Moriah Plaza、テルアビブの若者が捉えた“ブラジル音楽”
イスラエルはかねてより、ブラジル音楽の受容が盛んな国だった。90年代、少年時代をテルアビブで過ごしたタミル・チェン(Tamir Chen)とムーシュ・ラハヴ(Moosh Lahav)は街で流れるサンバやボサノヴァなどのブラジル音楽に魅了され心酔した。
数年後、ドイツのベルリンに拠点を移したタミルとムーシュは、ブラジル音楽に対する共通の情熱により、その温かい音楽的なビートにインスピレーションを得た曲を共に作るようになっていった。転機はベルリンで二人のブラジル人──作詞家/歌手のセシリア・エリスマン(Cecilia Erismann)と、シンガーソングライター/鍵盤奏者でトロピカル・ディスコ・クラブの創始者でもあるフラヴィア・アネキーニ(Flavia Annechini)──に出会ったこと。
意気投合した4人は曲を書き、バンド名をタミルの母親が働いていた死海を臨むホテル、シェラトン・モリアー(Sheraton Moriah)──タミルはそのホテルで毎日演奏を披露するピアニストに憧憬の念を抱いていた──に因んだモリアー・プラザ(Moriah Plaza)と名づけ、アルバム『Moriah Plaza』を制作した。
楽曲は基本的にイスラエル出身のタミルとムーシュが作曲し、ブラジル出身のセシリアとフラヴィアがポストガル語の歌詞を書き歌うというスタイルを取っている。アウトプットされた結果は、明らかにサンバやブラジリアン・ソウルに強く影響されていながら、本場ブラジルのものとは異なる空気を纏ったサイケデリックな音楽に仕上がっている。
アルバムの楽曲はどれも人々を自然と踊らせるグルーヴは充分だ。ブラジル音楽に由来する軽やかなリズムをサイケデリックに彩った珍奇な一枚。この音楽はとても、楽しい!
Tamir Hassan Chen – bass, guitar, sitar, synth, keys, drums, percussion, backing vocal
Moosh Lahav – flute, synth
Igor Bruso – additional production, mix
Cecilia Erismann – vocal, text (1, 4, 6)
Flavia Annechini – vocal, text (2, 3)
Shachak Itzkovitz – drums (2, 3, 5)
Barbie Williams – vocal (7)
Mariana Hradilková – backing vocal (4)
Roy Chen – drums (4, 7)
Adam Chen Adamov – piano
Ludo Coudert – trombone (4, 7)
Paolo Guolo – saxophone (2, 3, 4)
Gil Abramov – guitar (1, 2, 3)
Tiago Rouede – guitar (6)
Eden Leshem – backing vocal, percussion (2, 3)
Tomer Baruch – keyboards, Mellotron (2, 3)
Adiel Goldman – drums (3)
Balabaș Mihai – violin (2, 3)
Alexander Paul Jovanovich – cuica (2, 3)
Dean Frechtman – guitar (2)