ロンドンを拠点とするベーシスト、Nim Sadot の3rdアルバム
イスラエル出身で現在イギリス・ロンドンを拠点に活躍するベーシスト/作曲家ニム・サドット(Nim Sadot)が、第二次世界大戦中にソ連の労働収容所を生き延び、収容所の将校たちの肖像画を描いた亡き祖父にインスパイアされた新作『Felix』をリリースした。アルバム・ジャケットにはその祖父が描いた絵が採用されている。
渦巻くような低音の激しいグルーヴの上でエレクトリック・ピアノが空間をつくり、その中をトランペットとサックスが泳ぎ回る(1)「You Don’t Really Exist」は、まるで永遠に終わらない悪い夢の中をループしているかのような錯覚を抱かせる。中盤で幻覚のように聞こえるシンセサイザーの音も効果的だ。
(2)「Yep」ではニム・サドットと同じようにイスラエル生まれ・ロンドン在住のドラマー、ユヴァル・ウェツラー(Yuval “Juba” Wetzler)がRolandのサンプリングパッド、SPDでアンサンブルを支配。
(3)「The Spectrum Boys」は本作の象徴的なトラックだ。ベースのコード・アルペジオに導かれニック・ウォルターズ(Nick Walters)のトランペットとイドリス・ラーマン(Idris Rahman)のサックスによる思索的な導入部が終わると、次にハミッシュ・バルフォー(Hamish Balfour)による悲しげなソロピアノへと引き継がれる。後半部ではローリー・ロウ(Laurie Lowe)が叩くゆったりとしたドラムスも加わり悲しみを増幅させるエンディングへと移っていく。
Nim Sadot – bass
Idris Rahman – saxophone
Nick Walters – trumpet
Hamish Balfour – piano, keyboards
Laurie Lowe – drums
Yuval ‘Juba’ Wetzler – SPD (2)