圧倒的なアンサンブルの凄み。サンパウロを代表するドラマー、エドゥ・ヒベイロ新作『News』

Edu Ribeiro - News

超絶技巧と高度な音楽性を兼ね備えたギタートリオ作

トリオ・コヘンチ(Trio Corrente)のドラマーとして知られるエドゥ・ヒベイロ(Edu Ribeiro)が、ベーシストのブルーノ・ミゴット(Bruno Migotto)とギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)と組んだトリオで録音した『News』(2022年)は、終始ブラジルのリズムとジャズの技法による超絶的なアンサンブルに圧倒される最高にエキサイティングな作品だ。

とにかく圧巻の演奏技術に裏付けされた高度な音楽性が素晴らしい。さりげなく放り込んでくる部分的なポリリズム、各種パーカッションを組み入れたドラムキットの創造性に富んだ表現、ドラムス、ベース、ギターの誰が主役になるでもなく(あるいは場面によって主役がそれぞれ入れ替わる)、まさに三位一体の完璧なアンサンブル。リズム、メロディ、ハーモニーのどれもが独自に発展したブラジルで演奏されるジャズらしさがあり、極めて面白い音楽を作り上げる。

(4)「News」

自身のリーダー作だから、ということもあるかも知れないが、エドゥ・ヒベイロというドラマーは本当に多芸でよく見せ場をつくるドラマーだ。たとえば(4)「News」などは9/8拍子とも6/8拍子ともとれる複雑なリズムを持った楽曲だが、後半のエドゥ・ヒベイロのソロでは1小節を4連符×6回で捉える場面があるなど遊び心を発揮。

どの曲も音楽的な冒険心に満ちたこの作品は、エドゥ・ヒベイロという現代ジャズ最高峰のドラマーの存在を強く印象付けるものになるだろう。

Edu Ribeiro 略歴

1975年ブラジル・サンタカタリーナ州都フロリアノーポリス生まれのエドゥ・ヒベイロ(本名:Edúardo José Nunes Ribeiro)は、8歳の頃から独学で演奏を始め、11歳の頃には彼の家族が参加するフロリアノーポリスのバンド、Stagium 10 での演奏活動を開始した。1996年にサンパウロに移り、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)、トニーニョ・フェハグッチ(Toninho Ferragutti)などの著名音楽家とも共演。

ピアノのファビオ・トーレス(Fábio Torres)、ベースのパウロ・パウレッリ(Paulo Paulelli)と結成したトリオ、Trio Corrente がキューバのサックス奏者パキート・デ・リベラ(Paquito D’Rivera)と制作した『Song for Maura』(2013年)はラテングラミー賞も獲得した。

盟友シコ・ピニェイロ(Chico Pinheiro)との活動をはじめ、サンパウロのジャズシーンにとって欠かせないドラマーとして活躍している。

(3)「Samba Blues」

Edu Ribeiro – drums
Bruno Migotto – electric bass, double bass
Vinícius Gomes – acoustic guitar, electric guitar

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