イスラエル出身・NY拠点のピアニスト、ヤニフ・タウベンハウス新作
端正でリリカルな音楽性が特長のイスラエル出身のピアニスト/作曲家ヤニフ・タウベンハウス(Yaniv Taubenhouse)の“Moments in Trio”シリーズ第三章『Moments in Trio III – Roads』がリリースされた。
メンバーもこれまでと変わらず、モントリオール出身でギラッド・ヘクセルマンの「gHex Trio」でも活躍するリック・ロザート(Rick Rosato)のベースと、ペンシルベニア州出身のジェラッド・リッピ(Jerad Lippi)のドラムスという編成で、阿吽の呼吸で絡み合いながら展開していく様が魅力的。
演奏はアルバムタイトルにもそのリスペクトが現れているように、ブラッド・メルドーからの強い影響も感じさせる現代的で美しいスタイル(ヤニフ・タウベンハウスはブラッド・メルドーによるマスタークラスへの参加経験もある)。即興に頼らず、緻密にコンポージングされた楽曲群も良い。
アルバムにはヤニフ・タウベンハウスによるオリジナルのほか、コール・ポーターの(4)「You’d Be So Nice to Come Home To」、セロニアス・モンクの(7)「Boo Boo’s Birthday」、ジーン・デ・ポール作曲の(9)「Star Eyes」のカヴァーも収録している。
ヤニフ・タウベンハウス 略歴
ヤニフ・タウベンハウス(Yaniv Taubenhouse)はイスラエル生まれ。6歳からクラシックのピアノを始め、テルマ・イェリン芸術高校卒業後、著名なピアノ教師パヴリーナ・ドコフスカ(Pavlina Dokovska)に師事するために米国に移住。その後ユラ・マルグリス(Jura Margulis)にも師事し、クラシック・ピアニストとしての腕を磨きつつも2013年には奨学金を得てニューヨークのニュースクール・オブ・ジャズに入学。活動の主軸をジャズに移してきた。
2014年にピアノトリオ作『Here from There』でアルバムデビュー。翌2015年には『Moments in Trio, Vol. 1』をリリースし、イスラエルから現れた新星としてここ日本でも紹介された。
自身のトリオでの活動のほか、近年ではギタリストのダニエル・ウェイス(Daniel Weiss)の初リーダー作『Dive』(2021年)でもピアニスト/共作者として参加するなど、充実するイスラエル・ジャズ界隈の中でも大きな存在感を見せてきている。
Yaniv Taubenhouse – piano
Rick Rosato – bass
Jerad Lippi – drums