国境を超えてラテンジャズの俊英達が集ったロクシャナ・アメー新譜『UNÁNIME』

Roxana Amed - UNÁNIME

ラテンジャズのキーマン集う、ロクシャナ・アメー新作

アルゼンチン生まれの歌手/作曲家ロクシャナ・アメー(Roxana Amed)の新譜『UNÁNIME』は、ラテンアメリカやブラジルの作曲家たちのカヴァーを中心に、スペイン、キューバ、ペルー、コロンビア、ブラジルなどから傑出した音楽家たちを招いて制作された多様な作品となった。

マイルス・デイヴィス作曲の(1)「Flamenco Sketches」にはスペインのフラメンコ・ギタリスト、ニーニョ・ホセレNiño Josele)がゲスト参加。ジャズとフラメンコが融合したバンドの上でロクシャナ・アメーの表現力豊かなスキャットを聴ける。

(2)「Nueva Luna, Mundo Arjo」はアルゼンチンの伝説的SSWルイス・アルベルト・スピネッタ(Luis Alberto Spinetta)の曲で、ロクシャナ・アメーのデビュー時からの協力者であるペドロ・アズナール(Pedro Aznar)との共演。

ブラジルのギタリスト、シコ・ピニェイロ(Chico Pinheiro)が演奏するのは同じくブラジルが生んだ鬼才エグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)の(3)「Agua y Vino(水とワイン)」。ここでは原曲のポルトガル語ではなく、スペイン語の歌詞による霊妙な歌が心に響く。

(3)「Agua y Vino」

(4)「Dos Tribus」で曲調は一転し軽やかで陽気に。ピアニストはこの曲を作曲したキューバ系アメリカ人のマーティン・ベヘラーノ(Martin Bejerano)自身が務め、ロクシャナ・アメーのスキャットを支えている。

イグナシオ・セルバンテス(Ignácio Cervantes)作曲の(7)「Los Tres Golpes」と(10)「Adiós a Cuba」では、キューバの巨匠チューチョ・バルデス(Chucho Valdés)がピアノを演奏。

チューチョ・バルデスのピアノが美しい(10)「Adiós a Cuba」

ほかにもベネズエラのトランペッター/歌手リンダ・ブリセーニョ(Linda Briceño)が(8)「Nostalgia Andina」、コロンビアのSSWフリオ・レイズ・コペロ(Julio Reyes Copello)が(9)「Dúo Concertante – Primer Movimiento」に参加するなど、アルバムを彩る面々はまるでこの作品がラテングラミー賞の会場かと錯覚させるほど豪華だ。

Roxana Amed プロフィール

ロクシャナ・アメーはブエノスアイレス生まれのシンガーソングライター。
南米のフォーク・ミュージックとロックやジャズを組み合わせたスタイルで高く評価されている。
2004年にLimboでデビューし、アドリアン・イアイエス(Adrián Iaies)、ギジェルモ・クレイン(Guillermo Klein)、エミリオ・ソラ(Emilio Solla)、レオ・ジェノヴェス(Leo Genovese)ら南米の数多くのミュージシャンと共演を重ね、アルゼンチンの最も重要な歌手のひとりとなった。

2013年以降は拠点を米国に移し、ジャズやラテン音楽界隈の多くの国際的な音楽家たちと交流を深めるなど精力的に活動。現在はマイアミ大学やフロスト音楽学校でヴォーカリストとして後進を指導するなど教育者としても活躍している。

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