テルアビブの気鋭トランペッターが放つジャズファンクの現在地
イスラエル・テルアビブのジャズシーンを代表するトランペッター、セフィ・ジスリング(Sefi Zisling)は最新EP『Welcome Sunset』で、1970年代のジャズファンクの熱気を呼び起こす。
わずか3曲のみのEPだが、ベースやドラムス、パーカッション、ギターのリズム隊が絡み合う16ビートのタイトなファンク・グルーヴの(1)「Older & Wiser」から鮮烈な印象を残す。ライナーノーツではロイ・エアーズ(Roy Ayres)、ジーン・ハリス(Gene Harris)、ボビー・ハンフリー(Bobbi Humphrey)、イドリス・モハメッド(Idris Muhammed)などのレジェンドが引き合いに出されているが、同じトランペット奏者のリーダー作という意味では個人的にはマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の名盤『On the Corner』のあのギラギラした実験精神を想起させる。セフィ・ジスリングのソロも鋭利な刃物のように研ぎ澄まされている。
その原初的な衝動から一転し、(2)「Welcome Sunset」ではストリングスとホーン・アレンジによってよりテンション感が強調され、地に足のつかない夢遊病的な感覚で音楽が進行する。
(3)「The Sky Sings」は2019年の『Expanse』収録曲をテルアビブの人気プロデューサー/DJのObas Nenorがリミックスしたもの。
Shlomi Alon – saxophone, flute
Yair Slutzki – trombone
Yogev Glusman – violin
Avner Kelmer – violin
Idan Kupferberg – percussion
Uzi Ramirez – guitar
Omri Shani – bass
Noam Havkin – keyboards
Tom Bollig – drums
Sefi Zisling – trumpet