アルゼンチンの伝統と新しさを追求する気鋭ピアニスト、ノエリア・シンクナス新譜『Salve』

Noelia Sinkunas - Salve

タンゴ、チャマメ、ジャズの融合が誘う古くて新しい音楽の世界

新しいタンゴを追求するアルゼンチンのピアニスト/作曲家、ノエリア・シンクナス(Noelia Sinkunas)のソロ新譜『Salve』は、典型的なタンゴのリズムとメロディーを持ち懐かしさを感じさせつつも、どこか新しい感覚を含んだカタルシス体験として作用する不思議な音楽作品だ。アルバムには10人の歌手が参加し、それぞれ思い思いにノエリア・シンクナスという気鋭音楽家の世界観を表現する。伴奏にはピアノのほか、アルゼンチン音楽に欠かせないバンドネオンやギター、弦楽四重奏などが用いられ、ヴォーカルに寄り添いながら豊かな音世界を紡いでいく。

1996年生まれのバンドネオンの名手、ミラグロス・カリバ(Milagros Caliva)や歌手ロシア・アラウホ(Rocio Araujo)を迎えた(1)「A Berisso」はノエリア・シンクナス自身の故郷の街の名前が冠されており、ノスタルジアを呼び起こす。

ミカエラ・ビータ(Micaela Vita)とトマス・ランカフィル・ウィリアムス(Tomas Llancafil Williams)が歌う(8)「Salve」

ノエリア・シンクナスのピアノは控えめながら包容力があり、音楽全体をやさしく見守る。

Noelia Sinkunas プロフィール

ノエリア・シンクナスは1988年アルゼンチン・ベリッソ出身。タンゴミュージシャンの一家に生まれ、彼女はその3世代目だという。12歳のときからピアノと作曲を学び始め、タンゴ、チャマメなどのアルゼンチン民族音楽、ジャズなどを研究しており、ラ・プラタ・ジャズバンド(La Plata Jazz Band)やダーティ・ダイアモンズ・ネオ・スウィング(Dirty Diamonds Neo Swing)といったビッグバンドにも所属し活動してきた。

現在はより現代的と見做されている二つのプロジェクト、アルト・ボンディ(Alto Bondi)とカチータス・ナウ!(Cachitas Now!)のメンバーとしても活躍している。
2019年の即興主体の作品『New York Sessions』はアルゼンチンの最も重要な音楽賞であるガルデル音楽賞で「ベスト・ジャズ・アルバム」にノミネートされた。

ノエリア・シンクナス(p)、ミラグロス・カリバ(bandoneon)ら女性アーティスト4人で演奏される「Chamarrita del Amor」(本作未収録曲)

Rocio Araujo – vocal (1)
Nadia Larcher – vocal (2)
Luciana Jury – vocal (3)
Yoli Campos – vocal (4)
Lidia Borda – vocal (5)
Juli Laso – vocal (5)
Valen Bonetto – vocal (6)
Tomas Llancafil Williams – vocal (6)
Micaela Vita – vocal (8)
Tomas Llancafil Williams – vocal (8)
Milagros Caliva – bandoneon (1, 3, 5)
Emiliano Faryna – guitar (1, 3, 5)
Cristian Basto – contrabass (1, 3, 4, 5, 8)
Caro Rodriguez – viola (4, 8)
Christine Brebes – violin (4, 8)
Alex Musatov – violin (2, 4, 8)
Viole Garcia – cello (4, 8)
Julian Di Pietro – sound design (7)
Noelia Sinkunas – piano (1, 2, 3, 4, 5, 6, 8)

Noelia Sinkunas - Salve
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