ピアノ&ドラムの大傑作!欧州ジャズの伝統と革新を兼ね備えた最強デュオ作品

Sendecki & Spiegel - Two in the Mirror

ヨーロッパの名手によるピアノ&ドラム・デュオ傑作

ポーランドのピアニスト、ヴラディスラフ・センデツキ(Vladyslav Sendecki)とドイツのドラマー、ユルゲン・シュピーゲル(Jürgen Spiegel)のデュオによる『Two in the Mirror』は、ピアノとドラムスのみという珍しい編成だが斬新な感覚と静かな感動のある知られざる傑作だ。

アルバムに収録された全11曲はすべてそれぞれのオリジナルまたは共作曲。
曲調も演奏もデュオとは思えないほどバラエティ豊かで、ふたりで語り合うように演奏される(1)「Meanwhile in Heaven」や、ユルゲン・シュピーゲルが在籍する人気バンド、Tingvall Trioの楽曲を思わせる現代的な(2)「Wroooong」、アルバム中唯一のふたりの共作曲でシンプルなテーマから一転狂気じみたアドリブが炸裂する(7)「Good Morning Tokyo」など、親しみやすく文句なくハイクオリティな演奏が並ぶ。

(3)「A New Day」のMV。

ベーシストが不在のこのような編成では、ピアニストは意識的に左手の低音を厚くしようとし不自然なサウンドになりがちなものだが、近年ソロでの活動も多いヴラディスラフ・センデツキはピアノの広い音域を駆使し全く違和感や物足りなさのない完璧な演奏を繰り広げる。

全体的にセンデツキのピアノの音色自体が硬質で明るいことにも起因しているように思えるが、このアルバムの白黒はっきりした主張の強い音はリスナーの心に直接的に強く訴えかけ、彼らの世界観に強引に引き摺り込むような魅力を持っているように思える。

(2)「Wroooong」のMV。

欧州ジャズを代表する二人のプロフィール

ピアノのヴラディスラフ・センデツキ(Vladyslav Sendecki, ポーランド語:Władysław Sendecki)は1955年、ポーランドのゴアライス生まれ。元々はショパン音楽院などでクラシックのピアノを学んでいたが、のちにジャズに転向。
1981年にスイスに移住し、国際的なキャリアを開始。サックス奏者のクラウス・ドルディンガー(Klaus Doldinger)率いるドイツのジャズ/フュージョン・バンド、Passportへの参加や、晩年のジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)が欧州ツアーの際にビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)らとドイツで録音したアルバム『Stuttgart Aria』(1986年)にもクレジットされている。
NYの老舗コミュニティ誌『ビレッジボイス』(2018年に廃刊)は彼を“世界のジャズピアニストのトップ5のひとり”と評価した(残りの4人はハービー・ハンコック、キース・ジャレット、デューク・エリントン、そしてチック・コリア)が、寡作なためかあまり知られていないことも事実だ。

一方のドラマー、ユルゲン・シュピーゲル(Jürgen Spiegel)は1972年ドイツ・ブレーメン生まれ。十代後半から地元ブレーメンの音楽学校などでドラムを学び、のちにニューヨークのマンハッタン音楽学校にも留学。
ヨーロッパでもっとも革新的なピアノトリオのひとつとして知られるティングヴァル・トリオ(Tingvall Trio)のメンバーとして知られ、2000年代より数々の賞を受賞している。
これまでにカート・エリング(Kurt Elling)、ヤリ・カリシ(Yari Carissi)、ドミニク・ミラー(Dominic Miller)、NDRビッグバンド(NDR Big Band)、ネカ(Nneka)など多彩な音楽家たちと共演をしている。

(6)「Lucky but Unhappy」のMV。
曲名もこの映像も示唆的だ。
(1)「Meanwhile in Heaven」のMV。
静かに語り合うように演奏される、印象的な楽曲。

Vladyslav Sendecki – piano
Jürgen Spiegel – drums

Sendecki & Spiegel - Two in the Mirror
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