Sonexのハラナ奏者ジェロニモ・ゴンザレスのHipHopプロジェクト
メキシコのバンド、Sonexのメンバーでありビートメイカー/マルチ奏者/作曲家のラスト・ジェロニモ(Last Jeronimo)のソロデビュー作となる『Somos』(2019年)はメキシコ音楽や中近東音楽などのエッセンスを加えたユニークなヒップホップ作品だ。
丁寧に作り込まれた、英語圏のヒップホップとは少し違ったエキゾな魅力のあるトラックの数々にはゲストも多数参加。妖艶な声を持つイスラエルの歌手シェリー・ツァラフィ(Shelly Tzarafi)にメキシコの女性ラッパー、ザラ・モンロイ(Zara Monrroy)が参加したタイトル曲(2)「Somos」、Lengualerta と Choko という二人の男性ラッパーをフィーチュアした(3)「NHWL」、無機的な金属音のループに現代的でジャジーなビートが絡むインストゥルメンタル(8)「Cielos Ácidos」など、独特のセンスの塊のような楽曲が並ぶ。
ラスト・ジェロニモこと本名ジェロニモ・ゴンザレス(Jerónimo González)は、風貌こそいかにもヒップホップやビートメイカーという感じだが、メキシコの伝統楽器ハラナ(jarana)の達人として知られ、さらに出身校である音楽大学ではコントラバスも学び、スペインのバルセロナでフラメンコギターを学ぶなど卓越したマルチプレイヤーでもある。
ほかにも民族音楽学の学位やバークリー音楽大学での音楽制作の学位を持つなど意外性のある個性的なアーティストだ。