仏ピアニスト、ジョー・カイアットが気鋭イスラエル奏者と作り上げたユダヤ・ジャズ

Jo Kaiat - Come to My World

アヴィシャイ・コーエンも参加。ジョー・カイアットのユダヤジャズ

フランス出身のピアニスト/作曲家ジョー・カイアット(Jo Kaiat)が、アヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)らイスラエルの優れたアーティストたちと共に作り上げた『Come to My World』(2020年)は、ヨーロッパのクラシック音楽、ニューヨークのジャズ、さらにはイスラエルのユダヤ音楽、西アフリカの音楽など世界の音楽を巡り歩いてきた60歳の音楽家の集大成的な作品だ。

ジョー・カイアットは寡作で、自身のアルバムとしてはデビュー作『Departures』(1999年)以来。
イスラエル建国前のパレスチナの地からアラブ地方、アンダルシア地方やアフリカに離散したユダヤ人ディアスポラたちが伝えてきた豊かなユダヤ音楽の系譜を表現している。

収録曲は20世紀のイスラエル音楽、特にヘブライ語の歌の発展に多大な功績を残した音楽家エマニュエル・ザミール(Emanuel Zamir)作曲の(6)「Beer Bassadeh」を除き、すべてジョー・カイアットの作曲。録音はイスラエルのテルアビブで行われている。

ベースにアヴィシャイ・コーエン、ドラムスにノーム・ダヴィド(Noam David)を擁する(1)「Avishai」はタイトル通り、アヴィシャイ・コーエンが好んで作曲しそうなイスラエル・ジャズの王道的なコンポーズが印象的な変拍子の楽曲。アヴィシャイはこれと(4)「Koreduga la joie」のみに参加しており、その他の曲ではこちらもイスラエルを代表するベーシストのギラッド・アブロ(Gilad Abro)が力強い音で低音を支えている。

フォークソング的な素朴な旋律が美しい(2)「Find Back」、フラメンコとユダヤ音楽のハイブリッドな(3)「Flamencato」、西アフリカのグナワ音楽を思わせる(5)「Naa donke」など、ジョー・カイアットの演奏は多様性の宝庫だ。詩的なピアニズムに浸るなかなかの傑作。

『Come to My World』の録音風景を交えたヴィデオクリップ。

Jo Kaiat – piano, melodica
Avishai Cohen – bass (1, 4)
Gilad Abro – bass
Noam David – drums
Ilan Katchka – percussions

Jo Kaiat - Come to My World
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