アルゼンチンのSSWニコラス・カロウ、色彩感豊かな新譜
アルゼンチンのSSW、ニコラス・カロウ(Nicolás Carou)が様々なゲストを迎えて制作した知られざる傑作盤『Antes, Último』(2020年)。ネオソウル、ヒップホップ、ジャズといった要素が絡み合い、全体としてオーガニックで心地よいグルーヴを形成する。
(2)「De la Razón」を歌うヒメナ・ロペス・チャプリン(Jimena Lopez Chaplin)や、(3)「2 Átomos」でのグアダルーペ・アルヴァレス・ルチア(Guadalupe Álvarez Luchía)、(4)「Dicen Que Dicen, Dicen」のカンデラリア・サマール(Candelaria Zamar)といった女性ゲスト陣のパフォーマンスも秀逸で、それぞれの個性が相まってアルバムはとても色彩感豊か。サウンド面ではリズムは打ち込み中心だが、ニコラス・カロウ自身によるギターをはじめヴァイオリン、トランペット、フルートといった生演奏の楽器群はジャジーでオシャレだ。
豊かな才能が集うブエノスアイレスの音楽シーンの中でも、特に注目に値する作品だろう。
ニコラス・カロウ(Nicolás Carou)はブエノスアイレス生まれのシンガーソングライター/マルチ奏者。アルゼンチンとウルグアイの血を引くメスティーソ(混血)で、ギターを中心に構成された楽曲からはヒップホップ、ネオソウル、ジャズ、ラテンアメリカのポピュラー音楽、さらにはウルグアイの伝統音楽であるカンドンベなどの影響が混在する。
2015年にEP『El dilema del erizo』でデビュー、これまでに本作を含め3枚のフルアルバムをリリースしている。