LA気鋭ユニットBlack Nile、激しいパワーを秘めた新譜
米国ロサンゼルス出身のサックス奏者のアーロン・ショウ(Aaron Shaw)と、ベーシストのローレンス・ショウ(Lawrence Shaw)の兄弟ユニット、ブラック・ナイル(Black Nile)。2019年のデビュー作『Sounds of Color』がLAのジャズシーンの新たな才能と絶賛された彼らが、3枚目となるアルバム『River of Emotions』をリリースした。
前2作ではアヴァンギャルドな印象の強かった彼らだが、今作はそうしたアグレッシヴな姿勢はそのままに、より強く渦巻くグルーヴに基づく有無を言わせない説得力でただひたすら押し切る、そんなパワー型のジャズ・アルバムに仕上がっている。アーロン・ショウは生サックスのほかAKAIのウインドシンセEWIを吹き、分かりやすく“カッコ良さ”を演出する。ゲストにはマイク・ミッチェル(Mike “Blaque Dynamite” Mitchell)、マラチ・ハーヴィー(Malachi Harvey)、メカラ・セッション(Mekala Session)、グレッグ・パウ(Greg Pau)といったLAの若手たち。彼らの破壊的な爆発のギリ手前のような、おそろしくなるほどのエネルギーを溜め込んだ音世界が広がる。
「Black Nile」は一般的にはウェイン・ショーター(Wayne Shorter)の楽曲名としてジャズファンに知られているが、彼らの場合は二つの言葉の融合として説明されている。「ブラック」──光を吸収する暗い色。そして「ナイル」──東アフリカを起源とする世界で最も長く、多くの偉大な文明を生んだ河。つまり、Black Nileとは“現実を吸収し、意識ある心の河を通して精神的なエネルギーを伝播する”という想いが込められている。 ブルース、ジャズ、ヒップホップ、R&B、ソウルといったブラックカルチャーに根ざした支流をひとつの“河”へと集約する。今作のアルバムタイトルも、そうした強いヴィジョンが込められているのだろう。
Lawrence Shaw – bass
Aaron Shaw – sax, EWI, drum programming
Chris Freeman – keyboards
Mike Mitchell – drums
Diego Gaeta – keyboards
Mekala Session – drums
Christophersen Mitchell – vocals
tru sounds – rap
Greg Paul – drums
Paul Cornish – keyboards
Malachi Harvey – drums