UK新世代ジャズトリオ筆頭格Mammal Hands、比類なき個性で傑出する新譜

Mammal Hands - Captured Spirits

ママール・ハンズ 3年ぶり新譜『Captured Spirits』

UK新世代ジャズトリオ、ママール・ハンズ(Mammal Hands)の2020年新譜『Captured Spirits』がリリースされた。2017年『Shadow Work』以来、3年ぶり4枚目の作品だ。

目の眩むような強烈なポリリズムの(1)「Ithaca」で始まる今作は、サックス、ピアノ、ドラムス&タブラというこの個性的なトリオのあらゆる魅力が凝縮されている。

彼らの音楽はまさしく現代JAZZの新世代というべきサウンドで、現代音楽やロックなどから影響を受けたジャズという点では同郷のピアノトリオ、ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)ともよく比較されがちだが、ベースレスという変則編成、(4)「Versus Shapes」で聴かれるようなタブラや(7)「Riddle」にみられるような中東的音階を効果的に取り入れたワールドミュージックへのリーチ、作曲とアドリブパートのバランス感覚、適度なエレクトロニカなどなど、複合的な要素をうまくキャッチーに纏めるセンスは極めて個性的で創造的だ。

(1)「Ithaca」
(2)「Chaser」のMV。

緻密なコンポジション×即興のバランス感覚に優れたトリオ

ママル・ハンズ(Mammal Hands)はイギリス・ノリッジ(Norwich)出身のジャズトリオ。バンド名は「哺乳類の手」の意味。
サックスのジョーダン・スマート(Jordan Smart)、ピアノのニック・スマート(Nick Smart)の兄弟と、ドラムス/パーカッションのジョセ・バレット(Jesse Barrett)という編成で、2014年に『Animalia』でUK新世代ジャズにおける最重要レーベル、Gondwana Records からデビューした。

ベーシストがいないが、その役割はピアノの左手が担う。楽曲は緻密で重厚なコンポジションに支えられているが、計算しつくされたものだけではなく、即興の偶然性の余白も大きく残し、特にサックスのアドリブ演奏は伝統的なジャズの熱さを持つ。
レーベルメイトであるGoGo PenguinやPortico Quartetとも全く異なる独自の音楽性を確立した、UK新世代ジャズの筆頭格だ。

(4)「Versus Shapes」はタブラをフィーチュアし、スピリチュアルな響き。

Jordan Smart – saxophone
Nick Smart – piano
Jesse Barrett – drums, tabla

Mammal Hands - Captured Spirits
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