イスラエルのベテラン二人による老練のブルース
ドラマー、タル・バーグマン(Tal Bergman)とギタリストのオズ・ノイ(Oz Noy )。イスラエルを代表するジャズロック系ミュージシャンである二人の双頭名義の新譜『Soul Stealer』。
全編が二人の共作で、シンプルなブルース進行に基づいた王道ジャズロックが展開される。凝った展開こそあまりないものの、手数の多いタル・バーグマンのドラムや、“音の魔術師”オズ・ノイのアウトするクレイジーなフレーズ、そして強烈なグルーヴに自然と踊らされてしまう。アンサンブルや即興演奏の醍醐味が詰まった作品だ。
タル・バーグマンもオズ・ノイも実力・実績ともに充分で、既に“大ベテラン”の域にあるが、そんな二人が難しいことを考えず、気の置けない友と一緒に心の赴くままに創り出したリズムやフレーズに溢れている。そんな印象を強く受ける最高のアルバムだ。
プロフィール
タル・バーグマンは1963年生まれ。
これまでにドラマーとしてジョー・ザヴィヌル(Joe Zawinul)、ビリー・アイドル(Billy Idol)、チャカ・カーン(Chaka Khan)、B.B.キング(B.B. King)、ロッド・スチュワート(Rod Stewart)、MCソラー(MC Solaar)、矢沢永吉といった数多くのミュージシャンと共演。また、作曲家としても映画音楽をはじめ多岐にわたる活動を行なってきた。
一方のオズ・ノイは1973年生まれ。13歳頃からスタジオミュージシャンとしてプロのキャリアをスタートしたが、音楽家としてのキャリアアップのために1996年に渡米しニューヨークに移住。2005年以降自身名義のアルバムを10枚ほどリリースし、主にジャズ/フュージョン界隈で活躍している。
ともにジャズ、ブルース、ロック、ファンクをメインフィールドとしており、この作品での息の合ったプレイは彼らが音楽を心から楽しんでいる様子だ。