時空を超えたファンク・オデッセイ!Funkylicious & The TimeTravelers
イスラエルの地に謎めいた音楽集団、ファンキーリシャス・アンド・ザ・タイムトラベラーズ(Funkylicious and the TimeTravelers)が降臨した。
彼らは銀河系に愛の言葉とファンクを広めるために宇宙の彼方からやって来た非人間のギルドだという。
最後のファンカティア(Funkateer[*])であり、卓越したベーシストであるファンキーリシャス(Funkylicious)は現代社会に生きる人々特有の孤独に抗うため、銀河中のステージを渡り歩いてきた。
* Funkateer : ファンク愛好家を意味する造語。ブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins)の曲名に由来する。
Funkylicious and the TimeTravelers のパフォーマンスはダンサー、曲芸、衣装、小道具などが芸術的にミックスされている。彼らのデビューアルバム『Search For Self』もステージと同様に物語仕立てになっており、英語のMCによるストーリーテリングとファンキーな楽曲が相互に繰り返され、聴くものを徐々にその世界観の中に引き摺り込んでゆく。(1)「Creation A」での導入のあと、クレオパトラに扮する魅力的なエチオピア系リードヴォーカリストのへワン・メシェシャ(Hewan Meshesha)が(2)「Who Is Funkylicious」を歌う。
楽曲はバンドを率いるベーシストのファンキーリシャス──彼は世を忍ぶ仮の姿として、オル・スハロフスキー(Or Scharovsky)という名を名乗っている──と旅人たちが宇宙を旅する中で発見した、愛と絆という普遍的な真実について歌っている。これらの音楽の物語はすべて、ファンキーリシャスが様々な場所で出会い、のちにThe TimeTravelersと呼ばれるようになった仲間たちの集合体が完成した直後に彼自身によって書かれたものだ。メンバーは9人で構成されており、それぞれがユニークな物語を持っている。詳細は本記事末尾のメンバー・クレジットをご覧いただきたいが、“クレオパトラ(Cleopatra)”に“大地主(The Landlord)”、なぜか“金魚(Goldfish)”や“ペンギン男(The Penguin Man)”も。テナーサックスのヨタム・バラク(Yotam Barak)に至っては“Kawasaki-san”あるいは“Takoyaki-san”というキャラクターだが、これは彼がリアルに剣道の国際大会で表彰台に上がるほどの達人であることから来ているようだ。
ファンクとアートへの無限大の愛が生んだバンド
その奇抜なパフォーマンスとは裏腹(?)に、サウンドは王道を行くジャズファンク。
彼らがゴッドファーザーあるいは救世主と崇めるジェームズ・ブラウン(James Brown)からの影響は隠しきれない。そして反復的なベースラインとドラムパターンの上に突如現れる奇妙なブレイクと色彩豊かなハーモニーはジャズファンクの神である聖人ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の遺産であり、これらの音楽的な融合がFunkylicious and the TimeTravelers が標榜するスペースファンクというジャンルのエッセンスになっている。
さらに、それら全ての接着剤となっているのがPファンク(P-Funk)であり、特に劇場型ファンクの創始者であるブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins)の存在だ。ファンキーリシャスことオル・スハロフスキーは「彼が居なければ、我々も、そして地球ですらも存在していなかっただろう」と語っている。
バンドのビジュアル・コンセプトはファンタジーやSFの世界から大きな影響を受けている。
サイケデリックな色彩感は60年代、70年代のサイケ・ロックのほか、米国の人気アニメ『Rick and Morty』や『コスモス:時空と宇宙(Cosmos: A Spacetime Odyssey)』といった近年の番組の影響も混ざる。
ファンタジーの分野では宮崎駿監督の映画や作品からも大きな影響を受けているという。
日本の神秘的な文化や伝統からの無限のインスピレーションに加え、特に宮崎駿作品の物語の中に登場する主人公と悪役たちの存在やそれぞれの生い立ちや立場への共感は、Funkylicious and the TimeTravelers が発するスピリチュアルなメッセージにも大きく反映されている。
Or “funkylicious” Scharovsky – bass
Hewan “Cleopatra” Meshesha – vocal
Boris “The Landlord” Katsman – vocal
Lior “Goldfish” Grayevski – alto saxophone
Yotam “Kawasaki San” Barak – tenor saxophone
Yotam “Princess JJ” Cohen – guitar
Ishay “The Penguin Man” Arieli – keyboards
Yahav “Jupiter” Kaner – drums
Saar “Mr Narrator” Shani – narrator