UK現行JAZZの象徴的一枚、ダニエル・カシミール&テス・ハースト新譜

Daniel Casimir & Tess Hirst - These Days

バンドのレベルの高さが際立つダニエル・カシミール&テス・ハースト新譜

これはUKの現代ジャズシーンで、もっともレベルが高く、聴くべき一枚だ。
ロンドンのベーシスト、ダニエル・カシミール(Daniel Casimir)とヴォーカリスト、テス・ハースト(Tess Hirst)の共同名義によるデビューアルバム『These Days』(2019年)。

ダニエル・カシミールはバーミンガム音楽院を2012年に卒業したジャズベーシストで、カミラ・ジョージ(Camilla George)やヌビア・ガルシア(Nubya Garcia)、マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)らと共演するなどUKのジャズシーンを支える存在。2016年のウンブリア・ジャズフェスティヴァルでは日本が誇るピアニスト山中千尋とも共演をし、同年には「Jazz Young Musician Award」を受賞している。

一方のヴォーカリスト、テス・ハーストはキューバや西アフリカの音楽など民族音楽学を学び、音楽に対して常に新しい視点を持ち続けてきた。

そんな二人の双頭作品を支えるのはピアノにロバート・ミッチェル(Robert Mitchell)、ギターにトビー・カーペンター(Tobie Carpenter)、ドラムスにオリー・サーカー(Olly Sarkar)という超強力バンドで、緻密なアンサンブルが素晴らしく各人ソロにも個性が際立つ。
ダニエル・カシミールのベースは派手さやスケールの大きさこそあまり感じないものの、その低音は太くグルーヴィーで、静かに的確に主張するタイプでアンサンブルの中で重宝されそうな個性だ。

アルバムの合間に挿入される3つの間奏曲(Interlude)では、英国の詩人ジョン・アガード(John Agard)が書いた“偏見”をテーマにした詩が朗読される。近年の政治と文化をテーマにした本作にマッチするとの理由で、これらの詩が採用されたようだ。
コロナ禍や“Black Lives Matter”以前の録音だが、こうした問題が顕在化する以前からくすぶっていた怒りと不満のエネルギーを感じさせられるアルバムだった。

アルバムの表題曲(11)「These Days」のライヴ演奏。
デュオによる「Close & Slow」の演奏動画(アルバムには未収録)。

Tess Hirst – vocals
Daniel Casimir – bass
Tobie Carpenter – guitar
Olly Sarkar – drums
Robert Mitchell – piano

Daniel Casimir & Tess Hirst - These Days
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