メキシコのシタール奏者、Leonardo Prakash
フランス系メキシコ人のシタール奏者、レオナルド・プラカシュ(Leonardo Prakash)のデビューアルバム『Humanidad』。インドの古典的な楽器であるシタールを全面的に使っていながら、インドの伝統音楽のみならずジャズやビートミュージックからも影響を受けたと思われるサウンドはインドの並行世界のような絶妙な精神的音楽空間に誘う。かといって軽さはなく、インド音楽を愛し、その色にどっぷりと浸かってしまった外国人特有の匂いというか、スピリチュアルな側面も含めてインドに魅せられ、それを愛してやまない芸術家らしい本気度が伝わってくるのも本作の魅力になっている。
詳細なクレジットは不明で、本人とのコンタクトも残念ながら取ることができなかったが、アルバムにはトランペットやヴォーカル、ハーモニカ、ドラムスなどのゲストも参加しており、それぞれが現代的な音を聴かせてくれる。
(5)「La Paz Del Caos」などは楽曲の構成こそ単純ではあるものの、そのサウンドは民族音楽を巧みに取り入れたジャズの未来を示す音のひとつとして大きく取り上げても良いくらいのクオリティだ。
レオナルド・プラカシュというインド風の姓はステージネームで、本名はLeonardo Nieto Jolyという。彼は2019年に最初のライヴアルバム『Into the Fourth Dimension』をリリース、2020年にはいくつかのシングル曲を含むEP『Puro Corazón』をリリースしているが、スタジオ盤は今作『Humanidad』が初めてとなるようだ。
これまでに近年日本でも注目を浴びる鎌倉生まれのスペイン人ドラマー、ミゲル・ヒロシ(Miguel Hiroshi)や、当サイトでも過去に数度紹介したハラナ/ベース奏者の“ラスト・ジェロニモ”ことヘロニモ・ゴンザレス(Jeronimo Gonzalez)との共演も。
レオナルド・プラカシュ。これからの活躍に注目したい楽しみな音楽家だ。