世界の音楽を巡る The Flower Shop
イスラエルの男女デュオを中心としたグループ、ザ・フラワーショップ(The Flower Shop)の2020年作『The Flower Shop』では世界各国から20名以上のミュージシャンが参加し、アフリカ音楽、インド音楽、ブラジル音楽、ラテン音楽、クラシック、そしてジャズなどが渾然一体となった素晴らしい演奏と歌の数々を聴くことができる。
The Flower Shop は作曲家/フルート/アコーディオン/サックス奏者の女性サリット・ラハヴ(Salit Lahav, ヘブライ語:סלעית להב)と、作曲家/ベーシストの男性ウリ・クレインマン(Uri Kleinman, ヘブライ語:אורי קלינמן)の二人を中心とし、世界各国から集まった総勢20名以上のミュージシャンから成る一大プロジェクト。
アルバムの楽曲は現在はカナダに住むウリ・クレインマンがまだイスラエルにいた10年ほど前に録音されたものだが、歳月をかけて2020年にようやく日の目を見ることになった。
おすすめはまず(1)「Fololo Ekongenga」。歌詞はおそらく南アフリカのズールー語で歌われており、曲調はアフリカ音楽を軸にしているが、ラテンパーカッションや洗練されたストリングス・アンサンブル、間奏ではインドの打楽器タブラも登場するなど素晴らしいグローバルな音楽となっている。
(4)「Bolingo」も楽しい曲だ。リチャード・ボナを思わせるような爽やかなアフリカ音楽で、途中で曲調は一転しパンデイロやタンボリンが加わったラテン〜ブラジル音楽になるなど色彩豊か。
(5)「The Purple Dress」はサリット・ラハヴによるフルートと、ウリ・クレインマンのベースのみで演奏されるインスト曲。二人の演奏力の高さが窺える。
(6)「Holiday Song」はウードがフィーチュアされた中東感の溢れるサウンド。
(8)「Eastern Forro」はその名のとおり、中東の音楽をブラジルのフォホーのリズムで演ってしまったという曲。
確かな経歴のサリット・ラハヴ&ウリ・クレインマン
サリット・ラハヴ(Salit Lahav)はフルート、アコーディオンで国際的な評価を得ている。イスラエルでのショーロの普及を目指すグループ、Clube do Choro de Israel の中心人物としてブラジルやラテンの音楽に傾倒しており、これまでにヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)、ギンガ(Guinga)、エドマール・カスタネーダ(Edmar Castaneda)、アナ・コスタ(Ana Costa)といった主要ミュージシャンとステージや録音で共演してきた。
現在はイスラエルのショーロ・アンサンブル Chorolê や、ブラジリアン・ジャズと地中海音楽を融合させたバンド、QuatRio のメンバーとしても活躍している。
ベーシスト/プロデューサーのウリ・クレインマン(Uri Kleinman)は3歳の頃から楽器を始め、イスラエル、ブラジル、アフリカ、アメリカ、東欧など様々な音楽を吸収、15歳からプロとして活動を始めイダン・ライヒェル(Idan Raichel)、マティ・カスピ(Matti Caspi)、デビッド・ブローザ(David Broza)、シリ・マイモン(Shiri Maimon)といったトップアーティストらと仕事をしてきた。
その後ニューヨークに渡り、マーサ・ウォッシュ(Martha Wash)、ダーレン・ラヴ(Darlene Love)といったアーティストの名前が彼のバイオグラフィに加わっている。
The Flower Shop :
Salit Lahav
Uri Kleinman
Tosh Mulenga
Ido Zeleznik
Asaf Roth
Marc Kakon
Dani Benedikt
Gershon Waiserfirer
David Dudu Balilty
Karen Tannenbaum
Hed Yaron Meyerson
Galia Hai
Maya Belsitzman
Mickey Warshai
Ilan Postopezki
Erez Caspi
Bill Tsur
Adi Galili
Yoni Ohana
Ruta Kleiman