ロシア発、メランコリックなピアノトリオ Dmitry Ilugdin Trio

Ilugdin Trio - My Story

ロシア発、メランコリックなピアノトリオ

ピアニスト/作曲家のドミトリー・イルグディン(Dmitry Ilugdin)をリーダーとするロシアのピアノトリオ、イルグディン・トリオ(Ilugdin Trio)による3枚目のアルバム『My Story』は、オーソドックスなピアノトリオ編成で紡ぎ出す極上のメロディーとハーモニーが素晴らしい作品だ。

ロックやクラシックの影響も感じさせつつ、民族音楽的な変拍子を多用した緻密なコンポージングに、トリオでの強固なアンサンブルに裏付けられた自由な対話。全曲がドミトリー・イルグディンの作曲で、彼のピアノはメランコリックだが確信的で力強い。抑制された感情で淡々と綴られる美しいメロディーの連続に心を奪われてしまう。

変拍子を駆使していながらも豊かな抒情性を魅せる(1)「Case」、イノセントな陰りを帯びた(2)「Home」、ヨーロピアン・ジャズテイストの透明感溢れる(4)「Tamed Loneliness」など、楽曲はどれもクオリティが高く、いずれも長めの演奏ながら展開も豊富でアンサンブルの抑揚も効いており、最後まで集中が途切れない。
ソロピアノで演奏されるラストの(6)「P.S.」も豊かに広がるピアノの音が素晴らしい。

ベースのヴィクトル・シェスタク(Victor Shestak)、ドラムスのピョートル・イヴシン(Petr Ivshin)も共にロシアのジャズシーンで重用されるミュージシャンで、特に後者はデイヴィッド・サンボーン(David Sanborn)との共演歴もあるようだ。

抒情的な変拍子ジャズ。(1)「Case」
(5)「Prelude No. 5」のライヴ演奏

ドミトリー・イルグディン、ロシアのジャズシーンで四半世紀に渡り活躍

ドミトリー・イルグディンはロシア音楽アカデミー卒業後の1990年代後半から伝説的ジャズロックバンド、アーセナル(Arsenal)に10年間在籍し、ロシアのジャズ鍵盤奏者としての広く知られるようになった。アーセナルのリーダーであるサックス奏者アレクセイ・コズロフ(Alexey Kozlov)とのデュオアルバムも残している。

自身のリーダー作としては2011年に『Nikitsky Boulevard』、2017年に『Reflection』をリリース。ヨーロッパのメディアを中心に高い評価を得ている。

Dmitry Ilugdin – piano
Victor Shestak – double bass
Petr Ivshin – drums

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