インド生まれの超絶ベーシスト、モヒニ・デイの1stアルバム
意外なことに、これが彼女の初の自身名義のアルバムのようだ。
1996年インド生まれ。10歳の頃からベーシストとして活動を開始し、天才少女の名を欲しいままにしたモヒニ・デイ(Mohini Dey)のデビューアルバム『Mohini Dey』がリリースされた。
アルバムにはインド、アメリカ合衆国、イギリス、ハンガリーなどから凄腕のミュージシャンが集結。メタル、ロック、プログレ、ジャズと幅広い分野で女性ベーシストの頂点に君臨する彼女の圧巻の演奏を堪能することができる作品となっている。
アルバムに収められた9曲は全てモヒニ・デイのオリジナル。5弦ベースでの超高速のスラップなど彼女らしさが全開の演奏で、曲によってドラマー(ナラダ・マイケル・ウォルデンやサイモン・フィリップスなど)やギタリスト(ガスリー・ゴーヴァンやロン・サールなど)を変え情熱的なエネルギーに溢れるプレイを披露。ときにはコナッコル(口タブラ)を取り入れるなどインドらしさも見せた演奏は中毒性も高い。
初めてプロとしての演奏を開始してからの約18年間で得たものを全て反映したという“天才”のファースト・アルバム。ベーシストのみならず、ロックやプログレ、フュージョンのファンは必聴だ。
インドから現れた天才ベース少女
モヒニ・デイは1996年、インド・ベンガル州都コルカタ生まれ。父親のスジョイ・デイ(Sujoy Dey)はジャズ・フュージョン系のベーシスト、母親ロミア・デイ(Romia Dey)は古典音楽の歌手という家庭に生まれ育ち、妹のエサニ・デイ(Esani Dey)もギタリストとして活躍している。
モヒニが生まれた頃、父親はセッション・ミュージシャンとして活動していたが生計を立てることに苦労していた。モヒニが3歳のとき、父親は彼女の音楽的才能に気づきそれを育て始めた。彼女が最初のフェンダー・ジャズベースを手に入れたのは、9歳か10歳のときだったという。
10歳の頃からレコーディングやステージでのパフォーマンスを始め、父親の友人の音楽家ランジット・バロット(Ranjit Barot)のアルバム『Bada Boom』(2010年)に参加。間もなくバンドのメンバーになりツアーにも帯同するようになり、2011年にはMTVアンプラグドにも出演した。
バークリー音楽大学から全額奨学金も打診されたが、彼女は既に多忙だったため入学を断っている。
彼女はその圧倒的なベース演奏技術でSNSなどを通じて瞬く間に人気を獲得していき、ナラダ・マイケル・ウォルデン(Narada Michael Walden)、 ザキール・ フセイン(Zakir Hussain)、A.R.ラフマーン(A.R. Rahman)、マイク・スターン(Mike Stern)、スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)、ガスリー・ゴーヴァン(Guthrie Govan)、デワ・ブジャナ(Dewa Budjana)、ニティン・ソーニー(Nitin Sawhney)、エフゲニー・ポボシー(Evgeny Pobozhiy)といった世界中の名手との共演を重ねてきた。2019年には日本のロックユニット、B’zのライブツアーにサポート・ベーシストとして参加し話題となった。
今作にも参加しているサックス奏者のマーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)に2021年にインド・ムンバイで行われたライヴのステージ上でプロポーズされ、結婚している。
ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)やチック・コリア(Chick Corea)などから多大な音楽的影響を受けており、それらの視聴に多くの時間を使ったようだ。
Mohini Dey – bass
Narada Michael Walden – drums
Simon Phillips – drums
Marco Minneman – drums
Gergo Borlai – drums
Gino Banks – drums
Nishant Hagjer – drums
Guthrie Govan – guitar
Ron “Bumblefoot” Thal – guitar
Mike Gotthard – guitar
Rhythm Shaw – guitar
Scott Kinsey – keyboards
Daniel Szebenyi – keyboards
Mark Hartsuch – saxophone, aux keyboards