鬼才サックス奏者オデッド・ツール、美しく幽玄なECMデビュー作『Here Be Dragons』

Oded Tzur - Here Be Dragons

静謐で神秘的な極上のジャズ、オデッド・ツールECMデビュー盤

イスラエル出身のサックス奏者、オデッド・ツール(Oded Tzur)が名門ジャズレーベルECMから『Here Be Dragons』をリリースした。

オデッド・ツール(Oded Tzur)は1984年、イスラエルのテル・アヴィヴ生まれでニューヨークを中心に活動するテナーサックス奏者。即興音楽を追求するうちにインド古典音楽に辿り着き、バンスリ(バンブーフルート)と呼ばれる伝統的な横笛の巨匠ハリプラサドゥ・チャウラシア(Hariprasad Chaurasia)に弟子入り。「ラーガ」と呼ばれるインド古典音楽の旋法に多大な影響を受けた独自のスタイルを築き上げた鬼才だ。
2015年にシャイ・マエストロ(Shai Maestro)ペトロス・クランパニス(Petros Klampanis)ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)の俊英メンバーで作り上げた『Like a Great River』デビュー、2017年には同メンバーと『Translator’s Note』をリリースしどこか東洋的で神秘的な音楽性が話題となった。

ECMデビューとなる今作ではベースのペトロス・クランパニス以外のバンドメンバーを変え、ピアノにニタイ・ハーシュコヴィッツ(Nitai Hershkovits)、ドラムスにジョナサン・ブレイク(Johnathan Blake)の顔ぶれ。
特にピアニストがニタイ・ハーシュコヴィッツに変わった影響は大きく、典型的なジャズピアニストとは全く異質な彼の清く澄んだピアノの音色が、オデッド・ツールの音楽性ととても相性良く美しく響く。

収録曲はラストのエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)の「Can’t Help Falling In Love」を除き全てオリジナル。(1)「Here Be Dragons」から、深い精神世界に引き摺り込まれそうなスピリチュアルな音楽が展開される。

(1)「Here Be Dragons」

本作はECM創設者マンフレート・アイヒャーの芸術監督のもと、ECMの他作品の収録でも利用されることの多いスイス・ルガーノの著名なコンサートホール、オーディトリアム・ステリオ・モロ(Auditorio Stelio Molo)で2019年6月に吹き込まれた。一般的な狭い音楽スタジオと異なり、コンサートホール特有の自然な残響音も捉えられたECMらしい思わずため息が漏れるような極上のサウンドに仕上がっている。

Oded Tzur – tenor saxophone
Nitai Hershkovits – piano
Petros Klampanis – double bass
Johnathan Blake – drums

Oded Tzur - Here Be Dragons
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