ドイツのドラマー、 ノア・ファーブリンガーのデビュー作
ドイツ・ベルリンの現行ジャズシーンで活躍するドラマー、ノア・ファーブリンガー(Noah Fürbringer)が、ソロデビュー作 『Moonwalker』をリリースした。サイドマンとしてジャズやヒップホップ、エレクトロニック、ロックなど様々な分野で培ってきた経験を武器に、多彩なセンスで魅せる現代的なジャズ作品となっている。
デトロイトの環境保護/人権活動家でミュージシャンのマリク・ヤキニ(Malik Yakini)によるスピーチを取り込んだ(1)「Prolog」から、この作品には明確なメッセージが込められていることが感じ取れる。エフェクト処理を効果的に用いた重厚なサウンドによるサポートを受けながら叩き出されるドラムスのグルーヴは一種の怒りの表現のようにも聴こえ、作品の方向を強く印象づける。
続くタイトル曲(2)「Moonwalker」は浮遊感のある導入部が印象的な楽曲で、(後続の曲にも言えることだが)スペイシーなサウンドや、細やかな創造力に溢れるノア・ファーブリンガー自身のドラミングが最高だ。
ソロで変幻自在の演奏を魅せる(7)「Nicolà」、ラッパーを迎えた(8)「Mach’s Gut」、(10)「On My Way」、ヘヴィでパンキッシュな(12)「Broken Ankles」、エレクトロニックの要素が強くスピリチュアルな(13)「Epilog」などなど、聴き込むほどに多様な表情を見つけられる優れた作品である。
Noah Fürbringer 略歴
ノア・ファーブリンガーは1995年ドイツ・ミュンヘン生まれ。
ドラムスは5歳から始め、2013年から2016年までは同郷同世代の女性シンガーソングライターのアミ・ウォーニング(Ami Warning)のバンドのメンバーとしてプレーし、その後マンハイムのポップアカデミーで学んだ。
これまでにノア・スリー(Noah Slee)、アレックス・ハン(Alex Han)、マックス・メルセニー(Max Merseny)といったアーティストとも共演。2019年に活動の拠点をベルリンに移して以降、ジャズやフュージョン、ヒップホップ、ロックなどさらに幅広く縦横無尽の活躍を見せている。
Noah Fürbringer – drums
David Knevels – bass
Andre Haaf – keybaords
Ralph Heidel – saxophone
Vincent von Schlippenbach – DJ, electronics
Dirk Berger – guitar
Beat Halberschmidt – bass
Malik Yakini – voice (1, 4)
Roger Rekless – rap (8)
Mike Nasa – rap (10)