エルサレムの極上のバンド、Tiyul デビュー・アルバム
シンガーソングライター/ギタリストのオムリ・ポラット（Omri Porat, ヘブライ語：עומרי פורת）を中心にイスラエルのエルサレムで結成されたグループ、ティユル（Tiyul）のデビュー作『Shibolim』が最高に心地いい。バンドは4人で、オムリ・ポラットによるガットギターとヴォーカルのほか、フルート、ダブルベース、パーカッションという編成。木漏れ日のような温かくオーガニックなアンサンブルは音楽的に非常に洗練されており、リラックスの極致を味わわせてくれる。
バンドは長年にわたって世界中のさまざまなスタイルの伝統音楽を研究し探求してきたミュージシャンによって構成されており、西アフリカ音楽、ジャズ、フラメンコ、インド音楽、中東の音楽などに新しい繋がりを持ち込んでおり、“旅”を意味するバンド名も彼らの幅広い音楽性に由来しているのだろうと思う。
笛奏者リフ・バニエル（Lihu Beniel）による(10)「Mudita」を除き、全曲がオムリ・ポラットの作詞作曲。彼のヴォーカルも、どこまでも穏やかで寛容だ。
(9)「Ocean」と(11)「Mizmor LeDavid」では、女性シンガーのマアヤン・リニク（Maayan Linik）がゲスト参加し儚げで美しい声を聴かせる。彼女はイスラエルを代表するSSW、アロン・エデル（Alon Eder）の2023年新譜『החיים שלי פיגוע יפיפה』にもゲスト参加し注目度が高まっている人物だ。
いっときの豊かな時間を過ごすための極上の音楽。いわゆるポピュラーな音楽ではないかもしれないが、間違いなく良質で、心の栄養になる素敵な音楽だ。
Omri Porat – vocal, guitar
Itamar Gutman – percussion
Lihu Beniel – flute, bansuri
Michael Mizrahi – double bass
Guest :
Maayan Linik – vocal (9, 11)