インドネシアのハイレベルなポップスを象徴する一枚
インドネシアの4組の人気ミュージシャン──2009年結成の4人組ハイファイ(HIVI!)、ギタリストのジェラルド・シタモラン(Gerald Situmorang)、女性SSWイフィー・アリッサ(Ify Alyssa)、そしてジャズピアニストのスリ・ハヌラガ(Sri Hanuraga)による豪華コラボレーションが実現したアルバム『Bermain Rintik Di Musim Hujan』。
アルバムのタイトルは「雨季の雨粒と遊ぶ」。当初は3本のコラボミュージックビデオを作ることだけを目的としたプロジェクトだったが、最終的に8曲入りのアルバムとなって世に出ることとなった。アコースティック・ギターポップ(1)「Terbit」、幻想的なバラード(8)「Terbenam」を除く6曲がヴォーカル曲で、インドネシアの豊かなジャズ〜ポップスの音楽シーンを裏付ける上質な作品に仕上がっている。
男女ヴォーカリストの透明感のある歌声やコーラスと、ピアノやアコースティック・ギターを中心としたサウンドは温かな手触りを感じさせる。淡く、どこか郷愁を誘う素敵なアルバムである。
インドネシアを代表するミュージシャンが集結
ハイファイ(HIVI!)は2009年にボゴールで結成された男性と女性のヴォーカル2人+男性ギタリスト2人という編成のネオアコ・バンド。ジャズやボサノヴァからの影響も色濃いハイセンスで爽快感のあるポップスで人気を博している。
ジェラルド・シタモラン(Gerald Situmorang)は1989年ジャカルタ生まれのギタリスト。ポップスやラウドロック、ジャズやフュージョンに至るまで幅広いジャンルで活躍する。2016年のアコースティック・ギター独奏のアルバム『Solitude』は日本でもメディアで取り上げられるなど話題に。後述のスリ・ハヌラガとのデュオアルバム『Meta』も人気。
イフィー・アリッサ(Ify Alyssa)は1996年生まれ。女優ファリダ・パシャの孫、ニュースキャスターのジーナ・ソニアの娘という芸能に縁の深い一家に生まれ、幼少時からピアノを学んだ彼女は10代前半でデビュー。2011年にジャワ・ジャズ・フェスティバルに出場し、インドネシア・エスノ・ジャズ・シーンにおける最年少歌手(14歳)として大きな注目を集めた。
スリ・ハヌラガ(Sri Hanuraga)は1985年ジャカルタ生まれ。父親はクラシックギター奏者で、彼自身も幼少期からクラシックギターを練習したが、13歳の頃にエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)に出会い衝撃を受けプログレやジャズのピアノに開眼。2005 年にはインドネシア大学主催のJazz Goes To Campus (JGTC) コンペティションで優勝するなど、以降数々の賞を受賞しインドネシアを代表するジャズ・ピアニストとして知られるようになった。