サンパウロのSSWセルソ・ヴィアフォラ、人生や命の素晴らしさを歌う慈愛のアルバム

Celso Viáfora - A Vida É

ベテランSSW、セルソ・ヴィアフォラが歌う人生の歌

ブラジル・サンパウロのSSW、セルソ・ヴィアフォラ(Celso Viáfora)の2021年新譜『A Vida É』は、とてもとても丁寧にアレンジされ歌われた個性的なMPB/モダン・サンバ作品だ。特に物語性を感じさせるメロディーの美しさは随一。

還暦を過ぎ、自身のこれまでの半生を振り返りながら人生が過ぎ去るのは速いと歌う(1)「A Vida É」に始まり、息子ペドロ(Pedro Viáfora)と共に初孫ダヴィの誕生への祝福と命を繋ぐことの素晴らしさを歌う(13)「A Vida Vi」まで、自身10枚目のアルバムという記念碑を飾るには充分すぎる素晴らしい音楽が紡がれる。
サンバをルーツに感じさせるが、米英のロックやカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルといった往年のMPB(ブラジルのポピュラー音楽)からの影響も色濃く反映されており、ブラジル音楽らしい良質な作品。前述のように人生を生きる喜び、音楽の喜びに満ちた表現力に胸を打たれる。

60歳を過ぎたセルソ・ヴィアフォラが人生を振り返るような歌詞が胸に迫る(1)「A Vida É」

(5)「Vozes da Madrugada」にはベテラン女性歌手のパトリシア・バストス(Patricia Bastos)がゲスト参加し美しい声を聴かせている。少し憂いを帯びた透明感のある歌声が優しく耳に響き心地いい。

パトリシア・バストスとのデュエット(5)「Vozes da Madrugada」
(13)「A Vida Vi」を見つめるセルソ・ヴィアフォラの初孫ダヴィくん。
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ストリーミングでの音楽視聴が当たり前の時代になり、どうしても楽曲に込められたアーティストの想いや演奏者の情報などが不足し伝わりにくい時代になってしまった。セルソ・ヴィアフォラは今作ではフィジカルCDに100ページ近い冊子を封入し作品に込められた物語がしっかりとリスナーに届くように工夫したという。
日本での入手は現状では困難かもしれないが、この素晴らしいアルバムに興味を持ったのなら、ぜひフィジカルも探してみてほしい。

Celso Viáfora - A Vida É
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