ナタリー・バラリーニ・トリオ『Pleinair』
フランスのピアニスト/作曲家ナタリー・バラリーニ(Nathalie Ballarini)のアルバム『Pleinair』は、エリック・サティなどのクラシック音楽や民族音楽、ロックやプログレ、フィリップ・グラスなどのミニマル音楽といった幅広い影響がうかがえるジャズ・ピアノトリオ作品だ。
アルバムは流れるようなアルペジオが美しいピアノ独奏(1)「Pleinair」で始まる。(2)「Tentative de sieste」からはベースにジャン=クリストフ・ゴーティエ(Jean- Christophe Gautier)、ドラムスにシチリア島出身のルカ・スカランブリノ(Luca Scalambrino)を迎えたトリオ編成となり、深い抒情性と激しい感情表現を行き来する演奏が続く。収録曲はすべてナタリー・バラリーニ作曲で、多くは短調で美しいメロディーが際立つものとなっている。
効果的な転調が感傷を誘う(3)「Zygote」や、ラストの(9)「Presence」などは特に、映画的な美しさを感じさせる。アルバムの終わり方も素晴らしい。
三位一体の演奏は彼女の世界観に惹き込む強い魔力を持つ。
それぞれの楽曲に秘められた物語をあれこれと考えさせられる、優れた作品だ。
Nathalie Ballarini 略歴
フランス生まれのナタリー・バラリーニはドラギニャンの音楽院でクラシック音楽を学び、次にトゥーロンで伝統音楽を学んだ。10代の頃にピンク・フロイド、サティ、フィリップ・グラスといった音楽に興味を持ち、ジャズや即興音楽に情熱を傾けた。アメリカ合衆国・ボストンのバークリー音楽大学に留学し、専門分野「映画音楽」の学位を取得。フランス帰国後はピアニストや映画音楽の作曲家として活動を続けてきた。
Nathalie Ballarini Trio :
Nathalie Ballarini – piano
Jean- Christophe Gautier – contrabass
Luca Scalambrino – drums
Guest :
Chelsea Ballarini – vocal