- 2026-03-29
- 2026-03-29
カリビアン・ジャズの貴公子グレゴリー・プリヴァがピアノと歌で描く、愛と再生の物語
カリブ海に浮かぶフランス領マルティニーク出身のピアニスト/シンガーソングライター、グレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の新譜『Darling』。現代クレオール・ジャズの傑作と言って過言ではない傑作だろう。ソロピアノ作品『Yonn』(2022年)やトリオでの野心作『Phoenix』(2024年)を経て、今回のソロ作は彼のキャリアの頂点のように感じる。
カリブ海に浮かぶフランス領マルティニーク出身のピアニスト/シンガーソングライター、グレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の新譜『Darling』。現代クレオール・ジャズの傑作と言って過言ではない傑作だろう。ソロピアノ作品『Yonn』(2022年)やトリオでの野心作『Phoenix』(2024年)を経て、今回のソロ作は彼のキャリアの頂点のように感じる。
カナダを代表する女性シンガー、ドミニク・フィス=エメ(Dominique Fils-Aime)。ジュノー賞を受賞するなど高く評価された2023年の前作『Our Roots Run Deep』では自身が根ざすルーツについて歌い、単なる音楽を超えた彼女自身の内面や社会との繋がり、脈々と繋がれる命について深い洞察の作品だったが、この2026年作『My World Is The Sun』ではその価値観を保ちつつ、より解放的なテーマを感じさせる内容となっている。
現代のマグレブ社会を象徴するシンガーソングライター、スアド・マッシ(Souad Massi) の新作のタイトル『Zagate』は、フランス語で「事態は悪化している」を意味する「ça se gâte」に由来するアルジェリア風スラングだという。この作品は、四半世紀前にアルジェリアからフランスに亡命し、今もなお社会的なテーマを創造力の源とする彼女による、混乱や暴力や人種差別、戦争が絶えない現代社会への鋭利な警告だ。
ブラジル出身、2014年のデビュー後にヨーロッパに移住し、現在はスペインのバルセロナを拠点とするシンガーソングライター、レオ・ミデア(Leo Middea)が6枚目のスタジオ・アルバムとなる『Notícias de Puglia』をリリースした。「プーリアからの便り」のタイトルが示すのは、旅を続ける彼らしい、故郷ブラジルへのサウダーヂの想いだ。
トルコ出身のシンガーソングライター/クラリネット奏者、エズギ・セヴギ・ジャン(Ezgi Sevgi Can)によるデビュー・アルバム『Karanfiller』が素晴らしい。全曲がエズギ・セヴギ・ジャンの作詞作曲で、彼女自身はヴォーカルとクラリネットを担当。サウンドは親しみやすい西洋音楽と、マカームに根差した微分音や変拍子が見事に融合しており、音楽的にも新鮮な感動がある作品だ。しかしその裏には、彼女と彼女の家族をめぐる悲劇的な運命と、15年以上にわたって闘い続ける、彼女の強さが隠されていた。
米国オックスフォードで生まれ、京都や横浜、そして米国サンタバーバラで育ち、現在はロンドンを拠点とする音楽家モモコ・ギル(Momoko Gill, ギル桃子)のソロデビュー・アルバム『Momoko』が2026年2月にリリースされた。多文化環境で豊かな感性を育み、長年UKのエレクトロニック/ジャズシーンの“秘密兵器”と囁かれた彼女のデビュー作は、実験音楽やエレクトロ・ミュージックだけでなく、多様なシーンから影響を受けたシンガーソングライターとしての充実ぶりが垣間見える劇的な作品となっている。
カタルーニャのシンガーソングライター、マガリ・サーレ(Magalí Sare)の2026年新譜『DESCASADA, Vol. 1』は、単なる美しい楽曲のコレクションではない。これは、数世紀にわたり女性を縛り付けてきた「結婚」という制度、そしてそこからの解放を巡る、壮大な音楽的人類学の試みであり、アーティストとしての彼女にとって重要なマイルストーンでもある。
スペイン・マヨルカ島出身、伝統的なフォーク音楽をポップスやエレクトロニックと融合させ独自のスタイルを築くシンガーソングライターのジュリア・コロム(Júlia Colom)。高く評価された2023年のデビュー作『Miramar』につづく2ndアルバムとして、2025年末に『Paradís』がリリースされた。
南アフリカ・ヨハネスブルク出身、現在はニューヨークで活動するシンガーソングライター、ナレディ(Naledi)の2nd EP『Darkness, my old friend.』は、アルバムの標題としてもその歌詞を引用するサイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)のカヴァー(1)「Sounds of Silence」で幕を開ける。テーマは“孤独(Loneliness)”と、“独りでいること(Aloneness)”の違い、あるいはその両方について。
イスラエル・テルアビブ出身、現在はニューヨークのマンハッタンを拠点とするギタリスト/シンガーソングライターのエリー・パールマン(Ely Perlman)による2025年作『Everything Should Be』は、ドリーミーなベッドルーム・ポップとジャズを掛け合わせたような白昼夢的サウンドが心地よい作品だ。演奏にはゲストとして彼が所属するバンド「Ursa Major」のリーダーであるベース奏者クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)や、イスラエルを代表するピアニストのシャイ・マエストロ(Shai Maestro)なども参加。
スーダンの伝統音楽をジャズやソウルと融合した独自のスタイルで知られるSSW、アミーラ・ヘイル(Amira Kheir)の4枚目となるアルバム『Black Diamonds』(2025年)。スーダンの豊かな文化遺産、祖先へのオマージュ、アイデンティティなどをテーマに歌う今作には、スーダンの伝統音楽のアレンジとオリジナル曲が混在し、過去と現在をつなぐ架け橋のような作品となっている。
アルゼンチン・ブエノスアイレスのSSW/ピアニスト、セバスティアン・マッキ(Sebastián Macchi)による2025年の新作『Grita en mí』。5人編成の新しいバンド、コレクティーヴォ・バルディオ(Colectivo Baldío)による録音で、これまでの彼の作品と比較するとエレクトリックの比重が少し増したが、その美しい感性から紡ぎ出される瑞々しい楽曲群はなおも健在で、豊かな音楽体験を約束する素晴らしい内容となっている。
2021年のデビュー作『Laura Itandehui』での内省的で伝統を重んじたソングライティングからの明らかなフェーズの転換だ。メキシコシティのシンガーソングライター、ラウラ・イタンデウイ(Laura Itandehui)の2ndアルバム『Si Me Ven Alegre』(2025年)は近隣ラテン圏への旅を経てより明るく、開放的になった。歌詞や曲調には人生の喜びを前面に押しだし、その声にも向うべき未来への確固たる信念や自信を覗かせる。
ブラジル・サンパウロ州出身のシンガーソングライター、マヌー・サッジオーロ(Manu Saggioro)の2ndアルバム『AMA』。ブラジル・ラジオ文化賞(Rádio Cultura Brasil)を受賞した前作『Clarões』(2019年)に引き続きセウマール(Ceumar)が音楽監督を務め、パーカッションでアントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)が全面参加しており、自然やスピリチュアル文化を音楽の基底に据えた、詩情豊かで穏やかな素晴らしいアルバムに仕上がっている。