LA音楽シーンで異彩を放つノルデスチ音楽集団、MôForró
アメリカ合衆国・ロサンゼルス在住のブラジリアン・ディアスポラたちによるバンド、モーフォホー(MôForró)の『O Rio Magoou』(2020年)は、ブラジル北東部のダンス音楽の楽しさがぎっしりと詰まった隠れた傑作だ。
サウンドはブラジル北東部の伝統音楽フォホーをベースに、エレクトリック・ギターによるロック風の味付けやロマ音楽のエッセンスなどがスパイスとして混ざったミクスチャー。歌詞も基本はポルトガル語だが一部に英語曲もあり、一味違ったノルデスチの音楽を楽しめる。
打楽器/ヴォーカルのサイモン・キャロル(Simon Carroll)を中心に、チック・コリアのバンドでも知られるアイルト・モレイラ&フローラ・プリン夫妻の娘ヂアナ・プリン(Diana Purim)、LAの気鋭サックス奏者サム・ゲンデル(Sam Gendel)、ブラジルのギター奏者ファビアーノ・ド・ナシメント(Fabiano do Nascimento)といった超豪華ゲストも参加。収録曲はサイモン・キャロルによるオリジナルのほか、ルイス・ゴンザーガの(1)「Morena」や(6)「Festa」、(10)「Sanfona Do Povo」などのカヴァーも。
LAのブラジリアン・コミュニティから現れたバンド
MôForró は2012年に結成。リーダーはパーカッション奏者のサイモン・キャロルで、彼はロサンゼルスのブラジル系のコミュニティで存在感を示している人物。彼は2007年から2008年にかけてブラジル各地の主要な文化的な都市に住み、著名なミュージシャンを訪ね彼らから音楽を学んだ。レシフェではメストリ・スルスチアーノ(Mestre Salustiano)の末息子であるヂンダ・サルー(Dinda Salú)からフォホーを学び、ロサンゼルスに持ち帰ったようだ。
彼らは南カリフォルニアでも人気が高まっているフォホーのシーンで欠かせない存在となっており、サンフランシスコ、シカゴ、マイアミ、ニューヨークなど全米の主要な都市で演奏を行なっている。
メンバーにはブラジル音楽に魅入られたロサンゼルスの非ブラジル人もおり、今作は彼らのデビュー・アルバムとなっている。
MôForró :
Simon – vocal, percussion
Emina – vocal
Beto – percussion
Gee – accordion
Luis – violin
Bobby – guitar
Leo – bass
Rumi – flute
Ben – accordion
Guests :
Diana Purim – vocals
Sam Gendel – alto sax
Colin Walker – 7-string guitar
Fábio Santana de Souza – trombone, narration
Nic Chaffee – trumpet
Alberto Lopez – bata
Edjouguy Souto Carroll – narration