ブラジル出身のSSW、ペドロ・ホーザのデビュー作
ブラジル・サンパウロに生まれ、15年以上スペインに住んでいるシンガーソングライター、ペドロ・ホーザ(Pedro Rosa)がその長い音楽の道のりを披露するデビュー作『Midnight Alvorada』をリリースした。デビュー作とは思えない圧倒的な完成度で、詩的かつ文化的なブラジル音楽の素晴らしさを凝縮した作品に仕上がっている。
15年スペインに住んでいると書いたが、スペインの音楽から影響を受けた形跡はほぼなく、純然たる“ブラジル音楽”だ。軽やかなガットギターの音に乗せてインスト曲からポルトガル語詩のヴォーカル、スキャットなど“極上”“至福”と形容するに相応しいサウンドを展開。 ジュランヂール・サンタナ(Jurandir Santana)、モニカ・サウマーゾ(Monica Salmaso)、ヴァネッサ・モレーノ(Vanessa Moreno)、ゼー・ルイス・ナシメント(Ze Luis Nascimento)、イヴァン・サセルドーチ(Ivan Sacerdote)といった現代ブラジル音楽を代表する面々をゲストに迎え、サンバ、ボサノヴァ、バイアォン、イジェシャといったブラジルの豊かな音楽文化を正統に受け継ぎつつ、独自に昇華した素晴らしいメロディーとハーモニーを聴かせてくれる。
歌詞のある曲は詩人ハファエル・モウラン(Rafael Mourão)との共作。(2)「Como vai você?」はブラジル労働者党のジルマ・ルセフ大統領がブラジル政府を去ることになったとき、弾劾に反対したシコ・ブアルキらによる弾劾への反対運動に同調する形で作られたハファエル・モウランとの最初のパートナーシップによる楽曲とのこと。