トリオ・コヘンチの鍵盤奏者ファビオ・トーレス、MPBやブラジリアン・ジャズに再訪問するソロ新譜

Fábio Torres - Sarau

ブラジルのピアノ奏者ファビオ・トーレス、最新作はソロピアノ

ブラジルのピアニスト、ファビオ・トーレス(Fábio Torres)がジョアン・ボスコやシコ・ブアルキ、A.C.ジョビンなどの名曲をソロピアノで演奏した2022年新譜『Sarau』は、素材の良さを活かした卓越した演奏が満喫できる、ピアノ好き&ブラジル音楽好きには堪らない作品だ。

冒頭ジョアン・ボスコ作の(1)「Agnus Sei」は、おそらくはエグベルト・ジスモンチの名曲「Maracatu」を意識したであろう編曲が、原曲にさらに重みを加えた独特の雰囲気をつくる。
続く(2)「Haja Coração」はエルメート・パスコアールの曲で、グループで演奏される原曲は多彩な楽器で豊かな感情表現が魅力的だが、ここでのファビオ・トーレスのソロ演奏もダイナミックで感情的な熱さを失わない美しい名演だ。

(2)「Haja Coração」

(6)「Venezuelana No. 3」と(9)「Quando Você Vier」の2曲のみがファビオ・トーレスのオリジナル。

Fábio Torres 略歴

ファビオ・トーレスは5歳でピアノを始め、最初はバッハ、ショパン、ラヴェルといった西洋クラシック音楽から、次第にジョン・コルトレーンやマイルス・デイヴィスなどのジャズマスターの音源にも夢中になっていった。

しかし、彼のスタイルの中心にはショーロやボサノヴァ、MPBといった豊かなブラジルの音楽が常にあった。20代の始めの頃には既にパウロ・モウラ、エラルド・ド・モンチ、アリスマール・ド・エスピリト・サント、ドミンギーニョスといった名手たちと共演・レコーディングを行っている。

2003年にはベース奏者のパウロ・パウレッリ(Paulo Paulelli)、ドラマーのエドゥ・ヒベイロ(Edu Ribeiro)と組んで トリオ・コヘンチ(Trio Corrente)を結成。ブラジルを代表するジャズ・ピアノトリオとして現在まで活動を続けている。

Fábio Torres – piano

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