チェロとピアノ、情緒の深み…アニヤ・レヒナー&フランソワ・クチュリエの名デュオ再び

Anja Lechner & François Couturier - Lontano

詩的かつ深みのあるチェロとピアノのデュオ作

ドイツのチェリスト、アニヤ・レヒナー(Anja Lechner)とフランスのピアニスト、フランソワ・クチュリエ(François Couturier)による美しいデュオ作品『Lontano』。名門ECMからリリースの本作は、ジャズとクラシックの境界、そして情感の海を漂う。

二人のオリジナルの他、アルゼンチンの民衆に愛される名曲(4)「Alfonsina y el mar(アルフォンシーナと海)」や、ジョージア(グルジア)の作曲家ギヤ・カンチェリ(Giya Kancheli)の(10)「Miniature 27」、アラビック・ジャズを代表するチュニジアのウード奏者アヌアル・ブラヒム(Anouar Brahem)の(12)「Vague / E la nave va」、20世紀後半のフランスを代表する作曲家アンリ・デュティユー(Henri Dutilleux)の(15)「Prélude en berceuse」といったカヴァーを収録。たった二人だが、情感豊かに演奏されるチェロとピアノの音色に心の風景が喚起される。

本作の中でもフランソワ・クチュリエ作の(5)「Flow」は特に印象深い。深みのある詩的なメロディーと音色は音楽の魔法そのもので、チェロとピアノというフォーマットの魅力を最大限に引き出している好演だ。

情感の海に深く沈み込むような感覚を覚える(5)「Flow」

アンヤ・レヒナ&フランソワ・クチュリエ 略歴

アンヤ・レヒナーは1961年ドイツ生まれのチェロ奏者/作曲家。クラシックを軸としながら、アルゼンチンのバンドネオン奏者ディノ・サルーシ(Dino Saluzzi)やアルメニアの作曲家ティグラン・マンスリアン(Tigran Mansuryan)、ウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov)とのコラボなど国籍やジャンルを越えて幅広く活動してきた。
ヨーロッパ・ジャズの名門、ECM Recordsから10枚以上のアルバムをリリースしている。

ピアノのフランソワ・クチュリエは1950年フランス生まれ。ピアノは6歳の頃に始めており、クラシック音楽に止まらず、チック・コリアやヨアヒム・キューンなどのジャズ・ピアニストからも影響を受けている。
“映像の詩人”と呼ばれるソ連の映画監督アンドレイ・タルコフスキーのファンとしても知られ、彼に捧げたアルバムをECMから2作発表している。

この二人の初デュオ作は『Moderato Cantabile』(2014年)。

デュオの前作『Moderato Cantabile』からの映像。

Anja Lechner – cello
François Couturier – piano

Anja Lechner & François Couturier - Lontano
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