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ピアノトリオ

  • 2025-09-16
  • 2025-09-15

ピアノの詩人フレッド・ハーシュ、名手たちと紡ぐ極上のピアノトリオ作『The Surrounding Green』

これほど心が洗われるような音楽は、なかなかない。“ピアノの詩人”ことフレッド・ハーシュ(Fred Hersch)による、ECM第3作目『The Surrounding Green』。ベースのドリュー・グレス(Drew Gress)もドラマーのジョーイ・バロン(Joey Baron)も長年のコラボレーターだが、このピアノトリオ編成でのスタジオ録音は初だという。選曲もオリジナルとカヴァーでだいたい半分ずつとバランスが取れており、万人にお勧めできるジャズ・ピアノトリオの作品であることは間違いない。

  • 2025-09-10
  • 2025-08-31

日本やアジアの文化を敬愛する南仏発レミ・パノシアン・トリオ、「八」をテーマにしたポップ・ジャズ

フランス初の国際的ポップ・ジャズ・トリオ、レミ・パノシアン・トリオ(Rémi Panossian Trio)の通算8枚目のアルバム『88888888』のテーマは、無限の象徴であり、東アジアの風水文化でもっとも縁起の良い数字とされる「8」をタイトルに冠し、とりわけ東アジアの文化への敬意をユーモラスに表す。シンプルなピアノトリオ編成ながら、楽曲や演奏は豊かな色彩感覚があり、技巧面でも超絶的なジャズでありながら絶妙にキャッチーでポップだ。

  • 2025-09-02
  • 2025-08-31

ADHDの特性をジャズの表現に投影する気鋭ピアノ奏者アガ・デルラック新譜『neurodivergent』

ポーランドのピアニスト/作曲家アガ・デルラック(Aga Derlak)の4枚目となるアルバム『neurodivergent』がリリースされた。今作はニューロダイバーシティ(神経多様性)をテーマにしており、ADHDと診断された彼女自身の神経多様性や内面的なカオスを音楽的に表現。音楽的にはやや実験的に、三位一体のピアノトリオと数曲でヴァイオリンのゲストも交え、独創的な世界観の音空間を作り上げた、リスナーに強い印象を残すアルバムとなっている。

  • 2025-08-09
  • 2025-08-09

欧州ピアノトリオのトップランナー、Tingvall Trio。ラテン語で『平和』と冠した感動的な新作

ティングヴァル・トリオ(Tingvall Trio)の記念すべき10枚目のアルバムである『Pax』(2025年)は、アコースティック・ピアノトリオの真骨頂を見せるというファンの期待に見事に応えたものとなっている。これまで同様に、スウェーデン出身の天才的なピアニスト/作曲家マーティン・ティングヴァル(Martin Tingvall)が全曲を作曲し、結成以来ずっと変わらないリズムセクションの二人──キューバ出身のベース奏者オマール・ロドリゲス・カルボ(Omar Rodriguez Calvo)とドイツ出身のドラマー、ユルゲン・シュピーゲル(Jürgen Spiegel)──とともに、過去から絶え間なく連なるジャズの現在と、未来へのひとつの方向を示す。

  • 2025-07-21
  • 2025-07-21

シカゴ出身、マルセイユで文化の多様性を吸収したロブ・クリアフィールド、初のリーダー作

マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)のバンドでの活躍などで知られるピアニスト/作曲家のロブ・クリアフィールド(Rob Clearfield)による初のリーダー作『Voice in the Wilderness』。ピアノトリオを中心に、いくつかの曲ではトランペット奏者イタマール・ボロホフ(Itamar Borochov)も参加し、オーセンティックなスタイルから、クラシックの影響を受けたヨーロピアンな雰囲気を持つ演奏まで、幅広いジャズを聴かせてくれる好盤だ。

  • 2025-06-28
  • 2025-06-28

超絶技巧と中東叙情を兼ね備えた魅惑のジャズ・プログレ、新星シャロン・マンスール新譜『Trigger』

アルバムの1曲目、最初の1音からリスナーの心を強く掴む作品は、そうそう多くはない。そしてそうした作品は、ほとんどが「傑作」「名盤」と呼ばれる類のものだ。名門ACTレーベルよりリリースされたイラク系イスラエル人鍵盤奏者、シャロン・マンスール(Sharon Mansur)のトリオでのデビュー・アルバム『Trigger』はまさにそれに当てはまる作品だ。ピアノトリオの作品だが、プログレや中東音楽からの強い影響を感じさせるそのサウンドはとてつもなく鮮烈で、この女性ピアニストへの興味を掻き立てる。

