バハマ出身、ジャズに恋焦がれた若きトランペッターがNYに刻む新たな1ページ

Giveton Gelin - True Design

島国バハマに生まれ育ったジャズ少年、ギブトン・ジェリン

バハマ生まれ、現在はニューヨークのジュリアード音楽院在学中(2021年卒業予定)の新鋭トランペッター、ギブトン・ジェリン(Giveton Gelin)のデビューアルバム『True Design』はジャズ・トランペットの過去と未来をつなぐ現在地を示す注目作だ。
音の素晴らしさもさることながら、この若きトランペッターの物語もなかなかにエモい。

彼が生まれたカリブ海に点在する700の島々で構成されるバハマという国は、ジャズを学ぶには充分な環境ではなかった。それでも10歳頃からお気に入りのレコードを何度も何度も繰り返し聴きながら独学でトランペットを日々練習・習得していった彼は、ある日バハマの首都ナッソーでベーシストのエイドリアン・ダギラール(Adrian D’Aguilar)の運命的なライヴを観て初めてバハマにもジャズがあったことに気付き、彼に師事しながら自らもその道に進むことを決意したという。
その後アメリカ合衆国のジャズの聖地ニューヨークに渡った彼は、ウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)、ニコラス・ペイトン(Nicholas Payton)、ジェイソン・モラン(Jason Moran)、アンブローズ・アキンムシーレ(Ambrose Akinmusire)、そして今作でも最大限の敬意を示した故ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)らから指導を受け、持ち前のハングリーさで豊かな才能を開花させてきた。

そんなギブトン・ジェリンの自主制作によるデビューアルバム『True Design』には、イマニュエル・ウィルキンス(Immanuel Wilkins, as)やミカ・トーマス(Micah Thomas, p)といった現在のNYシーンでよく目にする新鋭たちも参加。若手らしい勢いのある高速4ビートから、感情的なスローバラードまで、NYの小さなジャズクラブで毎夜繰り広げられてきたセッションの熱を封じ込めたような快演が続く。

(2)「Inner Perception」
ストレートな4ビート

オリジナル曲に混じってソニー・ロリンズ作の(3)「Grand Street」、コール・ポーター作(6)「Every Time We Say Goodbye」(恩師であるロイ・ハーグローヴに捧げられている)、そしてアーヴィング・バーリン作(8)「What Will I Do」の3曲のカヴァーも収録されている。

アルバムとほぼ同じメンバーによる(8)「What Will I Do」のライヴ演奏動画。
この曲はベラルーシ生まれのユダヤ人で、アメリカで作曲家として活躍したアーヴィング・バーリン(Iriving Berlin)が1923年に発表した曲。

Giveton Gelin – trumpet
Immanuel Wilkins – alto saxophone
Micah Thomas – piano
Philip Morris – bass
Kyle Benford – drums

Giveton Gelin - True Design
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