スペインの歌姫、シルビア・ペレス・クルス新譜『Farsa』
2019年10月のブルーノート東京公演を収録したライヴ盤『MA. Live In Tokyo』を2020年5月にリリースしたばかりのスペインの歌姫、シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)から、早くもスタジオ盤の新作が届いた。
その新作、10月2日リリースの『Farsa (género imposible)』は、実験的な要素も交えつつも、全体的な雰囲気はカタルーニャの伝統音楽に則った落ち着いたサウンド。そしてやはり、シルビアの圧倒的な歌唱の存在感が際立つ。
古くから世界中の文化が混ざり合い、化学反応を起こしながら発展してきたバルセロナの音楽らしく、伝統とほんの少しの不安定な音楽的要素とのバランス感覚に優れた稀有な作品に仕上がっている。
(1)「Pena Salada」でシルビア・ペレス・クルスの声を支える楽器はほぼパーカッションのみ。
一転して柔らかなガットギターの音色に導かれる(2)「Todas las Madres del Mundo」、続くキャッチーなワルツ(3)「Mañana」など、どの曲も個性的だ。
全体的にアコースティック楽器が主体の穏やかな音作りが心地いい。
シルビア・ペレス・クルス 略歴
シルビア・ペレス・クルスは1983年、スペインのカタルーニャ州生まれ。カタルーニャ高等音楽院(ESMUC)でジャズ・ヴォーカルを学び、2004年には女性4人でフラメンコ・ユニット、ラス・ミガス(Las Migas)を結成。その高い芸術性で Instituto de Juventud による「最高のフラメンコ・グループ」の賞を受賞するなどすぐに話題となり、同国を代表する歌手として認知されるに至った。
2011年にソロ活動に専念するためLas Migasを脱退、コントラバス奏者のハビエル・コリーナ(Javier Colina)との共同名義でアルバム『En La Imaginación』(2011年)を発表。
2018年には日本とスペインの国交樹立150周年を記念した日本企画のベスト盤も発売され、同年に初来日しブルーノート東京で公演を行っている。