  • 2025-05-13
  • 2025-05-11

エモーショナルな人生のサウンドトラック。ニルス・クーゲルマン 2nd『Life Score』

ドイツのベーシスト/作曲家ニルス・クーゲルマン(Nils Kugelmann)が、“人生のサウンドトラック”をテーマに据えた第2作目『Life Score』をACTレーベルよりリリースした。高く評価された前作『Stormy Beauty』と同様、ピアノにルカ・ザンビート(Luca Zambito)、ドラムスにセバスチャン・ヴォルフグルーバー(Sebastian Wolfgruber)とのトリオで、より緻密で力強く物語性のある現代ジャズを聴かせてくれる秀逸な作品に仕上がっている。

  • 2025-05-03
  • 2025-05-03

国境を越える“音楽の密売人”、フランスの鬼才ダヴィド・オーベイル『Trafiquants』

国境を越えあらゆる音楽を吸収するフランスの鬼才ピアニスト/フルート奏者/作曲家ダヴィド・オーべイル(David Aubaile)。彼がカナダ出身のベース奏者クリス・ジェニングス(Chris Jennings)と、アルジェリア出身のドラムス奏者カリム・ジアド(Karim Ziad)と組んだ2024年作『Trafiquants』が最高に面白い。

  • 2025-03-29
  • 2025-04-26

音楽を再定義する可能性を秘めた壮大な芸術的実験。ポーランドの鬼才レシェック・モジジェル新譜

ポーランドのピアニスト、レシェック・モジジェル(Leszek Możdżer)は新作『Beamo』で、彼の前作『Passacaglia』(2024年)で試みた調性に対する実験をさらに大胆な形で更新している。彼はそれぞれ調律の異なる3台のピアノを用い、調性を放棄するのではなく、調性を拡張する形で音楽そのものを美しく再構築する。

  • 2025-03-21
  • 2025-03-21

知性派現代ジャズの最前線ピアノトリオ。太陽の恵みをテーマとしたフィリップ・レム最新作

オランダ出身のドラマー/作曲家フィリップ・レム(Philippe Lemm)の4枚目となるスタジオ・アルバム『Echo The Sun』。今作ではトリオにインド出身ピアニストのシャーリク・ハサン(Sharik Hasan)を新たに迎え、太陽の恵みによる光と温かさ、回復力をテーマとした音楽的探求を特徴とした素晴らしい現代ジャズを展開する。

  • 2025-03-18
  • 2025-03-17

動物たちをテーマにした斬新な現代ジャズ。気鋭鍵盤奏者トニー・パエルマン新譜『Wise Animals』

フランスのピアニスト/作曲家トニー・パエルマン(Tony Paeleman)の新譜『Wise Animals』は、この1981年生まれの鍵盤奏者が2021年にベースのジュリアン・エルネ(Julien Herné)とドラムスのステファン・ハチャード(Stéphane Huchard)とともに録音し高い評価を得た『The Fuse』の待望の続編であり、おそらくは彼のキャリアにおいてもピークに達した感のある傑作だ。

  • 2025-03-10
  • 2025-03-09

内省と解放を繰り返す美しい欧州ジャズ。日系ベルギー人ピアニスト、アレックス・クーの音楽

ベルギー人の父親と日本人の母親を持つベルギーのピアニスト、アレックス・クー(Alex Koo)の新作『Blame It on My Chromosomes』。長年共演してきたベースのレンナルト・ヘインデルス(Lennart Heyndels)とドラマーのドレ・パレマールツ(Dré Pallemaerts)とのトリオ編成を軸に、2曲では米国の人気トランペット奏者のアンブローズ・アキンムシーレ(Ambrose Akinmusire)がゲスト参加した充実の作品となっている。

  • 2025-02-24
  • 2025-02-25

目に見えないもの、語られないものへの美しい賛辞。ペトロス・クランパニス 国籍を超えたトリオでの新作

ギリシャ出身のベーシスト/作曲家ペトロス・クランパニス(Petros Klampanis)の新作『Latent Info』。アルバムはエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)とイスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)との共同名義だが、収録曲は多くがペトロス・クランパニスの作曲クレジットとなっている。

  • 2025-02-22
  • 2025-02-22

多文化共生のカナダ・トロントJAZZシーンを象徴する最強ピアノトリオ! Jeremy Ledbetter Trio

カナダ・トロントを拠点とするピアニスト/作曲家ジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)率いるピアノトリオの2024年新譜『Gravity』。スナーキー・パピー(Snarky Puppy)のドラマーとして知られるラーネル・ルイス(Larnell Lewis)と、スティーヴ・コールマン(Steve Coleman)との活動で知られるベーシストのリッチ・ブラウン(Rich Brown)とのトリオで、2018年のデビュー作『Got a Light?』以来の新作だ。