない暴力、そして性差別や平等に対する戦い──への彼女なりの強い信念を表明している。

  • 2025-02-01
  • 2025-05-11

イスラエル・ジャズ若手代表格の人気ピアノトリオ、GTO Trio 待望の新作『Within』

ピアノのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、ダブルベースのタル・マシアハ(Tal Mashiach)、ドラムスのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)という現代イスラエル・ジャズ最高峰の若手3人によるピアノトリオ、GTO Trio が新作『Within』をリリースした。10年以上にわたるコラボレーションの中でトリオとしてのアルバムはこれまでに2018年の『From the Road』のみだったが、それぞれがリーダーとして、あるいはプレイヤーとして世界中の様々なミュージシャンらと共演してきた経験を再び長い友情の中に持ち込み、それぞれの成長を反映させたような素晴らしい作品となっている。

  • 2025-01-18
  • 2025-01-18

パレスチナの鬼才ファラジュ・スレイマンが描く、非日常に生きる恋人たちの物語

パレスチナ人として初のジャズ・ピアニストと言われるファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman) が新作『Maryam』をリリースした。衝撃的なプログレッシヴ・ジャズの前作『As much as it takes』のリリースが2023年9月29日。そのわずか10日後に彼の世界は一変し、一時はその怒りとショックから所謂西側メディアから姿を消してしまった彼だが、2024年のモントルー・ジャズ・フェスティバルへの出演を機に徐々に復帰。こうしてまた、素晴らしい音楽作品を届けてくれた。

  • 2025-01-17
  • 2025-01-17

UKジャズ新世代アシュリー・ヘンリー、現代社会と個人の関係について考えを巡らせる新作『Who We Are』

一躍ロンドンのジャズ・シーンの中心に降り立った2019年のデビュー作『Beautiful Vinyl Hunter』から早5年。ピアニスト/作曲家アシュリー・ヘンリー(Ashley Henry)が待望の新作『Who We Are』をリリースした。幼い頃からレコードに囲まれ、自然と音楽の女神に導かれた時代の寵児による、現在進行形のUKジャズを象徴するような素晴らしい作品だ。

  • 2025-01-15
  • 2025-01-13

荒野を駆け出す北欧現代ジャズ。アレクシ・トゥオマリラ新譜『Departing the Wasteland』

フィンランドのピアニスト/作曲家のアレクシ・トゥオマリラ(Alexi Tuomarila)の新作『Departing the Wasteland』は、エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)以降の現代的な北欧ジャズの雰囲気を持つ作品だ。ロックや現代音楽の趣向を反映した構成で、技巧と感情のバランスの取れた総合的に優れたアルバムとなっている。

  • 2025-01-13
  • 2025-01-13

仏気鋭ピアニスト、バティスト・バイイ 欧州と地中海沿岸を旅する新譜『La Fascinante』

フランスの気鋭ピアニスト/作曲家バティスト・バイイ(Baptiste Bailly)の新譜『La Fascinante』は、欧州や地中海周辺の伝統的な音楽の影響を幅広く織り交ぜた、繊細で詩的な素晴らしい音楽作品だ。非常に映像的、物語的な印象を受けるアルバムで、楽曲の多様性は地中海周辺を巡る旅路のようにも感じられる。

  • 2025-01-12
  • 2025-01-10

シアトルの気鋭ピアニスト、ビル・アンシェルのユニークな個性と創造性『Improbable Solutions』

米国シアトルのジャズ・ピアニスト/作曲家、ビル・アンシェル(Bill Anschell)の2024年作『Improbable Solutions』。自分にとって名前も演奏も初めて聴くピアニストで、とても瑞々しく若い感性が作曲やサウンドの随所に感じられたので若手かなと思っていたが、なんと1959年生まれの還暦過ぎのベテランだった。

  • 2025-01-09
  • 2025-01-07

デンマークの名手トーマス・フォネスベック、イタリア稀代の音楽家たちと奏でる至極のインタープレイ

デンマーク出身のベーシスト/作曲家トーマス・フォネスベック(Thomas Fonnesbæk)が欧州最高のメンバーを迎え録音した『In Rome』が素晴らしい。北欧ジャズの静かな抒情と、ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)がもたらす古いイタリア映画のようなセピア色のノスタルジアが織りなす繊細なインタープレイが実に情感豊かな作品だ。

  • 2025-01-07
  • 2025-01-05

現代最高峰のオーセンティック・ジャズ。アリ・ホーニグ・トリオ新作『Tea for three』

米国のドラマー、アリ・ホーニグ(Ari Hoenig)の新譜『Tea for three』。ピアノのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、ベースのベン・ティベリオ(Benjamin "Ben" Tiberio)とのトリオ編成は前作『Golden Treasures』(2022年)と同じ面子で、長いキャリアを持つアリにとっても同じメンバーで2枚続けてアルバムをリリースするのは初めてのようだ。

  • 2025-01-03
  • 2025-01-02

アルゼンチン・ジャズの女傑ノラ・サルモリア、その創造性の真髄を見るピアノ弾き語り作

アルゼンチンのピアニスト/歌手/作曲家、ノラ・サルモリア(Nora Sarmoria)が自身のピアノ弾き語りを中心としたアルバム『Amniótica』をリリースした。アルゼンチン・ジャズ、あるいはネオ・フォルクローレの粋の結晶のような極上のアルバムで、ノラ・サルモリアの傑出した才能にあらためて感服させられる。