トルコの新世代オルタナ・ジャズ才媛、デニス・タシャル新譜

Deniz Taşar - Pişman Olunmayan Dünler

トルコのオルタナ・ジャズ新星 Deniz Taşar

トルコ・イスタンブールのシンガーソングライター、デニス・タシャル(Deniz Taşar)の初のフルレンス・ソロアルバム『Pişman Olunmayan Dünler』は、ジャズの生バンドのサウンドを軸にエレクトロニカも随所に交えた本格的なオルタナティヴ・ジャズ/ポップスが光る注目作。

トルコのジャズは現地の文化や西洋のジャズ/フュージョンの影響を強く受け、非常にレベルが高い作品のリリースが相次いでいるが、そんなシーンの中で登場した新たな才能がデニス・タシャルだ。彼女の経歴については後述するが、様々な音楽から影響を受けつつも、それらを高度な次元で融合。さらにポップスとしても通用する聴きやすさも兼ね備え、本格的なアーティストが登場したなという印象を受ける。

冒頭曲(1)「Beraber Yüzelim」から、この作品のクオリティの高さを感じていただけると思う。地中海音楽やジャズの影響を受けたポップスといった趣で、なかなか万人受けする心地良いサウンドではないだろうか。

(2)「Uzaktan」はバックのトランペットの響きも美しい良曲で、様々な場所で撮影された映像をふんだんに使ったMVもリリースされている。

(2)「Uzaktan」のMV。
ジャジーなトラックにシンガーとしても本格派のデニス・

(5)「Kutu」はポエトリー・リーディングに近いラップも披露。バックトラックにはシンセやエフェクトも多用されており、彼女の新しい表現を垣間見せる。

デニス・タシャル略歴

デニス・タシャル(Deniz Taşar)は2013年にナルディス・ヤング・ジャズ・ヴォーカル・コンペティションなどで優勝した後、ジャズクラブやフェスティヴァルでの演奏を始めた。

2016年にEP『Uykuda Bir Bulut』でデビュー。闘争をテーマに、彼女の個人的な物語をトルコのジャズで歌った同作は現地で話題に。その後もシングル『Onu Ona Ona Onu』(2019年)などヒットをさせており、ソウル、コンテンポラリージャズ、オルタナティヴを軸に急速に活躍の場を広げている。

1stシングル「Onu Ona Ona Onu」のMV(今作には未収録)
Deniz Taşar - Pişman Olunmayan Dünler
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