Dos Más Uno、中南米スペイン語圏の名曲カヴァー集
アルゼンチンのギタリスト二人とパーカッション奏者から成るトリオ、ドス・マス・ウノ(Dos Más Uno)の新作 『Las Canciones Más Lindas del Mundo』は、堂々と冠した“世界でもっとも美しい歌”とというアルバム名に恥じない作品だ。アルゼンチンをはじめとした中南米やカリブのスペイン語圏の名曲たちを2本のスパニッシュギターとパーカッション、そして3人の歌とハーモニーでカヴァー。オーガニックなサウンドが魅力的で、近年のアルゼンチン音楽、特にアカ・セカ・トリオ(Aca Seca Trio)が好きな方に全力でおすすめしたい。
アルバムはペルー生まれの作曲家チャブカ・グランダ(Chabuca Granda, 1920 – 1983)が書き、カエターノ・ヴェローゾなどがカヴァーしたことで知られる(1)「Fina Estampa」で幕を開ける。有機的に絡みあうギターとカホン、歌の美しさはぜひ以下の動画でも確認いただきたい。
つづいてドミニカ共和国を代表するSSWフアン・ルイス・ゲラ(Juan Luis Guerra, 1957 -)の名曲(2)「Bachata Rosa」に、アルゼンチン・ロックの先駆者リト・ネビア(Félix “Litto” Nebbia, 1948 -)の(3)「Solo Se Trata de Vivir」が続く。後者ではアウトロにビートルズの「Blackbird」も絡めた遊び心も。
アルゼンチンの名歌手メルセデス・ソーサ(Mercedes Sosa, 1935 – 2009)が歌った(4)「La Pomeña」もしっとりと美しいアレンジだし、チリのSSWビオレータ・パラ(Violeta Parra, 1917 – 1967)の(5)「La Jardinera」にゲスト参加する歌手マギー・カレン(Maggie Cullen)の声も良い。
ラスト、キューバのSSWパブロ・ミラネス(Pablo Milanés, 1943 – 2022)作の(11)「Yo Me Quedo」では2022年3月に亡くなったアルゼンチンのジャーナリスト、ヘラルド・ロシン(Gerardo Rozín)がフィーチュアされている。
Dos Más Uno はギター&ヴォーカルのウーゴ・デラメア(Hugo Dellamea)とマルセロ・デラメア(Marcelo Dellamea)、そして打楽器とヴォーカルのアリエル・サンチェス(Ariel Sánchez)から成る3人組。これまでに『Dos Más Uno』(2012年)、『Reflejos』(2018年)の2枚のアルバムを発表してきている。
Dos Más Uno :
Hugo Dellamea – gutair, vocal
Ariel Sánchez – percussion, vocal
Marcelo Dellamea – guitar, vocal